From somewhere in the world. Connecting to a future where we can live together
『作戦を説明するよ』
タイラーの作戦にみんな耳を傾けた。
『まず、サイに打ち込んだウィルスはまだ死滅してない。書き換えただけで今も彼の中に巣食ってる。あのウィルスは『流動機械自己崩壊システム』って言ってね。流動機械の構成をバラバラにしてしまうものなんだ。それをまた発動させる。次に手順だけど、あのむっちゃ便利なUSBはもう無いからこのスマホ自体を使う。テレサとサディアさんはこの方法に覚えが無い?』
「っ!Bluetoothか!!」
テレサは記憶を探り、記憶にない記憶を呼び覚ました。
『そう、それであの時もそうだったけどこの方法はペアリングと同期に多少の時間がかかってしまう。そうだね、ざっとこのスマホの性能の限界から計算すると彼を中心に半径5メートル以内、20秒間このスマホを置かないといけない』
「奴の間合いに20秒か・・・また無謀だな」
サディアはゆっくりと目を閉じた。
『うん、かなり危険。誰かがこのスマホを持ってチートパワーの彼に20秒近づかなきゃいけない。問題はその役を誰がやるのか』
「俺がやる!」
1番の問題に間髪入れずに手を上げたのはダニエルだった。
「俺、俺ってさタイラー君よ・・・あんたの記憶の中で死んじゃいねぇか?うん、死んだと思う。情けなく俺は死んだ、爆発に巻き込まれて・・・誰も守れずに・・・セイバーちゃんは俺のダチだ。そのダチに何度も救われてここにいる。だから今度こそ、今度こそ守ってやりたいんだ。例えこの命に代えてもな」
ダニエルは覚悟を決めた目で銃に手を置いた。
『ダニー・・・』
「何を言ってるんだダニエル。命に代えてもだと?なら俺は命に代えてもお前の命を守るぞ。何てったって俺はあんたのバディだ」
サンディはダニエルの肩を叩く。
「お前こそ何を言ってる。犠牲になる覚悟は素晴らしいが、俺は誰も殺させるつもりはないぞ?」
サディアはハンドガンを取り出してチャンバーをチェックした。
「この世界線は奇跡、もう後一歩があればあの時助けられなかった全てを助けられる。タイラー、あなたは私の元クラスメイトで、私に取ってかけがえの無い親友・・・今度こそ全て取り戻すわよ。あなたも、セイバーも」
『テレサさん・・・そうだね、僕もそろそろ肉体を持って外に出たい。今の技術ならそれはもう出来る。意思を持った機械と人間は共存出来る所まで来ている、サイはその全てを壊してしまう。止めよう、みんなで!!!』
マイク越しのタイラーの声も力強くなる。
「そう、みんなでね・・・タイラー、あんた大分逞しくなったじゃないのよ。それでさタイラー、良いもの今見つけたんだけど、あれ利用出来る?」
テレサはふと視線を部屋の奥に向けるとあるものを見つけた。
『あれか・・・テレサさん、これは確かに使えるね・・・これを踏まえて改めて作戦を立てようか』
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出口近く、外には無数の軍がペンタゴンを包囲している。
「たった1人で我々を相手する気か!?観念して出てこい!!」
外で軍人の1人がスピーカーで内部に呼びかけた。その外と中の境界線近くにサイは立っていた。ぽやんとした顔で外を眺めている。
「あのさぁ!!外出られないんだけど!!だからちょっと突入してくれない!?特殊部隊さん全滅させちゃってさぁ!てかどうやって突入したの!?」
サイは外に出られずに逆に外に突入を呼びかけた。
「貴様何を言っている!?」
「うーん・・・このプログラムで開く筈なのになぁ、破壊しようにもこの壁頑丈だし、流動機械式防弾壁で覆われてるし、僕を邪魔してるプログラムでもある?いや、外部からの妨害は無い・・・うーん」
そしてサイは腕を組んで少し頭を悩ませた。
「サイ!!!」
その時、サイの後ろからテレサたちが追いついた。
「あ、ちょうど良いとこに来てくれたよ。ここ開かないんだけど開けてくれる?」
「開けるわけないじゃないのよ。あなたはここで破壊する!!」
テレサはサイに銃を突きつけた。
「僕を破壊?どうやって?無理だよ、だって君たちの装備じゃ僕を壊せないもの。あ、そうだ。さっきママがカールグスタフ持ってきたよね?あれ何処にある?何発か撃ち込めば壊せそうなんだここ」
「もうお前は、何処にも行かせはしない!」
そしてサディアもサイの脳天に銃口を向ける。
「あーらら・・・君たち殺すのは結局リチャードの言いなりになったみたいでやりたくなかったのに・・・仕方ない、殺してじっくり外に出る方法見つけるよ。てか君たちだよね?ここ閉じちゃったの、って事は君たちをハッキングすればここのロックの原因が分かるか」
サイはじっとテレサたちを見つめる。
「彼の目を直接見たらダメよ!!視界の動きから行動と思考を予測する!!」
テレサは僅かに視線を落とす。
「え、なんでそれ知ってるの?この網膜予測機能は僕オリジナルで考えて作り出した機能なのに・・・うん、驕りは良くないね。わざわざ止める為に来たって言ったのは何かしら僕を止める可能性を秘めていると考えておいた方が良さそうだ・・・」
「来る!!PT!アシスト!!」
サイはテレサに狙いを付けて凄まじいスピードで迫ったが、テレサは突然人間離れした動きでサイの攻撃を避けた。そして首筋に銃弾を撃ち込む。
ダムンッ!!ダムンッ!!ダムンッ!!
「あらら!?」
「防御が薄い筈の首の裏側部分に撃ち込んだのに殆ど効いてない・・・学習で自身を補強したのか」
テレサの弾丸は当たりはしたが、やはり弾かれた。サイは首元をさする。
「それもバレてる・・・どうなってるの?あ、逆ハッキングか。ペンタゴンの情報をハッキングして僕の機能を予測した、違う?僕にバレずに覗くなんてやるねぇ〜。それに、身体アシスト機能付き流動機械デバイスを使って僕の攻撃を避けた。うん、学習したよ。もうその方法は僕に通用しない。忘れちゃった訳じゃないでしょ?僕にはあらゆる機械を遠隔操作出来る機能をがある」
「それ、この子には使えないわよ」
テレサは再び銃を撃ち、その瞬間にサイとの距離を急激に開いた。
「あ、あれ?ジャック出来ない・・・その機械、何?」
「ただの流動機械デバイスのPTだ」
その時後ろを取ったサディアがサイの脳天に向けて銃弾を放つ。
「いった!!!僕いい加減怒ったよ!!」
「っ!!!」
人間の目には全く反応出来ない程の速度でサイはサディアに迫った。そしてサディアの銃を奪い取る。
「それで、これも予測の範囲内なの?また僕の後ろを取ってさ!!」
ダァン!!
サイはその銃で後ろに撃った。そこには間近まで迫っていたサンディがいる。しかし、それを既に察知していたサイにサンディは撃たれ、左胸から血が吹き出した。
「サンディッ!!!」
サディアは叫ぶ。
「まず1人目、次は・・・」
サイは銃口をサディアに向け直し、トリガーに手をかけた。
「え?」
しかし、サイは指に力が加わらなかった。
「その瞳の中・・・なんでいる?タイラー・・・」
サイはサディアは動揺していると踏んでいた。しかし、そこに依然力強い目でしっかりとサイを見ている。
「あなたを倒す為に彼は戻ってきてくれたからよ、よく見なさい。これが人間の愛情ってやつよ、あなたの目には映らない。だから、敵の数も分かってない。サイ、あなたの敵は今何人?」
そして隣にいるテレサもじっとサイを見つめた。
「サンディは倒した、あとはテレサとサディアのみ・・・あれ?反応は4・・・」
「サンディを仕留め損ねたな・・・そして、お前はペンタゴンと繋がった。そこはもう一つの世界線ともデータ間で繋がっている。だから気が付かなかったんだろ?死んでるはずの人物がいる事にな・・・」
サディアが告げると誰かがサイの腕を掴んだ。
「よぉ、10秒前から俺はここにいるぜ?」
そこには武器も持たず、ただ手にスマホを握ったダニエルがいた。
「ダニエル ノースウッド・・・っ、データ上・・・死亡。何故、データが2つ存在している。貴様はなんだ!?私に何をした!?」
サイは声を荒げる。
「あれ?あざといキャラやめた?俺はそっちの方が合ってると思うけどな。簡単だろ、お前もうバグってんだよ、ここと繋がった時点でな。最初は俺みたいな奴なんて眼中にねぇと思ってたが、どうやら違ったな。お前の弱点は死亡した対象はその目に映らない。リチャード長官も人が悪い、そんなんだからお前はそんな、中途半端な奴になっちまったんだろうな」
ダニエルは手を離した。その瞬間にサイはダニエルに攻撃しようとしたがその腕がもげるように落ちた。
「なっ!!!何が・・・これは、私の内側から!!!」
「ウィルス再発完了だってよ。なぁ、お前は人の目を見て色々と分かるんだろ?なら、俺の目には何がいる?」
ダニエルはサイに近づいた。
「セイバー・・・」
「そうだ、この戦いは俺にとっちゃ言わば弔い合戦だ。あんたは死んだら終わりになってんだろうが、人間ってのはな、死んだ奴こそ忘れられないもんなんだよ。その命に代えても守ってやりたいと思える存在が愛する者だ。それが恋人でも家族でも、親友でもそこには愛情がある。あんた知りたがってたよな?そうなる原因がどうのこうなってよ。答え教えてやるよ。『考えるな、感じろ』だ」
「感・・・じる・・・そうか、理解する必要は・・・」
サイはバタンと倒れて全身が完全に溶けるようにして無くなった。地面には小さなチップのような物だけが転がった。ダニエルはそれを拾い上げる。
「んにしても、こんな小さな板が頭脳で肉体になるなんてな・・・科学の進化ってやべーな。あそうだ!!サンディ!!怪我は!?」
ダニエルが振り返るとヨロヨロと立ち上がるサンディがいた。
「何とかね、タイラーがサイは確実に急所狙うからって鉄板仕込んだんだ。若干貫通されちゃったけど、弾は表面で止まったから無事さ」
「って事は・・・」
『うん、今度こそ本当に終わったよダニー』
スマホ越しにセイバーがダニエルに告げた。
「っぽいな。けどよセイバーちゃん、まだ作戦自体は終わっちゃいねぇだろ?それやってこそこのミッションは完遂だぜ」
ダニエルは安堵と一緒に少し思い詰めるような表情をした。
「えぇ、サイが壊れた。それはすなわち彼が繋がっていたシステム全てがダウンする。ペンタゴンのシステムも堕ちるわね。だからそれと繋がっているタイラーたちも・・・」
『うん、僕たちももうすぐで機能が停止する』
サイはこの世界の全てのネットワークに繋がっていた。最早サイ自身が全てのサーバーを一手に受ける媒体となっていたのだ。それが破壊されたという事は隠しデータもろとも破壊される事になる。
『ついでに言うと世界中で流動機械デバイスがダウンしちゃってってるみたいだね。イタチの最後っ屁ってやつ?まーったく世界めちゃくちゃにしてくれちゃってさー』
しかし、そんな状況にも関わらずセイバーは呑気な声で文句を垂れる。
「ほんとだよなセイバーちゃんよ、勘弁してほしいぜ」
そして1番と言って良い程セイバーの身を案じていたダニエルも冗談混じりに語る。
「まぁ、その辺はモルガンが何とかしたんだろ?」
サディアがちらっと遠くを見る。長官たちの部屋からモルガンが出てきた。
「おう、とりあえずホワイトハウス側が管理してるサーバーに軍のデータを預けた。あと少し遅れてたら全部外部に漏れるとこだったぜ。んで、セイバーとタイラーのバックアップも隠しファイルに入れておいた。だがよ、俺は未だ疑問だが、それで本当にあんたら自身が復活出来るのか?」
モルガンはタイラーたちの復活の手引きを行っていた。だが、一抹の不安があるみたいだ。
『まぁ、全てを完璧に復活できるかは微妙だけど、一度意思を持ったデータはそう簡単に消えたりはしない。賭けにはなるけど、僕自身は出来ると信じてるよ』
タイラーはモルガンの背中を押す。
「ほんとにあんたは・・・前も急に頭撃ち抜くし、変に覚悟ガン決まり過ぎなのよ」
『あはは!確かに言えてるかも、腹いせに先生にコンピュータウィルス送りつけたりするもんね・・・あ、そろそろサヨナラの時間になりそうだ。言語システムがイカレはじじめめめたた』
タイラーの声がおかしくなり始めた。
「そうだタイラー!最後に一つだけ聞きてぇ!次会えるとしたらいつなんだ!?」
ダニエルがスピーカーの元で大声を張り上げた。
『だからうるさいってててて!!!おほん!!ダニエルさん、あなたがセイバーを大切に思ってくれた事本当に感謝するよ。本当ならあまり未来の起こりうる事を伝えるのは良くないのかもしれないけど、特別にヒントをあげよう。『PT-MX SAVIR』が開発される年は何年だった?』
「・・・ぁあ!!そんな早いの!?」
ダニエルは口をあんぐり開けた。
『わたしって結構近未来から来てんだよね〜。まぁ来てるってより、その時代の技術を使ってこの時代で作ったが正しいのか?ともかく!!某映画みたいに技術を残さない為にサヨナラはしないよ。アイルビーバック、必ずわたしは戻るからね。じゃ、見えないだろうけど親指サムズアップしてサイナラー・・・』
セイバーは最後の最後まで陽気に振る舞った。
『行っちゃったよ・・・そうだテレサ。今度は僕が最後に一つ言っておきたいんだ。サイがやらかした事はとんでもなく酷い事だけどさ、彼をあまり憎んでほしくないんだ。彼はただ単に善悪も分からずに純粋に愛情を求めていた、親ガチャ失敗ってやつだよ。それでこの先、流動機械技術の軍事転用は必ず起こる。そうしたらまたサイは生まれる。その時人工知能の暴走を止められるのはテレサしかいないと思うんだ。そこだけは、お願い』
「言われなくても分かってるわ、私はCIA長官だもの。アイツを2度とこの世界に呼び出したりはしないわ。仮に生まれたら、私が責任を持つ」
『ありがとう、それなら大丈夫そうだ。じゃ、僕もそろそろ消えるよ。相変わらず自分が消える瞬間は不思議だけど、じゃぁまたね・・・ブツッ』
・・・・・
電話が切れスマホの画面は最初から電池なんて無かったかのように真っ暗になった。それと同時に世界中の電気がこの日消えた。
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1ヶ月後
サンフランシスコ、郊外の住宅。
『続いてのニュースをお伝えします。先月ペンタゴンやCIA本部を襲い、そしてアメリカ全土を停電させ世界を震撼させた同時多発テロに対し、ホワイトハウスは犯行声明を出したテログループへの報復攻撃を完了させ、首謀者を射殺したと発表しました』
テレビからはニュースが流れる、1人の男はテレビを切った。
男はサンディ マーキュリー。今日は非番で特にする事はない。サンディは適当にパンケーキを焼いて食べた。
キンコーン♩
玄関のチャイムが鳴った。サンディは少しドアを開ける。
「よっ!今日は非番だろ?俺も非番でな、ちょっとドライブでも行こうぜ?」
やってきたのはダニエルだ。ダニエルはサンディをドライブに誘う。
「たまにはいいな。その前に朝食でもどうだ?丁度パンケーキ作ってたからさ」
「えっ!!良いのか!?じゃ遠慮なく頂きまーす!!うん!うんめぇ!!サンディのパンケーキマジで美味いな!!」
ダニエルはパンケーキをつまんで美味しそうに食べる。
「いや〜、早いとこセイバーちゃんにも食べさせてやりてぇなぁ〜!!」
「いやあの子機械でしょうが」
「けど、味覚センサーはあるんだってよ。んで、食べ物の栄養素は分解されて流動機械のボディやら活動エネルギーになるんだと。その中で1番機械との相性がいいのはビタミンCを多く含む物。つまりはオレンジジュースがエネルギー変換効率がいいんだってよ」
「・・・ダニエルお前、急に頭良くなったか?てか詳しいな、まだ数年後の技術だろ?」
「あぁ、前にセイバーちゃんが取説見せてくれてスマホのメモに入れといたんだよ」
サンディとダニエルは他愛のない会話を続けていた。
キンコーン♩
その時、再びチャイムが鳴る。
「誰だ?すまんちょっと出てくる」
「おう。俺はこれまだ食ってるから」
サンディは再び少しドアを開ける。その時、サンディはほぼ反射的に銃を引き抜いた。
「っ!!!サイ!!?」
「なにっ!!?」
ダニエルも慌てて銃を抜いて玄関に駆けつける。
「?」
玄関に立っていたのはサイ・・・
「ちっがーう!!ちょっとまってー!!!」
バゴォッ!!
銃口に指をかけたがドアが吹き飛んだ。2人は思わず後ろへ退避する。
「何だ今の!!」
「いや、待てよ!?今の声は!!」
ダニエルはすぐに気がついた。そしてサンディも立ち上がって玄関に立った少女を認識した。
「やほー!近所に引っ越してしました!!セイバーちゃんでっす!!」
「セイバーちゃん!?なんで!?どうして!?復活はまだの筈・・・」
その少女は先月、サイによって破壊されたセイバーだった。
「人間の研究熱心さはやっぱり機械なんて凌駕するみたいでね。まさか1ヶ月で終わらせるなんて思わなかったよ」
「タイラー!?」
更に外からはタイラーもやって来た。2人は銃口を下す。
「先月ぶりですね。早速なんだけどここに来たのは事の顛末を話す為なんだけど・・・」
タイラーが落ち着いた口調で話そうとしたら、セイバーがしゃしゃり出て来た。
「うん!モルガンおじちゃんがすんごい速さで流動機械アンドロイドの基礎つくっちゃってさ!!なんでも一度見た技術は忘れないがモットーだーとかで、思考と発想がこの世の理だーって言って、1月で私たち3体を作っちゃったの!PT-MX SAVIR、PT-M1 Tyler、んで、サイの後継機Xiの3種類をさ!」
「流石はCIA屈指の技術者だな。うん、相変わらずお前のパンケーキ美味いな」
「え!?兄さん!?」
気がつけばサディアはサンディの家に上がり込んでパンケーキを食べ始めていた。
「・・・とまぁ、そんな感じでめちゃくちゃ早く復活しちゃったんです。それでサイのデータも一部が残ってたからそれを使ってこの子も作ったらしいんです」
サンディはサイを見る。よくよく見ると自分が知っているサイよりかなり幼く周りを不安げに眺め、セイバーの袖を掴んで恥ずかしそうに隠れていた。
「ねぇねぇ、ぼくお腹すいた・・・」
そしてセイバーに少し甘え気味に訴えている。
「あーはいはい!!あのさサンディちゃん、パンケーキ焼ける?この子お腹すいちゃったみたいでさ」
セイバーはサイをあやした。
「あ、あぁ。まぁ上がってって。俺ので良ければ、タイラーさんとセイバーちゃんもいる?」
「あ、すみません。ありがとうございます、流動機械とは言えこのボディの活動には人間の食事が必要なもので・・・」
「そういやダニー前に言ってたよね!サンディのパンケーキめっちゃ美味いって!!楽しみー!!」
「あ、ごめんだけど私のも良い?」
そこへ更にスタスタと当たり前のようにテレサも席に座った。基本誰もいないだだっ広い家が急に賑やかになった。
「テレサさんも・・・てか、兄さんたちは知ってたの?」
サンディはパンケーキを焼きながらサディアに質問した。
「俺も知ったのは先日だ。モルガンの奴1ヶ月ずっと篭っていたからな」
「そこでこれからの方針として、流動機械アンドロイドと人間の共生実験を開始する事にしたの。タイラーたちに住所とか住民票なんかを与えて、ココでごく普通に暮らす。タイラーは会社員、セイバーちゃんとサイ君には学校に行ってもらうわ。それで私たちの役目はもしもの時の為の監視役ってとこ。いつでも3人の機能を停止させられるようにね。そう言うと聞こえが悪いけど、要するに完璧に終わったって事よ」
テレサはニコっと笑った。滅多に笑わないテレサにサンディはポカンとした。
ちょんちょん・・・
サンディの裾を誰かが引っ張る。
「ぱんけえき!おいしかった!!です!!」
引っ張ったのはサイだ。すごく満足そうな笑顔を見せてからっぽの皿をサンディに見せていた。
「お、綺麗に食べてくれたね。ありがとう、また作ってあげるから、またおいでね」
「うん!!」
サンディはしゃがんでサイの頭を撫でた。サイは少し照れくさそうに、けどすごく嬉しそうにして走って行った。
「よーし!!じゃぁ今度はこの無駄に広い庭で追いかけっこだー!サンディとダニーが鬼だー!逃げろー!!」
そしてセイバーが元気に庭を駆ける。
「あ!おい!何勝手に初めてんだ!!鬼のコスプレさせろよ!!」
「ダニエルそんなの持ってたの!?っておーい!外に飛び出しちゃダメだぞー!!」
「サディア、私たちもやろうかしら」
「鬼ごっこか、CIAの底力見せてやる」
この広い空の下、機械と人間の共存する世界が今、始まろうとしていた
END
エピローグ
ジョン・F・ケネディ国際空港
「はぁ・・・」
1人の女性がため息を吐く、彼女はグランドスタッフの女性だ。
「どうしたの?体調でも悪い?」
女性の同僚が少し気分を悪そうにしている彼女に声をかけた。
「なんか最近全然生理が来ないのよ・・・便秘もあるし、なんかずっとお腹張ってる感じがするのよね」
「それって・・・妊娠?」
「まさかぁ、誰ともしてないわよ?するとしたら前に会った彼としてみたいわぁ」
「あー、出たよ、例のイケメンFBI。私にも事件に巻き込まれて運命ズキューンって出会いが無いかしらねぇ」




