前へ目次 次へ 25/32 (三)-11 数馬がぶつかった衝撃で木の上からは雨粒が一斉に落ちてきて、足元の草木に当たってバラバラと音を鳴らした。 次の瞬間だった。数馬がその雨粒に気を取られた一瞬の隙に、黒井右内が得意の水平切りで襲ってきたのだ。一瞬対応が遅れたものの、なんとか刀を立てて受け止めた。しかし同時に、数馬の刀は右内の刀が当たったところから折れた。折れた切っ先は森の奥の霧の中に消えていき、木に当たる音の後、遠くの草むらの中に落ちた音がした。 (続く)