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From the past in the world  作者: 冠 三湯切
6/13

Escape history

 『ブォォォォッ!!!』


 「こっちこっち!!」


 テレサのバイクはサイの乗る車の屋根に乗り、そのまま背後を取り、そのまま逆送した。


 サイはトラックを追うのをやめ、一気に方向転換。テレサの追跡を開始した。


 『あー、テレサ聞こえる?』


 直後、テレサのデバイス経由でセイバーから通信が入っ

た。


 「聞こえてる」


 『仕方ないから付き合ってあげる。テレサ、エドワーズ空軍基地に向かって。一般人は巻き込む気はないけど、あいつ巻くなら飛行機ぶんどるしか無いよ?』


 「成る程、まさかCIA長官が空軍基地に殴り込みとはね。分かったわ、けど、被害は出させないでよ?」


 『そこは問題ないよ、テレサこそ途中でやられないでよぉ?んじゃ、ちょいと通信切るよ〜、これこらちょっと準備するから』

  

 セイバーは通信を切り、テレサはハンドルを握り直した。後ろにはサイが迫りつつある。


 「さてと・・・PT、エドワーズ空軍基地へのルート示して・・・おっけ、地図消して」


 テレサは数秒エドワーズ空軍基地の地図を見た後、すぐさま消した。


 「よし、ぶっちぎる!!」


 テレサは大通りから一気に細道に入った。サイもすかさずハンドルを切りその細道に入る。


 『ガァン!!ガァン!!ガァン!!』


 「うわっ!!撃って来た!」


 サイは窓から腕を出しながら銃を撃って来た。テレサはそれを避けながらこの狭い路地を駆け抜ける。


 (銃はグロック18Cの1丁のみ・・・予備マガジンを用意する暇は無かった筈だから、残弾数は8発・・・けど、さっきの乱射と今とじゃ、集弾性がかなり違う。このまま学習されながらだと8発撃ち終わる頃には私はやられる・・・なら、人間にしか出来ないテクニックで奴を止めるまで!!)


 テレサの目の前に南京錠がかけられたフェンスが迫った。テレサは即座に数発弾丸を撃って南京錠を破壊し、フェンスを突き破った。


 市街地をグネグネと抜け、バイクは荒野の道路へと向かって行った。


 (基地までは後20キロ以上ある・・・そしてそこへはこのだだっ広い荒野を抜けなきゃ行けない。予想通り、サイは確実に私を仕留められるように弾丸を温存してあまり攻めてこない。一定の距離を保ちながら私を追っている・・・)


 『ダァン!!ダァン!!』


 テレサは後ろに向けて2発撃った。そのうち1発がサイの車のフロントガラスに当たり、蜘蛛の巣状に広がり視界を塞いだ。


 『バギィッ!!』

 

 サイはそのフロントガラスを素手で突き破り、フロントガラスごと取っ払った。


 「成る程、視界はやっぱり遮られたくないのね・・・」


 テレサとサイのチェイスは続く。


 ・


 ・


 ・


 一方その頃、セイバーたちは。


 「セイバー、セイバー!!」


 サディアがセイバーに問い詰めていた。


 「何?今ちょっと計算中なんだけどさ?」


 「エドワーズ空軍基地で何をするつもりなんだ?」


 「うん?さっき言ったじゃん、飛行機奪うの」


 「分かってる。だがどうやる気なんだ?」


 「だから今その計算してるんだって・・・よーし、いい子がいた。サディアはちょっと後ろ見張っててよ。私これから準備入るから運転にしか集中出来ないの。ちょっと、宜しく頼んだよー」


 「おい!」


 セイバーはそう言うとまるで心ここに在らずと言った感じで真っ直ぐ前だけ見て運転を始めた。


 「っ・・・」


 「兄さん!!」


 サディアが頭を悩ませているとサンディが叫んだ。そして徐々に理解する、遠くからサイレンの音が鳴り響いていた。

 

 『そこのトラック!!止まれ!!』


 「警察か。そりゃそっちも動くだろうな、かと言って止める訳にも行かなさそうだ」


 「ならどうすんの?」


 「・・・あのよ、俺たちも警察だぜ?話しゃ分かってくれんじゃねーか?」


 ダニエルが少し考えて提案した。


 「そうも上手く行くとは思えんがな。とは言え、無駄に血を流すのはごめん被る。ダニエル、この積んであったメガホンであいつらを説得出来るか?」


 サディアは荷台から拡声器を取り出した。


 「なんでこんなもんまで積んであんだ?まぁいいや、とりあえずやってやらぁ!」


 ダニエルはメガホン片手に荷台のドアを開けた。


 『おーい!!俺だ!!サンフランシスコ市警のダニエル巡査だ!!今訳あってこのトラック止める事が出来ねーんだ!!それよりも1台の車を追ってくれ!!向こうの事故は全部奴の仕業だ!!』


 『何を言ってる!!ダニエル!!貴様には逮捕状が出ている!!大人しく投降しろ!!』


 『はぁい!?』


 「やっぱりな・・・」


 ダニエルがオーバーなリアクションで混乱していると、サディアは冷静に言い放った。


 「どう言う事なの兄さん?」


 「CIAの常套手段さ。メディア操作にでっち上げ、フェイクニュースだ。これはおそらく基地の方も封鎖されてるだろうな。俺のこのCIAのパスを使って基地の侵入出来るかもとか考えたが、これは強行突破しか無さそうだ」


 そう言うと、サディアはドアの後ろの方からスナイパーライフル、マクミランTACー50を構えた。


 「うぉい!?何してんだおめー!?」


 「安心しろ殺す気は無い。このままいけばこのトラックは止められる、運転はセイバーを信じることにした。そして彼女は後ろの見張りを俺に託した。ならば俺の役目はセイバーが目的のルートを走るために時間を稼ぐ事だ」


 『バスンッ!!!』


 『うおぉっ!?』


 サディアの撃った弾丸はパトカーのタイヤに当たり、パトカーはスリップ。道路に真横になって停止した。


 「あれ、少し位置がズレたか・・・やっぱりヴォイドの奴には及ばんな」


 パトカーの横を縫って次々とパトカーが追ってくる。


 『くそっ!!何のつもりだ!!戦争でも始める気か!?』


 「とっくに始まってるさ。いや、まだ終わってないぜ?俺の戦争はよ!!」


 『バスンッ!!!』


 もう1発、サディアの弾丸はパトカーのタイヤに当たり後ろから迫ってきた他のパトカーを堰き止めた。


 「兄さん・・・」

 

 「なんて顔してんだサンディ、俺がCIAに入った理由は知ってるだろ?俺は戦い続けるだけだ、この命続く限りな・・・さて、そろそろ基地が見えて来る頃だ。このまま足止めを続ける、サンディ、ダニエル。援護を頼むぞ・・・こんなカーチェイスが続いてるんだ。そろそろ上からも来るはずだ」


 「っ!?ヘリ!!?」


 テレサのトラックの上には警察のヘリも出動を始めていた。


 「ダニエル、顔を隠せ。おそらく全国一斉生中継されてる筈だ」


 「ヘリなんかどうすんだ!?こんなんじゃ何処にも逃げられねーぜ!?」


 「落ち着けダニエル、何のためにセイバーがいる。そろそろ準備出来たんだろ?」


 「おっけ、計算かんりょー。時間稼ぎご苦労さんだねぇ、テレサもいい感じのとこ来てる。ダニー!サンディ!ちょっと一気にカーブするから捕まってねー!!そんで、そろそろお目見え!!」


 『あ!?おいおいおいおい!?何だありゃ!?』


 パトカーのスピーカーから驚きと困惑の声が聞こえて来た。


 「ん?なんじゃありゃぁ!?」


 ダニエルもこそっと窓の外を見てみたら、パトカーと同じ反応を示した。


 テレサたちの走るトラックはロザモンド・ブルーバードを走り、途中ランカスタ・ブルーバードと合流する箇所がある。そのランカスタ・ブルーバードからCー17輸送機が走って来ていたのだ。


 パトカー内


 「おい!エドワーズ空軍基地か!?ありゃなんだ!?どうなってる!?」


 『分からん!!誰も乗っていないのに勝手に動き出している!!こっちが聞きたい!!どうなってんだ!?』


 どうやら基地内でも大騒ぎになっているようだ。輸送機は正面を真横に通り過ぎる。

 

 「へっへーん。ちょいとあのCー17輸送機ちゃんがここにいてさ、ちょいとシステムハッキングして連れて来たの。さて!ここを曲がる!!」


 そしてセイバーはドヤ顔を決めながらトラックをドリフトかまして輸送機を追従し始めた、それと同時にハッチが開く。


 「マジか!!トラックそのまま載せんの!?」


 「うん、ちょーっと揺れるよー」


 「うぉぉっ!?」


 トラックはそのまま輸送機の中に吸い込まれるように入った。


 「ふぅっ!んじゃ後はテレサだね。みんな銃構えて!!来るよー!!」


 セイバーがトラックから降り、ハッチの外に向かって指差した。パトカー隊の更に奥、そこに土煙が見える。


 「んしょっと・・・おらおらぁ!!道開けろー!!テレサ様のお通りでー!!」


 『ブゥオオオオオオオオオオッッ!!!!』


 そしてセイバーはM134を取り出して警察たちにばら撒いた。パトカーたちはあちこちでスリップし始め、車体は炎上。警察たちは外へと逃げ出した。


 『ふっ、いい腕前ね』


 テレサから通信が入る。そしてそのパトカーたちの間を縫うように駆け抜ける。その更に後ろからはサイがパトカーを跳ね飛ばしながら最短ルートでテレサを追って来た。


 「やべぇ!!追いつかれちまう!!」


 ダニエルは手に持っていたハンドガンを撃つが、後ろのサイには全く当たるわけがない。


 「ダニー!そっちじゃない!!3秒後!!今の右手前下撃って!!はい今!!」


 『ダァン!!』


 「あ!?キャリアカー!?」


 セイバーの指示で撃った弾は、たまたま前を走っていたキャリアカーのタイヤを撃ち、停止させた。


 「後は分かるよねー!テレサー!」


 その直後、テレサはバイクをウィリーさせ、荷台に飛び乗り、更に加速してさながらジャンプ台の用にして飛び上がった。


 そのすぐ後ろ、サイも荷台を使い飛び出し、銃を構えた。


 「ま、狙うのはこのタイミングだよねー。けど、させないよ!」


 サイはセイバーの計画を予測し、テレサの身動きの取れなくなる空中で仕留める方法を実行した。


 テレサが空中に飛び出した瞬間、セイバーとサイは同時に銃を撃つ。


 放たれた弾丸は1発1発互いにぶつかり合って相殺される。しかし、セイバーのピースメーカーは6発、サイのグロックは残り8発、いくらセイバーのリロードが早くても連射するサイの方が早い。


 テレサはバイクを乗り捨て更に飛び上がった。姿勢を反転させて後ろに向けて乱射した。ただ、その弾丸はサイに当たる事は無い。サイはゆっくりテレサの心臓に目掛けて照準を向けた。


 その時だった、突然サイの車が爆発した。


 「ふぅぅぅ・・・・」


 原因はサディアだ、サディアはじっくりとスナイパーライフルを構えてエンジン部分を狙っていた。そしてテレサの乱射でサイの視線をテレサに集中させ、背後に隠れていたサディアに狙撃させた。


 サイの車は地面に墜落し、テレサは落ちそうなところをセイバーが見事にキャッチした。


 「ひゅー、流石!!ナイスコンビネーション!!さぁて、このままじゃ追跡されちゃうから、あらゆる通信オフ!!っと」


 セイバーの一言でテレサやサディアの持っていたデバイスの電源が切れた。


 「なぁ、これから何処行くんだ?」


 サンディが尋ねる。


 「んー?まずはモルガンおじちゃんのとこ!」


 輸送機は東へ飛ぶ。


 ・


 ・


 ・


 カリフォルニア州、ランカスタ・ブルーバード


 パトカーたちの目の前に壊れた一台のバイクと、もう一台炎上する車がいた。警察たちはその車を眺める。


 「おい!運転席に誰かいる・・・っ!?」


 1人の警官が車の中に誰かいるのを見つけた。だがその直後、その声は掻き消された。


 「どうした!?」


 声を聞いた別の警察が様子を見にくると、そこには何食わぬ顔で運転席を眺める1人の警察がいた。


 「いや、気のせいだったみたいだ。この車の奴はもう乗っていない」


 「んあ?まぁいい、2台ともあの輸送機に乗り込んだって訳か・・・アクション映画かよ・・・」


 「あぁ、随分と派手にかましてくれたな・・・俺もあんな風に出来たら良いのになー」


 「死ぬぜ?」


 「どうだろうな、人類の進歩は侮れんぞ?俺は一度署に戻るぞ、ここでの出来事は軍の管轄だ。俺たちにはどうにも出来ん。数人だけここに残しておけば良いだろう」


 「なら俺が残る。お前は報告頼んだ」


 サイはパトカーに乗り込み走り出した。


 「・・・そう言えばあいつ、見た事ない顔だったなぁ」

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