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死にたくても狐(君)の為なら生きよう  作者: れっちゃん
始まり?終わり?
72/112

答え合わせ 2


 数日後、施設に引き取られるようになった時にイジメていたクラスメイトと出会った。


施設に引き取られるのよね、元気でね。


 クラスメイトはなに一つ悲しそうな素振りを見せずに言った。彼女からすれば虐めれる相手がいなくなりつまらないと言った所だろうか。


 多分猫を殺したのは彼女か、そのクラスメイトだろう。


 私は躊躇いもなく『みんな死んじゃえばいいのに』と呟いた。


 その一言が気に障ったのか彼女は酷く私を罵倒した。


人が折角心配してあげたのに、なんのよその態度。そんなんだから両親に虐待されて勝手にクズ同士が殺し合ったんじゃないの? それとも貴方が殺したの?


 貴方が殺したの?


 その一言に対し私は笑顔を見せて『そう』とだけ返した。


 その後、遠足のバスの事故が起きてその女の子以外みんな死んだ。

 虐めていた本人だけ生き残ったのは不本意だが、この時点で私は自分の異例性に感づき始めた。

 

 そこから何回か、適当な犯罪者で実験を繰り返し、自分に何か不思議な力があると確信めいたものになっていた。

 強く死ねと願えば形はどうあれ結果は死に繋がる、これはもしや神様に貰った贈り物なのかもしれない。


 普通だった人生に色が染まった。

 そこから人生は楽しくなったと思う。


 高校生の時だった。

 何事にも縛られず、周りからは変わり者としてはやされながらも自由気ままに生きている時ある女の子と出会った。


 それは愛芽と言う、根暗で見ているだけでうんざりするような子だった。


 どうやら家族がいないようで、最後に残った兄でさえ最近亡くなったそうだった。

 そんな境遇故か誰も触れようとしない、腫物扱いに近いかもしれない。


 私は同情した。

 人生なんて一人でも楽しく生きていける。


 でもある事に気づく。

 私が楽しく生きているのは力があるから、しかし彼女には私のような力などない、だから可哀想だと思った。


『死んでほしい奴はいない?』


 私は彼女にそう言った。

 しかし彼女は何を言っているのかわからない顔をした。


 構わないで、ただ一言だけ残し無視をした。


『そ、でもお兄さんは殺されたのよね? その犯人に死んでほしいと願った事はないかしら?』


 すると彼女は激怒し、去っていった。

 どうして怒るのかわからなかった、折角憎い相手が死ぬ機会というのに。


 でも強い憎しみを持っていたのは感じ取れた。


 私はその日、事件を調べ犯人を殺す事にした。


 二週間後、犯人はあっさりと獄中で突然死した。

 私は彼女がどんな反応をするのか内心楽しみだった。私のように楽しく生きるようになるだろうか、少なくとも嬉しい感情はあるだろう。


 しかし愛芽は学校に来なくなった。

 仕方ないので教師に家を聞いた、すると教師も面倒くさがってたようで私の提案をアッサリ了承してくれた。


 古い家、一言で見るとそんな印象だった。

 インターフォンを押す、誰も出ない。何度か押す、誰も出ない。


 私は入り口のドアに手を触れた、すると鍵はかかってないようで図々しく入っていった。


 うす暗い居間の片隅に彼女はいた。

 

 出てって。


『そう、これ』


 私は話を聞いてるようで無視し、プリントを渡す。


 帰って。

 彼女は怒り、プリントをバラまいた。

 

 顔を見ると不健康極まりない顔をしていた。

 睡眠も食事も取ってなさそうだ、私は心底理解できなかった。


『良かったじゃない、貴方のお兄さんを殺した犯人死んだわよ』


 それが彼女の逆鱗に触れたらしく彼女は私に物を投げ続けた。

 帰れ、帰れ、そう叫び、彼女の投げた花瓶が頭で割れる。


 痛い、凄い血が出た。


 でも別に怒りなど無かった、痛みには慣れている、それに彼女は私の血を見て凄い罪悪感を覚え、今にも泣き出しそうな顔をしていた。

 だからだろうか、優しい子だから別に怒りなど一切湧かなかった。


『一度切りの人生、もっと楽しめばいいじゃない』


 出来ない、出来るわけがない。

 彼女は泣きじゃくり、一人ぼっちじゃ生きても楽しくなんかないと叫ぶ。


 そして『なんでお兄ちゃんが死ななきゃならなかったのよ、私が殺してやりたかった』と恨み言をぼやきながら泣き続けた。


 私はぼっちだ、でも楽しくないと思った事なんかなかった。

 なかった……?


 それは本当だろうか、何故か自分の考えに疑問が生じた。

 そしてあの時猫を拾った時のように自分の思考とはかけ離れた言動を私はしていたのだ。


『ならぼっち同士友達になってみないかしら?』


 そう言ったのは彼女を下に見ていたからだろうか、いや違う、愛芽は昔拾った猫に似ていたのだ。

 ただそれだけの事だった。


 愛芽は単純な人間だった。

 ちょっと構ってあげたらすぐに立ち直った。こっちに依存しかけていて鬱陶しく内心助けるんじゃなかったと思うくらいだった。


 でも一度餌を上げて辞める気は一切なかった。

 独り立ちするまで面倒は見る気だった。


 愛芽と出会ってから三年ほど、ある人物と私は出会う。


 それは私を呪われていると称する女性であった。


『失礼しちゃうわ、呪いじゃなくて私の力でしかないわ』


 そうか、君はそう考えるのか。それは失敬。

 確かに贈り物は考え方次第で呪いにも力にもなる。

 ただ君の場合は少々暴れすぎたようだ。


『あら、私を裁きに来たのかしら?』


 いや、私はそういうものには興味ないよ。

 ただ警告したいだけだ。

 この世の中、都合の良い力に代償がないわけじゃない、君の力も勿論君の命を徐々に擦り削っている。

 

 それ以上使い続けると普通に死ぬよ。


『別に自分の体は自分が一番知ってるわ』


 そう、何となく自分の寿命が残り少ない事は何となく察していた。

 血を吐き、病院に行っても原因不明な時点で好き勝手し過ぎたのだろうと答えを出していた。


 ならよろしい、このままどうするかは君次第だけど近い未来、君を利用する者が現れるはずだよ。私は介入する気はないが、君がそのまま長生きしてくれると助かる。


 意味がわからない。


 私もただ適当に言葉を繋げているだけだよ。よくある思わせぶらせ、中身は空虚な奴だ。

 女の姿が代わり、男になった彼は手を振って去っていった。


 更に一年後、ある男達が来た。

 それはある怪物を殺したいと言う連中だった。


 それに対して興味は一切なかった。勝手にすればいい、脅しても無駄、殺せばいい。そう思っていた。

 

 男達は言う。


 君は怪物を殺すのではなくある男を殺すのを手伝ってほしい。

 その男は君の友達の兄を殺した真犯人だ。


 そこから話を聞いた。その男は私と同じ力を持っていて同じように沢山の人を殺したと。

 別にどうでもよかった、信憑性のない話だしそこまでする理由が私にはなかった。


 だけどある約束を思い出した。

 一方的に投げただけの約束ですらない何か。


 愛芽の兄を殺した犯人を殺す事、だからだろうか、私は了承してしまっていた。


 全ては自作自演だった。

 自分が殺される役をして裏でゆっくりと怪物を殺す作戦を練っていく。みんな自分の命を捨て駒にし、話さなかったが私も捨て駒として利用しようってのが察せた。


 それでも別に構わなかった、ならこっちも嫌がらせで手伝っているようでギリギリまで邪魔してやろうと思った。


 愛芽の兄を殺したとされる男と出会った。


 彼は私と少し似ていた。

 彼の背景は全て教えて貰っていたが、自分の力を呪いとして受け入れられない哀れな人な所が似て非なる点だった。


 この時彼にマーキングをした。狐も気づかない何十人もの霊媒師の命を費やして作った使い切りの転移術らしい、馬鹿みたい。

 でもこれのおかげでさり気なくを装って彼と出会える事になった、


 数日後、また彼と出会った。

 そして彼らの住む屋敷に転がり込む事が出来た。


 そこからわざとらしく被害者を演じ続けた。

 そして徐々に彼に対する違和感が強くなりだした。


 力を受け入れられない哀れな人間、ずっと一人勝手に苦しんでる馬鹿な人間。


 なのに。


 私より満足した顔をしている人間。


 私はこの男を本気で殺したいと一瞬思った。


 私に依頼をした連中は殆ど死んだ。

 彼らにとっては一番最後のプランを決行する事になってしまったようだ。全然信用にならない私に全てを委ねる。

 私の行動一つで全てが無駄死にになる。


 それも当然そうなるように私は動いた。

 ほんの少しの計画が狂うように動くだけで失敗一歩手前に行くのだから面白い。


 最初に車と拳銃で殺そうとした男と出会う。

 

 みんな死んだ。

 後は君に全部任せる事になってしまったようだ。


『そうね、任せて逝って頂戴』


 本当に?


『本当』


 本当に本当に本当に本当に?


『本当本当本当本当よ』


 それで男は自殺した。


 後は彼が用意した疑似死体二つ用意し、私はメールを送って屋敷に向かった。

 これからは運に任せるようなものだが、どちらにせよ私の勝ちは決まっていた。


 狐がいるなら彼の目の前で死ぬ、狐がいないなら彼を殺す。

 どちらに転んでも破滅の未来しかない。


 この時私は気づく。

 依頼した連中も最初からこうなる事を予想してたのではないかと。

 犠牲は大小が変わるだけで怪物が壊れる事は最初から知っていたのではないだろうかと。


 まあどちらにせよ死人に口なしだ、死んだ人間の考えなどわかるはずがない。 

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