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29 カナしばり
娘さんの右手が光って、わたしはそのまま震えるばかり。
屋根の上に置き去りにした囁きはまっくろ。
鼓動さえも無鉄砲に突撃してくる。
「殻を突き破って、世界は摩耗する」
妄想交じりの口づけに不死性はない。
おじさんが異世界に行ったって自慢してきたって、僕は明日を生きるだろう。
短いスカート丈に辟易し、ついでに長くない自分の足に罵詈gose on。
駄菓子屋の棒を振り回し、十円を回収する。
無知をさらけ出し、花束を贈ろう。
相手などいないけれど。
文集を作っては燃やす作業のなんと空しいことよ。
西の空が染まるころにまた会いましょう。
「そこできっと埋まるはず」
五日の傷と後悔の紫、傲慢の代価を糧に。
群れている雲を追いかけた幼い日に、誰も見たことのない青をあげる。




