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死にたくても狐(君)の為なら生きよう  作者: れっちゃん
始まり?終わり?
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答え合わせ


 ただ何処にでもあるような普通の人生だった。

 父は娘を殴り、母は娘を暴力の盾として無視する。

 

 そんな何処にでもあるような家庭で私は生まれ育った。


 父は兎に角理由を付けて私をよく殴った、最低限殴る事に対する免罪符だったかもしれない。

 多かったのは目つきだった、親に対してその目はなんだ、今俺を睨んだな? 私はこの目が好きなのに酷いったらありゃしない。


 でも暴力は私にとってはボーナスでもあったのだ、特に顔が腫れると世間帯を気にした母は優しくしてくれる、学校にいかなくてもいい。

 だからわざと怪我した時もあった。


 でも何度か繰り返し行くと流石にバレ、母に怒られた。そこから大怪我しても学校に行くなとしか言ってくれなくなった。


 父はよくぶつけど最低限の暮らしはさせてくれて学校にも行かせてくれたからみんな同じだと、痛いのは他所も同じだと勝手に納得して自分の日常に違和感を持たなかった。


 学校では無関心な性格故かよく女子にイジメられた。確かイジメられた理由は陰気臭いからだったろうか、今でも正直覚えてない。


 でも虐められても気にせず、反撃もせず、誰にもチクらなかった。丁度いい恰好の的だったのだろうと思っている。


 ただ虐めが激化したのはクラスの人気の子の好きな男の子が私を好きだと言っていた時からだったのは覚えていた。

 

 平常だった。打たれても無視されても虐められても平常だった。

 それが自分の日常だと確信していたからだ。


 でもそんな代わり映えもしない日常に変化が生まれた。


 友達が出来たのだ、猫。


 雨の中、ダンボール箱の上に眠っていた猫を見て興味本位で拾った。

 理由は単なる同情だろう、私のように親や住む家があるわけじゃなく、捨てられ外で震えている姿が哀れだった。

 

 でも犬だったら助けてなかったと思う、私の名前が猫だから拾ったのもあった。


 父親に飼いたい言ったら思いっきりぶたれて追い出された。

 仕方ないので神社の縁の下に隠す事にした。少なくとも雨くらいなら凌げる立派な屋根だ。


 そこから毎日一日も欠かさず餌を上げて様子を見に行った。

 時に父親からそれがバレ、殴られそうになったけどイイコトをすれば黙ってやると言われたのでそれもし続けた。


 実験感覚で育てた猫だったが元気になって私を親かのように慕ってくれる様を見て私は笑ってしまっていた。

 

 この子は私の新しい生きる目的かもしれない、私の人生に彩をくれる子かもしれない。


 でもそんな日は長く続かなかった。


 ある日、私を虐める連中に声をかけられた。


アンタ、いつも神社にいるけど何してんのよ。


 誰にも知られたくなかった。だから適当に答えた。

 髪を引っ張られても押されても別に何ともなかった。その時も放課後の子猫と遊ぶのが楽しみで仕方がなかった。


 でもそろそろ猫の隠し場所を変える必要があるかもしれない、そう思ってた日だった。

 放課後の掃除当番を押し付けられ、せっせと終わらせて神社に向かう。


 猫はどこにもなかった。


 名を何度叫んでも来なかった。


 私は初めて泣いた。

 でも一人で動けるようになったのだと言い聞かせ、心の喪失感をこらえながらも家に帰った。


 ロッカーの中に袋があった。


 誰のものでもない革袋、その袋を持った途端嫌な予感が脳裏に過った。


 重たかった。


 その答えを否定しながら中身を空けた。


 猫の死体だった。

 猫は体中打撲だらけで死んでいた。


 私は父にスコップを貸してほしいと言った。

 猫の亡骸を生めるためだ。


 しかしこの時父は酒癖が荒く、酔った勢いで無理矢理私を押し倒した。

 そして服を裂き、父は下劣に私を見る。

 その目は既に娘を見る目ではなく、私をただのモノか女としか見てなかった。


 父に酷い嫌悪感が湧いた。

 今まで湧く事のなかったそれは、猫の死によるものだった。

 父が猫を飼う事を許可していればこの子は死ぬ事は無かった。


 初めて父を親ではなく醜い生き物として見た。


『死ねばいいのに』


 父は激怒し私の首を絞め始めた。

 か弱い子供の骨などアッサリ折れるかと思った矢先だった。


 父は母に背中を刺されて死んだ。


 でも母は私を助ける為にやったのではなく解放されたいが為にやったのだと目を見てわかった。だって次のこちらを殺そうとしているもの。


 そんな母ももう母親として見ていなかった。


 死ねばいいのに。


 するとまるで海外アニメのコミカル演出かのように母は酒瓶に足を滑らせて頭を打った。


 血を流し泡を吹き、必死に助けてと呟き続ける母を見て笑った。


『まるで私がジェリーでお母さんはトムみたい』


 そして母の手を振り払い、線香花火が消えてなくなるのを待つかのように眺めていた。

 母は事切れた。

 

 その後、何事もなかったかのように私は近所の人に助けを求めた。

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