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死にたくても狐(君)の為なら生きよう  作者: れっちゃん
女殴ってそうな糸目男
32/112

表発掘、裏抗争


「じゃあね、次会う時はいいニュースと凄いええニュース持ってくるわ」


 店の外に出た後、会話は終わり玲は扇子をヒラヒラ振りながら去ろうとするが背を向けて足を止める。


「自分には呪い効かないからサヨナキ君とはいい友達になれるとええなー、友達料として安く依頼承るでー」とだけ残して歩いていく。


 だが隣にいた華は立ち止まり、こちらに頭を下げて言った。


「この件は申し訳ありません」


 今更謝るのか? 狐露はまた怒りが感情を支配しかけた。だが杉糸の表情を見てそれは冷めていく。


「さようなら」とだけ杉糸は告げて反対方向に歩いていく。それを狐はついていく。


「どんな顔してる? 今の僕」


「一言では表せない、言うならば人間らしい顔をしておる。複雑な混ざり合った顔じゃ」


 正直に言えば自分に対し怒りをぶつけた時の顔に似ていた。


「そう」


 やれやれ、今回はいい思いより嫌な思い出の方が勝ってしまった。それどころか少し杉糸との仲が悪くなってしまったような気がして余計に気分が悪い。

 そんな事を考えてると狙ったかのように杉糸が言う。


「ありがとう、僕の為に怒ってくれて」


「今更ねぎらいの言葉か? 別にわらわは其方に為に怒ったわけでは……」


 しかし不思議と否定する気持ちが失せていった。

 今日くらいは心に身を委ねるのも悪くない。


「いや……そうだな、其方のために怒った、うむ、わらわ怒った」


「本当にありがとう」


 杉糸の灯火のような声に心配し、狐はその温もりを確かめたいがために腕に抱きつく。


「しかし所詮口約束、本当に信じれるのか彼奴らを」


「さぁ、でも玲君は大嘘吐きだね」


「なら余計に信用できないではないか…………もしや探偵である事も嘘なのかっ!? やはり今の世では探偵は存在しないのかっ!?」


 狐露は探偵が絶滅危惧種的存在だと勝手に解釈し絶望に満ち溢れた顔をするが、


「いや名刺貰ったし検索したら実際にあったよ彼の探偵事務所。それに」


 杉糸はもう一言付け加えた。


「信用はできるよ、不思議とね。多分彼は良い人だからかな」


 嘘吐きなのに良い人? 杉糸の言う事はたまにわからん。


「生憎わらわは疑う事ばかりの生だったのでな、其方ほど他者を簡単に信じきれぬ」


「じゃあ僕の言葉を信じてほしい」


「最初から其方の言う事は信じておるわ」


 狐は目を閉じ、杉糸が自分を引っ張ってくれると信じて身を預けた。

 しかし最後に一つ、今回の出来事の尻拭いを終わらせればならないと目を開く。


「ああそうだ、一つ最後に寄りたい所がある。最後の尻拭いをせねば気が済まん」


     φ


「やれやれ、困った困った」


 玲は困ったと言うが表情は真逆、全然困った風には見えなかった。

 しかし実際に自分が追い詰められ、あの二人に危機が陥ってるのが実態である。

 今も裏では狐を陥れようとする策が練られていて今すぐにでも手を打たねばそれこそ京都が更地に変わりかねん争いが始まってしまう。


 狐を動かさない為に既に解決していると嘘をついた。しかしまあサヨナキ君の方は気づいてるやろうな。

 さて、このまま何もしなければ自分の吐いた嘘は醜い嘘となってしまう。だからこそ自分の手で上手く纏め美しい嘘へ変えなければならない。


 彼は自分を信じようとしてくれた。

 ならそれにちゃんと結果で答えなければ。


「何故貴方は彼らに味方するのですか?」


 さっきまでずっと無言で後ろをついて来ただけの華から問われる。

 玲はそれにニコリと目を細めて答える。


「だって彼ら悪い人ちゃうし自分が味方する理由はそれで十分や」


 月光玲という人間は女殴ってそうな雰囲気と本人の性格故に誤解されやすいが、善か悪か、極端に言えば善よりの人間であった。

 

「なんてね、彼ら面白いから友達になりたいだけや、あんだけ乳繰りあって本番はヤってないとか笑えるやん」


 だが感謝されるのが苦手であえて自分に嘘をつき、わざと嫌がらせをして好感度のバランスを取る。

 そんな面倒くさい性格でもあった。


     φ


 一方その頃、夕暮れ狐露達。

 今回の女幽霊の遺体は埋められたままと知り、このままで終わるのも後味悪いので供養の為スコップ掘り中。


「狐露? ホントにこの周辺なの?」


     φ


 一方その頃、玲。

 その界隈の過激派連中を一方的に無双中。


「兄さん……やっぱりアンタはそっち側の人間か」


「自分は最初からどっち側でもないよ? 面白い方につくだけや」


「違うだろ、アンタが狐の味方をするのは……アンタが妖に育てられたからだ!」


     φ


 一方その頃、狐露達。夏という昼が長い季節とはいえだんだんと空が暗くなる。


「狐露? 頭蓋骨あったよ」


「待てい杉糸っ!! そ、その骨格は男だっ!」


「えっ」


     φ


 一方玲。

 被害を増してく激闘。


「何故だ!!! 何故俺はアンタに勝てない!!!! 俺を捨てたアンタに……アンタにだけはぁぁぁぁぁぁふざけるなァァァァ!!!!」


     φ


 一方狐。


「やっと見つけたぞ杉糸!! これじゃ! この骨じゃ!!」


「こう言っちゃ不謹慎だけど中途半端に腐敗とかしてなくてよかったね」


「うむ、身元確認させてもらうが……ふむふむ、この女の名は……」


「ねえ、見つけたのはいいけど、これからどうするか考えてる? 遺族や警察への報告、何故遺体を見つけたのか納得のいく説明とか」


「…………」


「ねえ」と杉糸の冷たい声が山で響く。


     φ


 一方玲。


「何故今の攻撃を避けなかった!! アンタなら避けれたはずだ!!!」


「なんでやろうなぁ……避けれんかった、はは、ハラワタが腹からこんにちわしかけてる」


 玲は二人の激闘に茶々を入れた第三者の攻撃に腹を刺され、大量の血を流していた。


「俺を助けなければ……俺を助けなければアンタは傷付かなかった!!!」


「ちょっとくらいは兄らしい事したかったのかもなぁ……今更な話か……」


「オラァ!! てめえら兄弟仲良く死にやがれ!!!」


「兄さんは……兄さんは……俺が守る……!!!」


 狐露と杉糸が死体探しをしている最中、裏では彼らの処罰を巡り血みどろとした争いが行われ、ある強者の兄弟が仲直りして過激派を力でねじ伏せた事を狐達は知らない。

 それから1週間後、ミイラ男になった玲が狭間に特に理由もなく遊びに行く程度には玲の望み通りの結果に落ち着いた……落ち着いた?


 ちなみに遺体は皮肉にも運がいいのか悪いのか、引き取りの遺族は誰もおらず屋敷の庭に墓を作ったのであった。

今回出てきた玲も色々と背景はあるんですがこの話の主人公は狐と青年なので凄い感じにダイジェスト。

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