計画と決行
デグリ帝国に無事到着。長い行列を見せていた関所はもう目の前に迫り、ようやく中に入れそうだ。
といっても、死ぬ程待たされてるんだがな。
俺の感覚では、いつもの3倍近く並ばされている気がする。
少しずつ近付くにつれて関所での怒号が耳に届くようになり、キレた商人が俺らの横を去っていくのが見えた。
関所での揉め事はザラにあるが、今回は些か多すぎる。
これは関所の通行税が明らかに多くなっていることを示しているのだろう。
ここからは推測になるのだが、出発前に集めてある革命の情報が鍵を握っているのだろう。
革命をされる兆しがあるのならば、税を重くして資金力を減退させることが目的と見える。
単純だが、効果はそれなりに期待できる。リスクを見なければ、のお話になるが。
税は大方軍備に回されることが多いのだろうが、それは領主の技量にかかってくる。
軍備に回されると言うことは民の目に届きにくいと言うことにもなる。
目に見えた功績が残らないから民は領主に対して不安を抱き、革命の一端を担ぐ人も出てくる。
諸刃の剣ってやつだな。
まあ、民にとって身近な怪物討伐の名目なのだとしたら、納得しようものかもだが。
そんなこと、流浪の行商人には関係ない話で。
「ちっ、まだかよ。おれたちゃあどんだけここで足止め食らわなきゃならないってんだ」
「ああ。俺もさっさと中に入りたい。依頼の時間が迫っている」
嘘だが。むしろこのおっさんの爆速でかなり余裕が出来てしまった程だ。
だが、このおっさんと一緒にいるのを大勢に見られるのはまずい。
違和感に気づく奴がいるかもしれないからな。
ようやく前の人がいなくなり、俺らの番がようやく回ってきた。
役人が俺らを先に促し、俺らの検問が始まる。
「次だ!ん、見るからに行商人だな。通行証を持つなら1金貨、持っていないなら10金貨だ」
「通行証ってわけじゃあ無いんだが、これがある。よく見ろよ、偽物じゃないからな」
と、おっさんはなにやら貴重そうなものを取り出して、警備兵に放り投げる。
「こ、これは…!!少し待っていたまえ!すぐにうえと連絡をとる!!」
「話が早くて助かる。あまり待たせるんじゃないぞ」
と、焦った様子で役人が後ろへと引っ込んだ。
さっき渡した通行証?的な物、かなり貴重なものだったりして。
しばらく待った後、青い顔して引っ込んだ役人がようやく姿を現し、先へ促すようにジェスチャーをした。
「先ほどの非礼はお許しください。上との連絡は取れました。通行税は取らないのでどうぞこのままお通りください」
と、先ほどとは手のひらを返したような振る舞いで、おっさんをもてなす。
「おう。じゃあ遠慮なく通らさせてもらう。ああ、そうそう、同乗者のこいつに通行税は取らなくてもいいのか?」
と、おっさんは俺の方は視線を投げる。
役人はおっさんの視線に従い俺に視線を投げるが、俺と目線が全く合わない。
「はあ?誠にすいませんが、そこには誰にもおられないようですが。あなた様お一人なので、どうぞお通りください」
役人が俺のことを全く視界に捉えていない。まるで俺が存在していないかとように。
役人がそういい、「そ、そうか?」と腑に落ちないおっさんだが、促されるままに関所を後にするのだった。
無事に関所を通り過ぎることができ、無事に一息つけた商隊一行。
これでこの商隊は解散という形になり、各々の属する商会ギルドの建物へ荷を下ろしに行ったり、行商の準備をしに街へ繰り出す人もいた。
おっさんは最後の商人が立ち去った時、俺を観察するような目線を投げかけた。
「お前、一体なにもんだ?」
開口一番に敵意を感じさせる一言を俺に尋ねる。
その言葉、今感傷的になっている俺にとっては刺さる言葉だな。
内包する意味は全く違うだろうけど。
「何者ってどういうことだよ?」
と、一旦おどけるような態度をとり、おっさんの言うことを受け流す。どうせあまり意味がないと思うが、まあ一応。
「とぼけるな」
その一言だけで伝わる威圧は半端ではない。おっさんの視線も凶悪になり、オーラが幻覚で見えるような凄みを増している。
決して怒鳴るようなことはしていない。だが、この一言にこもる意味は言葉では表せないおぞましいものがある。
これは、ふざけた態度は虎の尾を踏むようなものだ。そんなしょうもない危険をとる必要はない。
俺はおっさんの凄まじい眼光を真っ向から受け止める。
それをするだけで、おっさんは一歩たじろいだ。
「なんだ、その目は…。人が持つ目じゃねえ…」
百戦錬磨のおっさんは色々な目を見てきたのだろう。多分このおっさんは元冒険者。で足を洗って行商人になったのだろう。
そんな彼が一歩たじろぐ程、俺は強いわけではない。冒険者なら、多少の強敵なぞ、たじろいでいては話にならないからだ。
おっさんは元冒険者と言っても相当上位に食い込むほどの手練れだ。
そのおっさんがたじろぐ。それは、今までに一度も経験したことの無い別種の恐怖。
それをおっさんは感じ取ったのだろう。
「俺のおっさんの契約はこれで終了だ。世話になったな」
「あ、ああ…」
と、俺は駄賃である銀貨1枚を床にパチンと置き、その場から去った。
おっさんはその場に立ちすくみ、俺の足取りを目だけで追っていた。
止めようとした腕を中途半端にあげながら。
俺は表通りから横道入り、俺の居場所である裏通りに戻った。
ジメジメした空気、光の通らない通路、掃き溜めのような臭い香り、五感をくすぐる全てがいつものもので、すこし心を緩めることができた。
(何者か…)
おっさんが俺に投げかけた言葉。そのたった一つの質問が俺の中にまだ渦巻いている。
俺はこの行商の旅の中、ずっとおっさんから目線を切っていた。
人の目は、人の心を表す鏡のようなもの。
おっさんから見て俺はどう写ったのか。
言葉のまま、俺は人では無いのだからな。心が死んでいる。
俺と目を交わしやつは大抵怯え、距離をとろうとする。おっさんも例外ではなかったようだ。
俺の目を見てもなお近づける人は一度も現れない。もちろんこれからもだ。
もう期待はしない。
ぼんやりとそんなことを考えつつ、俺はこの地に構える暗殺者の拠点に訪れた。前と同じような仕掛けを作業感覚で解除していき、中へと訪れる。
作りは前の所より簡素で、建築様式はデグリ帝国特有になっているが、居酒屋の体は維持したままになっている。
俺はどこの拠点でも、カウンターの一番端に座る。
ここはほとんど俺の定位置みたいなものだからな。
暗殺者は基本カウンターに座って依頼の受注、報告をするため、自然と定位置が決まる。まあ、俺の中での話で、俺は自由なタイプじゃ無いから他がわからないのだけど。
やはり、この国でも、俺の座った椅子以外は椅子に埃が溜まり始めている。
埃のつもり具合で暗殺者の死期を逆算できるのはなんとも言えない気持ちになる。
俺の知らないやつも、知っているやつもヒッソリと消えていく。
俺の属するギルド?は裏切り者を原則許さないため、いなくなるイコール死を示している。
もしかすると逃げ伸びている可能性もある。
暗殺者界隈は何気にナワバリ意識が強いところもあり、相当な強者じゃなければヨソでうまくやっていけない。むしろ無残に殺されるのが関の山になる。
そんな同業者の死を改めてみても心になびかない俺は、相当心が死んできている。
(また感傷的になっている…。そろそろこの暗殺者にも区切りをつけたい」
摩耗し切った心は、将来を考えることはまるで皆無だった。
このような思考は前の街でもしたな。
切り替えないと、最後の仕事に支障をきたす。
そう思った俺は、目を閉じて一度深く息を吸い込み、ゆっくりと息を吐き出す。
ジメジメした体に悪そうな空気が肺を満たし、わずかながら波打つ心を鎮めていく。
よし、今回の情報をもう一度整理しておくか。
今回の依頼は敵軍の将校暗殺。ただそれだけ。
今の標的の場所は…と、前の拠点で仕入れた場所と同じか。
標的は、今丁度デグリ帝国の首都【カレスタール】から出発し、この都市との中間都市【レクリア】へと向かっている途中だ。
今回の暗殺場所はこの中間の商業都市【レクリア】だ。
最近は国を挙げての増税の為、相当衰退しているようだが。
おおよそ標的の目的は、【レクリア】で燻り出している革命の事前の火消しだろう。
標的、アーミング・テラ・モルストは政治上での過激派。目に見えた反対勢力は自らの手で捻り潰す気なのだろう。
それ程頭が回らないため、火消しのやり方、その後の処理が分からないようだが。
まあ、そこは俺には関係ない。時間指定はないから、俺の都合の良い時に暗殺するだけだからな。
俺はカウンターの机に魔力を流し込んでもう一度依頼を確認する。
「ん?」
俺は違和感を感じてもう一度よく文字列を読み込む。
【デグリ帝国の過激派将校、アーミング・テラ・モルストの暗殺】
【条件:標的の任務を阻止】
光った文字列は前の街で見た内容に覚えの無いものが付け足されていた。
この移動の間に時間指定が追加されている、だと。
俺は眉間に寄ったシワを指先でほぐしながら思考を続ける。
要するに、早めの暗殺が肝心ということか。
標的の任務を遅らせることは不可能と見ていいだろう。妨害工作を働けば、その分身の回りを警戒され、暗殺の難易度が跳ね上がる。
そもそも俺が動かせるコマはいないんだが。
奴は既に首都を発った情報がある。つまり、【レクリア】に到着までおおよそ3日と見積れる。団体様の移動ならそれより多くかかるだろう。
それに対して俺のいる国境都市【アルカード】から早馬で2日が限度。
路上での暗殺を考慮に入れるなら、1日かけて首都までの道を行けば一応可能。
無しだな。他の危険性が多すぎる。俺は暗殺に特化しているだけで、対怪物に対しては波の冒険者(よくてCランク)の実力しか持ち合わせていない。
道中に怪物の群れに遭遇すれば色々不測な事態を呼ぶからな。
ならば、都市内の暗殺しかない。
【レクリア】に来る道中なら、道路は一本な為、標的の動向を絞ることが容易だが、都市内となると、行動を読むことが難しくなる。
となると、相手の動向を絞り込む必要がある。
つまり誘導だ。
推測の域を出ないが、奴の任務は、革命の因子を鎮圧。
これでもう答えが出た。計画はもう練り上がったな。
後は標的が来る前に仕上げないと。
俺はここで思考を中断してまた魔力をカウンターの机に流し込む。
追加の情報はないか。
俺はそれを確認し、この埃立つ居酒屋から去っていった。
さあ、依頼を終わらせるとするか。
俺が初老のおっさんから去った後、おっさんはある人から頼まれていた極秘な荷物を届けに来ていた。
馬車を走らせること十数分、市壁の中では辺境に位置する所にあるおっさんの依頼主の豪邸。
おっさんはようやくここに辿り着くと、豪邸の門の前へ足を運び、門をドコォンドゴォンと破壊する勢いでたたく。
ミシミシと門の両扉が悲鳴をあげ、彼の叩く箇所はガラスが割れた感じに放射状に亀裂が入っている。
「おーい!レックス!お届けもんだ!!」
と、おっさんが大声で豪邸の主の名を呼ぶ。
豪邸の主はそれに反応したかのようにドタドタと家の中を走り回る音が聞こえ、おっさんの叩いていた門が開く。
「やめろぉ!また門をぶっ壊すつもりかお前!修理代がバカにならないから勘弁してくれや!」
と、キレ気味で豪邸の主、レックスが門の向こうから現れる。
「よう!しばらくぶりだな!また太ったなお前!ガハハハ!」
おっさんはレックスの抗議を綺麗に無視して、友の再会を喜ぶ。
「こ、こ、に!呼び鈴が見えないのか!?門叩かなくてもこれ使えば使用人が出てくるからさ!」
レックスは諦めない。物分かりの悪い子供に教育しているようだ。
「はあ?んなもんめんどくせえよ。門叩けばお前出てくるからいいじゃん」
たしかに門を叩けばすぐにレックス本人が駆けつけてくる。
なぜなら門を叩く音が豪邸に響くのは彼の力以外ありえないから。
使用人をまたいでレックスと会うのが煩わしいおっさんは、本能的にこれがわかってるからやめない。
「はあ、全く君って奴は。脳筋はこれだから疲れる」
と、レックスは呆れて頭を抱える。
この二人は過去同じパーティーの中だ。だから、こんな砕けた会話をすることができる。
と、柔らかい雰囲気をまとっていた彼は、顔を上げたら真剣そのものに変わっていた。
「で、荷物はそれかい?レアード」
「ああ、これだ。もちろん中身は見ていない。これでいいだろ?」
と、荷台にある少し大きめな木箱を指差している。
「運搬ありがとう。とりあえず中に入ってもらえないか?誰にも見られたくないからな」
「おう」
と、レックスは門の中にレアード(おっさん)を招き入れ、庭に荷馬車を置き、大きめな木箱をレックスの豪邸の地下まで持ち込んだ。
薄暗い空間に着き、木箱を下ろすように支持するレックス。
「君に嫌われるかもしれないことを覚悟だけれども仕方がない」
と、レックスいきなり不安なことを繰り出す。
「なんだよ、水臭いな。さっさと言っちまえよ」
こんな空間に連れこられ、少しきな臭い匂いを感じながらもレアードは古き友人のことを疑わない。疑いたくないと言った方がいいか。
軽い言葉を言ったつもりだが、彼は手に少し汗をかき、レックスの目をしっかり合わせることができない。
地下に行くということはきな臭い事をやる奴らの定石だ。
かなり単純な事かもしれないが、地下だと証拠の隠滅をしやすいことも事実、その疑いを持つのは普通の人ならではだ。
レアードは元々感じ取っていた。このきな臭い依頼のことを。
だが、古き友のことならばということで泥をすするつもりで受けた。
元冒険者のくすぶっていた勘がいまはっきりとし、友人に疑念を膨らませている。
レックスは木箱を指差した。
「レアード。この木箱を開けてくれ」
「わ、わかった」
と、言われるがままに己が運んできた木箱を開ける。
その中を覗くと、レアードは驚愕で身体の動きが止まった。
「な、なんだこいつは…」
と、震えながらも彼は言葉を発した。
レアードは木箱の中から目を離すことができなかった。
いや、金縛りにあって目線を晒さないのか。
「これは、端的に言えば闇だ。人間の業だ」
と、レックスが木箱に目線をくれず、独り言のように吐き捨てる。
ようやく木箱から目を離すことができたレアードは、レックスを睨む。
かつて同情した彼よりも殺意を増した目で。
「どういうつもりだ。いや、これから何をするつもりだ」
怒気を孕んだ声音は、生半可な冒険者なら卒倒して倒れていただろう。
レックスはその目線と声音を真正面から受け止め、レアードの目を捉える。
「俺にはわからない。俺は荷を受け取る役目をしただけ。いや、受け取らさせられたというべきか。お前と同じだ」
彼にもこの荷物の意味がわからない。真相にたどり着けていない。
「それは、本当なんだろうな?」
レアードは凄みを効かせて彼を睨む。
レックスは濁りのない目をこちらに向け、嘘でないことを証明する。情けなさが影に出ていたが。
レアードは彼の瞳を信頼に値すると判断し、眼光を緩める。これは、永年培った信頼がそう判断したのだろう。
「ちっ!」
レアードは舌打ちをし、もう一度木箱の中を見る。
木箱の中にいるそれは漸く動き出し、キョロキョロと辺りを眺め出した。
たまたま視線が絡み合い、レアードはそれの瞳を見てしまった。
ゾクッ!?
レアードは急な悪寒に苛まれ、腰を抜かす。
どかっと床に腰を付けた彼ははたから見ればただの怯えたおっさんにしか見えなかった。
「な、なんだよ。今日は。こんなことがあっていいいのか」
と、怯えるような声でレアードは独り言を呟く。
そうこの瞳を見たのは二度目だ。だが、感じた恐怖の度合いは全然格が違った。
「大丈夫か!?レアード!?」
レックスは腰を抜かしたレアードに異常を感じ、レアードに歩み寄る。
だが、彼の声はレアードには届かない。彼は今の状況を飲み込むことが精一杯で、誰の声も届かない。
「誰だ。これを作り出した奴は…。誰だ、これを必要としたものは…」
木箱の中を焦点の合わない目で見つめる彼は、呆然とした頭から怒りという感情が湧き上がってくる。
「れ、レアード?」
彼の豹変を見たのは二度目だ。一度目は仲間を怪物に食い殺されるのを見たとき。その豹変ぶりは人の域を超えていたのを覚えている。
だが、今回は桁が違っていた。彼の木箱に向ける視線は人を殺すように鋭く、怒りが形となってからの周りに渦巻いているのを幻視した。
そんな彼を見たレックスは怯んだ。肩に乗せようとしたてをヒクつかせて、一歩後ずさる。
「闇、といったな?」
レアードは木箱を眺めながら、そうレックスに問いかける。視線はレックスに一切負けない。
「あ、ああ。これは人間の闇が生んだものだ」
ひるみながらも彼の問いに答える。
レアードは腰に力を入れ直し、ゆっくりと立ち上がる。その様はまさしく憤怒にとり抜かれた化身のようだった。
「また、冒険をする必要が出てきた。相手は違うがな」
静かにそう呟いたレアードは地下の出入り口の方へ足を向ける。
「冒険って、まさか!?やめておけ!それは危なすぎる!?」
冒険の意味を察したレアードは彼を止めようと手を伸ばす。
相手するのはこの世の闇の部分、大きすぎる。無謀もいいところだ。
だが、歩むのをやめない。レックスの止める手を払い、前へと一歩進み、翻った。
「お前はどうする?俺についてくるか?それとも傍観者になるか?」
と、試すような言葉を並べる。正直勝ちが見えない戦いになる。
理性ではレアードの誘いに全力で抗議している。
だが、止められない。俺の本心はそうじゃない。
俺は強かなはずだった。なのに、余生を満喫していた時に、利用された。一生の不覚だ。
これは明らかな彼の侮辱である。彼の存在を嘲笑ったのと等しい。
レックスは、理性を抑え込み、己にも怒りの感情を芽生えさせた。閉じ込めて、種のまま抑え込んだ禁断の感情を。
「ああ。人生最後の歩みか。付き合ってやる。さっきの弱気は許せ。俺は平和ボケしていたようだ」
彼はレアードに目を真っ直ぐと睨み返した。
その目は諦めを宿した爺の目ではなかった。若かりし頃の叡智を宿した眼差しだ。
そんな目を宿した彼を見据えたレアードはニッと口角を上げた。
「数十年ぶりだ、仲間を集めるぞ」
「ああ、また伝説を刻むのも悪くない」
と、今後の方針を話し、二人は別れていった。こんな辺鄙な地下室で、伝説の再集結が始まったのだ。
と、忘れかけていた木箱に目を向けると、そこにはそれは姿を消していた。
それに気づいたレックスは、心の中で謝意を示す。
(すまない。今はまだ、お前を救うことはできない)
彼の受けた依頼は受け取るだけ、彼の仕事は全うした。
大をとるためには小を切り捨てなければならない。
レックスは心の中で救えない命を思い、地下室を去った。
全然思った風にかけないです。頭の描いた物語から少しずつずれていく気がします。
ちなみに、
クエストは誰でも受けることができます(ランク制限を抜けば)。
オーダーは指名依頼です。