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人間というヒト  作者: 摂津 裕(ヒロシ)
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アリ

昨日は同僚が、一昨日は後輩が自殺した。今日もまた誰か居なくなるのか。そんなことを思いながら今日も働く。



私の会社は女王アリの社長がいて部長、課長、係長と様々な役職がある。私は入社してから死に物狂いで働いて今年部長になった。部長になるまで私は何度死のうと思ったことか。というのもこの会社の職場環境は良いとは言えない。



私たちの業界には守らねばならない決まりがある。しかしこの資本主義の社会では効力など持っていない。隣のアリの巣の会社よりも働かなければ生きていけないのだ。だからほとんど寝ずに働くアリもいる。私も含め皆顔色は頗る悪い。


1ヶ月後



1ヶ月のうちに20匹が無くなった。5匹は事故。残りの15匹は自殺。いつも仲良くしていた仲間も多くいた。正直私も心身が限界に来ている。明日過労死しても不思議ではない。

私たち部長は女王アリに何度か意見を言った。しかし、女王アリは聞く耳を持たず何かと憤慨しておられた。働きアリの私たちの部下たちは何度もストライキを起こし巣の中の空気は専ら芳しくなかった。上には何かと憤慨され下のものには仕事を放棄され何をすれば良いのか。




私はこの巣の環境を変えたくて何度も行動を起こした。だけど、それで社長の女王アリには嫌われただろう。社長に全く相手にされなくなったのだ。部下には信頼の無い上司と見られているのだろう。よく悪口が耳に入るのだ。どうしたら良いのか。いっそのこと....



1ヶ月後



この2ヶ月の営業成績が発表された。私たちの業界では2ヶ月単位で発表される。私たちの巣の成績は他の巣と比べものにならないほど良かった。おかげで給料も上がった。それなのに専ら嬉しく無い。むしろ仲間を失った悲しみ。楽しく働けない悲しみ。そちらの方が私の頭の中の面積のほとんどを占めている。

働く目的は何だろうか。お金を稼ぐことだけか。その説はよく聞くがこれほど難解な言葉は無さそうだ。給料は上がりお金は稼いだのにそれに達成感は無いのだ。では働く目的は何なのか。もう私は働く目的を完全に失いました。



今日は雨。深い水たまりに身を投げ、死んだ仲間の元へ向かいます。



今回は現代の問題の1つである労働にスポットを当て、アリで風刺しました。働きアリ とよく聞きます。アリはいつもよく働いています。人間のように労働のストレスによる自殺がもしアリであったら。というところから物語は始まります。現代の労働とは何なのか考え直すきっかけになって欲しいです。

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