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第6話 お宝ザクザクではないか! 

 ムイが飛び跳ねながら行き止まりの壁を通ると、透過して先に消えていったぞ。

 ぐわーっはっはっは。ムイの奴め。早速大手柄ではないか。


「隠し通路? ダンジョンってそんなものがあるんですか?」

「形を変えるダンジョンというのは我も初めてではない。以前知り合った魔王はよく自慢しておったわ」


 ムイに続いて奥へと進んでみると、立派な宝箱が四つも並んでおるわ! 

 よい、よいぞ。これで我は更なる実験……いやいや、まずはイーナに借りた分を返さねばな。

 我は魔王。約束は守る。

 

「あんな立派な宝箱が四つも……もも、もしかして財宝が!? きゃーーー!」

「落ち着くのだイーナよ。まずは分かっておるな?」

「はい。罠に気を付ける、ですね。でもどうすれば?」

「この宝箱を持ち帰り、じっくり調べてから……というのはどうであろうか」

「宝箱を? こんな大きいもの四つも持ち帰れませんよ」

「ふっふっふ。我が力、とくと見るがいい! 魔道の首飾りが持つ力を! これがあれば四つまで大きさに関係なくこの中に封印出来るのだ」

「そんな便利な道具、あるわけないじゃないですか。仕入れとかすごく楽に……」

「我が封じられし魔道具よ、その中に対象を埋めよ! ビジットスペース!」


 この首飾りだけは手放すわけにいかぬ。

 恐らく二度と作ること叶うまい。

 宝箱四つ。確かにしまったぞ。

 イーナめ。驚きのあまり声も出ておらぬようだな。

 

「き……」

「む?」

「消えたぁーー! 私の宝箱が消えたぁーー! 罠だったんだぁーー!」

「落ち着くのだ! だから宝箱は首飾りにしまったと言うておるであろう」

「かーえーしーてー! 私の宝箱ぉー!」

「ピキーー!」


 どうしてこうなるのだ! 

 我の偉大さを知らしめようとしただけであったのに。

 ええい、落ち着くのを待ち、そろそろ戻らねばな。

 ムイがびっくりして我のマントに隠れたではないか。全く。


「……落ち着いたかイーナよ。ちゃんと店に戻ったら宝箱は出す。そこで調べてみようではないか」

「本当ですよね。はぁ……そんな簡単に宝箱を持って帰ったり出来たら反則ですよ」


 持って帰る? 簡単? しまって……そうか! 


「閃いたぞ! 我らには時間が無い。イーナは道具を売らねばならず、我は道具を開発せねばならぬな?」

「ええそうです。お店開いてないと道具を仕入れても売れませんから。ドーグさんは何か道具を作れるんですか?」

「うむ。我は魔道具製作を生き甲斐とする魔王だからな。ぐわーっはっはっはっは。しかしこのようなことを思いつくとは、さすがは我だ。急いでもどるぞ」

「分かりました。帰って宝箱の中身を確認しましょう!」


 よほど宝箱の中身が気になるのだな。

 しかしだ。実験を一つせねばならぬ。


「イーナよ。この木の腕輪をスケルトンに変えるのだ。そうだな、試しにスケルトンソルジャーに変更出来るか試してみるのだ」

「ええ。それ売れませんし。でも私がやるのかぁ……やってみますけど、上手くいくかなあ?」


 なんのことはない。スケルトンソルジャーといっても木の腕輪から作られれば大したモンスターにはならぬ。

 予想通りイーナはなんなくスケルトンソルジャーを生み出しおったわ。


「出来ました! 私、もしかして才能ある?」

「うむ、見事だぞイーナよ」

「それでこの子、どうするんですか?」

「イーナよ。我に渡したこのペラペラの紙の腕輪はまだあるか?」

「ええ。予備もありますから」

「これをスケルトンソルジャー身に着けさせるのだ」

「ええっ!?」

「そしてこやつに素材を探させて持ってこさせる。これはあくまで実験段階。我が望むのはもっと上のやり方よ」

「で、でもモンスターはあの門を通れないんじゃ?」

「我もイーナも一度モールとやらの中でスケルトンを作ったであろう?」

「はっ!? 私、もしかしてとんでもないことをすでにしでかしていたのでは……」

「はっはっは。何を言うイーナよ。出来てしまったものは仕方のないことなのだ。さぁスケルトンソルジャーに指示を出すぞ。こやつは大して賢くはないので、簡単な命令をすればいい」

「帰還させるのに賢くなくても出来るんですか?」

「うむ。その杖により創造させられたものは、その杖に一定時間後戻る習性があるのだ」


 そのお陰で長時間にも及ぶ戦いとなると、全員戻って来てまるで役に立たぬのが欠点なわけだが……それは伏せておくとしよう。

 何せ我は魔王だからな!  


「それで、どんな命令を出せば?」

「宝箱、持ってこいとでも命じておくのだ」

「それ、すっごくいいです! スケルトンさん。私に宝箱いっぱい持ってきて!」


 む……いっぱい持ってこいとな。

 少し指示がまずい気もするが……まぁこれは実験だ。

 よしとしよう。


 ――再び門前までたどり着くと、門の内側、ダンジョンモールへと戻って来た。

 しかし早速問題発生である。


「異端者発見。捕縛します」


 門の先にいたのは紫色の大きな帽子を被った魔女のような娘。

 髪も目も何もかも紫である。

 これはまずい……こやつ、まさか! 


「な、ななな、なんだと!? 貴様スペルアイテムクラッシャーのミオとかいうやつか!?」

宝箱。

そこにあるだけで不自然にも開けたくなるのは不思議。

そんな箱を大量に発見すれば、男女問わず心躍る光景である。


……ダンジョンモールに持って行っていいものなのかは別として……だが。

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