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死にたくても狐(君)の為なら生きよう  作者: れっちゃん
長い幕間
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地雷


 狐露は笑みを浮かべ屋敷の居間に置かれたテレビにゲーム機を接続させた。

 

 ゲーム機と言っても最近の物ではなく古いファミコンというもの、狐露は最近のゲームも好むが古い方が好きだったりしたのだ。

 まあ長寿のわらわからすれば大抵のものは新しい分類に入るのだが、


 そしてふーふーっとカセットの差し込みに息を吹きかけ、挿入していく。


 題名は『ハンターアドベンチャー~大いなる秘宝を見つけ出せ~』と書かれていた。

 

 昨日福袋を買ったついでに在庫処分で置かれていたこれに目を引かれ買ってみたのだが、まあ古いので暇つぶしとして楽しめればよいか、と割り切って始める事にした。


「さあ、ぷれいすたーとだっ」


 さっきは暇つぶし程度等と言ってはいたものの、食事処への運ばれてくる食事を期待する子供のように胸を躍らせている自分がいる。


 さあ、鬼が出るか蛇が出るか。


 そう思い、コントローラーのボタンを押したのだが。


     φ


「ほえ?」


 素っ頓狂な声が出た。


 目の前に広がるのは熱帯雨林、後ろを向いても熱帯雨林。

 冬という季節のはずなのに木々の隙間から照らし出された太陽の光が暑かった。


 わらわは目をぱちくりさせる。


 そしてほほを思いっきりつねる。


「ほほひゃ、どこじゃ?」


 さっきまでわらわは確か屋敷の居間でゲームをしていたはず、なのにここはどう見ても外、どころか日の本ではない……?


 理解不能、何かの術にかかったのか。だがどうやって、それがわからない限り冷静でいる必要がある。


 狐露はうーむと腕を組み頭をはたかせようとすると、違和感に気づいた。

 衣服が着物ではなく、探検家のような衣装に変わっていたのだ。


 そしてこの服は狐露が買ったゲームの登場人物と同じ衣装。


「もしや……ここは……」


 ある可能性に気づきかけると、


『ははは!! 気づいたようだなっ!!!』


「何奴!!」


 天から声がし、狐露は耳と尻尾を生やして臨戦態勢に出た。

 すると空の一部がひび割れ、そこから赤い肌をした顔のない人が現れたのだ。

 赤人の顔に横の亀裂が入り、そこが口の代わりとしてしゃべり出す。


『ここはお前の思っている通りゲームの世界! この世界から帰りたければこのゲームをクリアするのだな!!』


「ほうほう」


『だが、クリアできない限り……一生この世界で閉じ込められる事になる!!』


「何っ、それは厄介だな、それで、貴様は何者だ? またわらわを毛嫌いでもしているのか?」


 厄介という狐露だったが、然程脅威には感じていなかった。この空間でも力は使える。なら相手の言う事を聞く必要なく、盤面をぶち壊す反則行為も容易い。


『ふふふ、私はゲームの呪いだ、貴様達人間が生み出した、ゲームのな』


 なんだ、わらわを嫌っている者の罠ではなく単なる偶然か。

 それなら気にする事もなく、あの者の言う通りこのゲームを楽しませてもらおうか。


「よいだろう、其方の言う通り従ってやろうではないか」


『いい心構えだ、だがその強がりも何処まで続くかな……!?』


「ふん、この程度わらわが赤子の手を捻るかのように終わらせてやる」


『よく言った!! 第一ステージ、ジャングル!! ゲームスタート!!』


 赤人が大声で叫んだ途端、突然目の前に英語でゲームスタートという文字が浮かびあがり、上空には恐らくこのゲームの点数と残機が書かれていた。


「これは楽しそうではないか」


 ゲームを肉体で体験できるとは思ってもいなかった。

 狐露は嬉しそうに鼻歌を歌いながら歩く。


「む、真っすぐか後ろにしか動けぬ……よこすくろーるという奴か」


 兎に角前に進むか、そう思いわらわは前進していく。


 ちゅどーん!!


「はっ!?」


 わらわの身はゲーム風に爆散し、開始地点に戻っていた。


「な、今のは何があったのだ!? も、もしかして死んだのかっ!?」


 一体何故? 攻撃が当たった感覚はあったが、攻撃など何処から?


 まあいい、気を取り直してと、狐露は歩き出す。


 次は歩きながらも警戒しつつ、腰にあった鞭を持つ。これが武器らしい。


「ん?」


 すると地を歩く、カメレオンのような生き物がこちらに近づいていた。

 そうかさっきはこれにやられたのだ。


 そう思い、鞭を振るおうとしたのだが、それよりも先に敵は何か吐き出していた。

 だがその吐き出したのは透明で、注視しなければ見えないほど透き通っていた。


 ちゅどーん!!


「今のが攻撃かっ!! ええいっ!」


 狐露はさっきの敵の前に立ち軽く飛ぶ、そして微かに見える吐いた弾を避け、鞭を振るった。


「仕返しだ!」


 かすっ。


「ほえ?」


 ちゅどーん!!


「しゃがんで攻撃しろと言うのだなっ!!」


 そして狐露はしゃがんで鞭を振るおうとした。


「なぬっ? 鞭が出ぬっ! えい、ええい!! も、もしや……しゃがみ攻撃が不可能なのかっ!?」


 ちゅどーん!!


 最初の敵だけで何度も死に、狐露は少し嫌な予感が頭によぎった。


「もしや、この敵は倒せぬのか……?」


 何の為の鞭だ、そう内心毒づきながらも警戒して避ければ然程対した敵ではない事に気づく。

 

 飛んで避け、ただそれだけで何分かかった。これでは先が思いやられる。


 そう思い、次は猛禽類の鷲がこちらに襲いかかった。


「ふん、貴様でこの鬱憤腫らせてもらおうかっ!」


 狐露は飛んで鞭を振るおうとした。


「もしや地に足を付けている時しか鞭は__」


 ちゅどーん!!


「ええいええいええい!! こうなれば自棄だ!!」


 狐露は全力で走り、敵を避けて避けて避け続けた。

 最初から攻撃という念を捨てればまだ楽な方である。しかしかなりつまらぬ、そう感じ始めた矢先。


 やっとわらわと同じように地に足を付けた敵が現れたのだ。


 見る限り違法行為を繰り返す野蛮な同業者と言った所か、明らかに目つきの悪い目で機関銃とやらを手に持っている。


 たったったったった。


 気の抜ける銃音を聞きながらわらわはじゃがみそれを避ける。


「うむうむ、やっとそれらしくなったではないか」


 ずっと眉間に皺をよせていたが、今回ばかりは笑みを浮かべ、鞭を手に取った。

 

 そして銃が止んだ瞬間、わらわは立ち上がり接近しようとしたのだが。


 たったったったった。


「な?」


 二、三歩ほど歩いた瞬間だろうか、すぐさま銃弾の雨が再開した。


 ちなみにわらわと敵の距離は二十歩ほど。


 避けるのは容易いが、経った一人の敵を倒す為にこんなに労力が必要なのかと少し苛立ちを覚え__


「待て、来るなっ!」


 狐露がしゃがんでいた瞬間、さっきのカメレオンが何故か銃を持った敵の足元を素通りしてやってくるのだった。


「待て、先にそやつを攻撃しろ!! 何故わらわの方に来るっ!! 待て!! 待て!!」


 今飛べば銃弾の餌食、そしてしゃがんだままだとカメレオンの餌食、


 ちゅどーん!!


「ふざけるなぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 そこから狐露は気合で気合で気合でゲームを続けた。


 銃を持った敵は銃が止んだ瞬間に全速力で走り距離を縮め、効率よく始末!

 途中、手がかりも一切なく隠し扉を見つけるまでずっとこの森を歩き続け、より苛立ちを倍増させられたが、見つけた先にゴリラが敵として現れた。


「死ね死ね死ねっ!!!」


 言葉が荒くなり、酷い目つきで森の賢者に今までの鬱憤を与え、相手が倒れた瞬間に、空からステージクリアという文字が現れた。


「や、やっと終わったかや……?」


 狐露はぐったり尻もちをつき、溜息をついたのだが、


『おめでとう、第一ステージクリアだ! 後七つのステージが存在__』


「は? 今なんと言った?」


『ふふふ、後七つのステージが存在するのだよ、まだ絶望には早いぞプレイヤー』


「付き合ってられぬ」


 狐露は心底失望したような目で、衣装をいつもの着物に変えた。

 そして鞭を扇に変え、振るい空間に亀裂が入った。


『え、え、それは何!?』


「わらわは帰る」


『いや、ちょ、ちょ』


 亀裂の中に入っていこうとする時、せめて背後からの赤人の困惑する声でも聞き苛立ちを押さえよう、そう思い足を進めるのだが、


『お、お願いします!! か、帰らないでください!!』


「なぬっ」


 足元に違和感。

 それは赤人がわらわの脚にしがみ付き、必死に留めようとする姿と変わり果てた物言いに困惑を隠せなかった。


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