第4話 サーロ…ヒーロイン
「ああ、シャーロット」
はい、絶許。
ウィルフリート、お前とは当分口を聞くことは無いだろう。
俺は前で話し始める現在は他人の元幼馴染と元名前がわからん女の会話を真顔でもごもごと口だけ動かしながら聞いていた。
へー、コイツら知り合いだったのか。へー。
「そういえば、二人は初対面だよね?」
「うん!」
こっちに話ふんな。
俺はこの女と永遠に会話しないまま死ぬ予定だったのに予定が狂ったじゃねぇか。
クソ、幼馴染だからって気なんか許すんじゃなかった。
「紹介するよ。彼女はクラスメイトのシャーロット・ヒーロイン」
「シャーロット・ヒーロインです!あの、ルーファス先輩ですよね?」
初対面で下の名前呼びとか馴れ馴れしいんだよ。
「ああ。よく知ってんな」
「三年生で首席ですから!知らないわけないじゃないですか!」
ニコニコと笑う女に思わず乾いた笑みを見せる。
おいおい、前とは随分態度が違うじゃねぇか。
一体全体どういう風の吹き回しだ?
「ルーファスは自分が有名人の自覚がないんだよ」
「そうなんですか!?」
サーロインはウィルフリートの言葉にわざとらしく驚いたような表情を作ったあと、こちらを向くと満面の笑みを浮かべた。
「でも、謙虚で素敵だと思います!」
はい、嘘ー。
目に違和感あって作り物クセぇんだよ、コイツの笑顔。
けっと悪態をつきつつも、俺は「そりゃどーも」とだけ言って席を立つ。
「ルーファス、もう行くのかい?」
「次の授業移動教室なんだよ」
適当だけど。
「そっか。じゃあね」
「先輩、頑張ってください!」
顔が見えないのをいいことに俺は思いっきり顔を顰めてみせた。
喋ったところ、媚び売ってくるそこら辺の女と変わんねぇ。
顔も良くはあるが表情の作り方は未熟、それに全員にあの態度でいけば嫌悪する奴がいることも分かってない。
これじゃ、完全にあの人の下位互換だ。
そんな奴がどうやってアイツらに取り入ったのか。
「こりゃ、定期的に調べる必要がありそうだな」