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星座神話物語  作者: Miku猫
6/10

第5星『月と太陽』

次の日からシェアトは


勇樹と共に、外に出ることが多くなった。




シェアトが来たあの日から4週間…………。



もうすぐで一ヶ月になるが、彼の記憶は戻ることはなかった。







「ねぇ。楓ちゃん。」



「ん?」



その日の晩。


シェアトは窓の外を見上げながら、私に問いかけてきたのだ。



「あの雲の上で光っている球体はなに?」



「え?そん……、、」


そんな事もわからないの?


という言葉を直ぐさま飲み込んだ。


子供のように目を輝かせながら


好奇心にまかせるがままに聞いてくるその姿から、


『彼は月のことを何も知らない』ということだ。


「あれは月っていうのよ。」


シェアトは直ぐに月へと目を戻す。


「月…………。月はどうして明るいの?」




楓は空を見上げた



月はなぜ明るいのか。



誰しもが疑問に思い、研究したことだろうか。



「月はね………………。太陽の光が反射して、月が輝いているように見えるの。不思議だよね。まるで兄弟みたい!」



楓がそう言うと、シェアトも再び月へと目線を移した。




まるで、誰かを思い出すように。



「シェアトくん?」



「あれが……月。」



シェアトは知らないはずの記憶の断片を見た。



赤髪の青年と、腰まで長い白い髪の少女を追うもうひとつの影。



記憶はそこで終わってしまった。



どこか懐かしさを感じていたシェアトを、楓は不思議そうに見つめていた。



「あ!そうだ。シェアトくん!見せたいものがあるの!」



「僕に……見せたいもの?」



楓は口に出すと直ぐに行動に移した。


本棚から一冊の本を取り出すと、シェアトの前に差し出したのだ。



「これね。お爺ちゃんが、私の誕生日の時に買ってくれたの。とても綺麗でしょ?」


楓が差し出したのは『星座神話物語』と書かれた、一冊の絵本だった。



シェアトが本を開こうとすると、


「シェアト兄ちゃん!遊ぼ!」



まさかの勇樹の妨害に、絵本を床に落としてしまう。



楓はさっと本を拾うと、勇樹を怒った。



「もう!勇樹、本を持ってる人に抱きついたら危ないじゃない!」



「お姉ちゃんばっかりずるいよ!僕もシェアト兄ちゃんと遊びたい!」



「遊ぶって……あんた今何時だと思ってるの!いい加減寝なさい!」



そんな二人の光景を、シェアトは苦笑いをしながら見つめるだけだった。



今日も朝比奈家に、暖かい風は流れている。










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