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From the past in the world  作者: 冠 三湯切
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Past history

 『ダダダダダダッッ!!!!』


 広場に複数の車が現れた。そしてドアが開くなりサブマシンガンが乱射された。


 「ほい」


 セイバーは机を蹴り上げて即興のバリケードを作った。テレサとサディアおセイバーはそこに身を隠し、サンディとダニエルはその後ろのフードトラックに入り込んだ。


 「ダニー、そのおねーちゃんお願いねー」


 「おう!」


 ダニエルはこの突然の銃撃戦に巻き込まれたサンドイッチ屋の女の人の保護に努めた。


 「で?どうする気だセイバー、今の武装じゃやられるぞ?」


 サディアが足元に銃のマガジンを3つ並べる。


 「あーいいよいいよそんな事しなくても、ここに来た奴らはそもそも急拵えのザコ。ただ単に私たちを襲えって言われてるだけの言わばカカシ。数は確かに36って多いけどさ、私1人でも何とでもなるよぉ」


 テレサは一丁のリボルバーを取り出した。しかも、かなり古いモデルだ。


 「ピースメーカー?それで何とかなるのか?」


 サディアが疑問をぶつける。


 「まぁ見てて、ここは私が時間を稼ぐからさ、みんなはトラックに乗っててよ。じゃいくよー、3、2、1・・・今っ!!」


 セイバーが机から体を乗り出した。


 『バラララララッッ!!!!』


 「ぐっ!」

 「なぁっ!!」

 「がっ!!」


 セイバーはマシンガンも驚くほどの連射で6発、正確に敵に撃ち込んだ。


 その隙に4人はフードトラックの背後に回る。


 「逃すなっ!!撃て撃てぇっ!!」


 「わー、狙いめっちゃくちゃ。銃弾もったいないよぉ・・・一弾一殺、次の攻撃で半分にしよっと」


 セイバーはゆっくりと歩きながら弾丸を込める、一発抜いては一発装填。敵はサブマシンガンを乱射しているが一発もセイバーには当たらない。


 そして6発、装填が完了した。


 『ダダダダダダァンッッ!!!』


 また6人倒れた。


 「12人」


 「リロードだっ!!狙っ・・・」


 敵はセイバーの行動に固まった、リロードの速度が人間の出来る範疇を明らかに上回っていた。動きは空薬莢を抜いて新しい弾丸を入れる、その作業に変わりは無い。


 しかし、セイバーのリロードの速度はこの敵がマガジン交換するよりも早かった。


 「はい、18人。ま、こんなもんかな。無駄な殺しはタイラー嫌いだし、じゃねー」


 その直後サディアが運転するトラックがやってきて、セイバーはひょいと乗り込んだ。


 「すげー・・・ダークタワーかよ。どうやってんだあれ?」


 ダニエルは目を点にして呟いた、


 「あはは!照れるねぇ・・・ま、私コンピュータだからね、理論上最速の方法でリロードして、最も時間を稼げる箇所を狙っただけ。オートマチックだと私の動きに付いて来れないから」


 「・・・ターミネーターかよ・・・」


 ダニエルは余計に目を点にさせた。


 「それより、何処へ向かえば良い?タイラーを探すのか?」


 サディアは運転しながら次の行動について質問した。


 「いや、タイラーはそもそもこの世界で死んでる身だからね、生き返ったらまー大変、それこそあいつらの思う壺。


 私たちのすべき事はあいつらの親玉を見つけ出して、計画を阻止する事。タイラーの願いは流動機械を正しい事に使って欲しい、ただそれだけだから」


 「ならどうするの?」


 「あいつらの戦力はこの先、私の予測を超えてくる事は想定してる。だからね、まずはあいつらと戦える武器を手に入れるよ。この時代、大分銃規制も進んで銃をいっぱい売ってくれる店はそう無いけど一つ、協力してくれる店があるんだぁ。そこに行くよ。場所はちょいと戻りましてサンフランシスコの郊外、TIM鉄砲店!」

 

 「了解だ」


 サディアはトラックを動かし、サンフランシスコ方面に再び戻った。


 ・


 ・


 ・


 一方その頃、ここはネバダ州にある巨大な繁華街、ラスベガス。


 そこで1人の男がカジノに興じていた。種目はポーカー、男は少し汗をかきながら眼鏡を動かした。


 「ショウダウン」


 「フルハウスだ!!」


 「だー!クソったれ!もう一回だ!!」


 この眼鏡の男は負けた。今日はツイていない日のようだ。


 「2枚だ!!」


 眼鏡の男はカードを交換する、そしてまた汗を拭った。


 「レイズ」

 「コール」


 「・・・」


 男は悩んだ、手持ちにはスリーカードの役が揃ってる。掛け金を上乗せして勝負すべきか・・・


 「こ、」

 「いや、レイズした方がいいな。そして1枚交換が良いだろう」

 

 その男の後ろから、スーツを綺麗に着こなす60代くらいの白髪の男がやって来た。


 「ん?これは長官」


 「やぁ、元気そうだねウェブリー君。後一つ、私は元長官だよ。それより、レイズはするかね?」


 「レイズ」


 「コール」

 「コール」

 「コール」


 「ショウダウン」


 結果は


 「ストレート」

 「ツーペアだ」

 「フラッシュ」


 「ははっ、フォアカード。勝ちだな」


 ウェブリーは9のフォアカードで勝った。そしてテーブルを立ち、ウェブリーはその男と共に部屋を出て、ホテルの一室に入った。


 


 「で、どうだね。進捗状況は?」


 「見ての通りまだまだですよ。せいぜいさっきみたいに数秒後を()()するのが精一杯です。未来を知る術は中々に・・・しかし、後一歩の所まで来てはいるんです。だが、」


 「何者かに邪魔をされているか?」


 ウェブリーが語ろうとしたら男が先に答えた。


 「・・・そうです。サクリファイス内にあったファイルから流動機械の発展型と、時間転移の方法を見つけたのは良いのです。実際に過去に送る事であなたを、CIA長官を再現できたのですから」


 「再現と言うな。復活と言ってもらいたいね。そして、今は元長官だと言っただろ?」


 男の正体は元CIA長官、リチャード ベルナルディだった。


 「返り咲く気満々でしょうに。それより、その先ですよ。過去への干渉が出来たのなら未来も可能だと考えました。しかし、未来への通信はバグと言うのですかね?それが起こるんですよね」


 「原因はベンジャミン タイラーだ。この世界で私は自害したとなっているらしいが、本来の歴史では私の死の原因はそいつだ。そしてそいつが本来時間移動技術を開発する。


 だが奴は偽善的な性格をしていてな、その時間移動技術を使う事に否定的だった。そして自分の命と過去の自分そのものを消して、時間移動技術を無かった事にした。ふっ、実に愚かだとは思わないか?一度開発される技術は奴がいなくてもいずれ誰かが見つける。奴は自分の見つけた技術を奪われるのが嫌なだけなのだよ。未来を知るのは危険だと綺麗事を並べてね。


 奴は結局死にきれなかったのだ。何処かの世界、何処かの過去で奴はこの世界を知り、我々が未来を知る方法を止めているのだ」


 「成る程、それで現長官を襲撃しろと命じた訳か。そのタイラーを引きずり出す為に」


 「いや、正確にはタイラーに近しい者を抹殺する事だよ。記憶の繋がりと言うのは不思議なものでね、タイラーがこの世界に干渉出来るのは、彼を覚えてる存在がこの世界にいるからなのだ。その繋がりが消えればタイラーはこの世界へ干渉出来なくなる。そうなれば我々の勝ちだ」


 リチャードは拳を握った。


 「しかし、あの謎のガキがいます。流動機械アンドロイド・・・今我々の技術ではようやくゆっくり二足歩行出来る段階がせいぜい。あんなふうに飛んで跳ねて、そして理論上可能な最速を作り出せる、あれは確実に未来の技術です」


 「タイラーもおいそれとは殺させないと言う事だ。しかし、無駄な足掻き。奴が全てを計算してくるのなら、計算しきれない負荷を与えればいい。所詮奴もコンピュータ、計算しか出来ないのだ」


 「ん?もしや完成したのですか?」


 ウェブリーはリチャードに少し期待した声を上げた。


 「何の為にあのくだらない雑魚連中を、CIA長官(あの子娘)なんかに当てたと思う?全ては思惑通りに動いている。サクラメントで中々良いデータが取れた。これで、チェックメイトだ」


 リチャードの後ろに誰かがいる。この暑いラスベガスには似合わないロングコートを身にまとい、表情は固く瞬きもしない人形のような男だ。


 「奴は所詮ただのロボット、それに対抗出来るのはAIだ。こいつの名は『X-i0』自動進化型、直接戦闘AI兵器だ。私はサイと呼んでいる。サイ、始末を任せたぞ」


 「承知、任務を開始する」


 サイはスタスタと部屋を出て行った。


 「・・・彼、AIと言うよりもロボットっぽいですね」


 ウェブリーはサイの後ろを眺めながら語る。


 「AI技術において最も重要な事は、主人を裏切らない事だ。奴の人工知能は戦闘特化にある、より感情的になんてプログラムは必要無いのだよ。ただひたすらに戦闘を繰り返し、敵を倒す方法を思考する、それだけだ。


 あのガキのような、人間と共存可能な性能なぞ、この世界に必要ない」


 リチャードは優雅にワインを注いでのんびりと外を眺めた。


 ・


 ・


 ・


 サンフランシスコ郊外 


 『TIM鉄砲店』


 サディアの運転するトラックは店の駐車場に入る。


 「この店か?そこまで大それたような雰囲気はないが・・・」


 店の雰囲気は割とこじんまりした店の看板にはネオンで『TIM's GANS』と書かれていて、少しレトロさすら感じる。


 「やぁいらっしゃい、何かお探しで?」


 一行が店に入ると物腰の柔らかそうな老人が出てきた。


 「おじちゃん『45.9.12.を5000で頂戴』」


 「っ・・・」


 セイバーが突然訳の分からない数字を並べると老人は突然息を呑んだ。


 「まさか、本当に来るとは・・・」


 「どう言う事?」


 この老人は何か知っている、テレサは少し睨むように質問した。


 「君がそうなんだな?2017年の年明けだ、あのメッセージを送ったのは」


 「そゆこと、準備はしてくれた?」


 「あぁ、ちょっと待ってくれ、今日はもう店じまいだ」


 老人は『CLOSED』と書かれた看板を店の入り口に引っ掛けた。


 「さ、ついてきてくれ。この日の為に用意しておいた」


 老人は4人とセイバーを店の奥へと案内する。そして裏口に砂に埋もれたドアがあった。老人はそこにかかってた鍵を開けた。


 「これは!!?」


 

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