前編
私たち双子が育ったのはお城だった。
遠い昔。
小さな頃の話。
小さい頃住んでいたお城には人がたくさんいて、やさしいお父様とお母様がいた。
きらきらしたお城の中で、きらきらした服を着て、きらきらした日々を過ごしていた。
妹は泣き虫で、転んだだけですぐ泣くような子だった。
いつも私が、慰める。
それを見たお母様が、私をほめてくれるから。
お母様の笑顔を見ると、妹だってすぐに泣き止む。
私たちは笑顔で過ごしていた。
あの日までは。
その日は嵐だった。
雨の音、風の音、雷の音、光、すべて覚えている。
お父様は嵐のせいでかえってこれないと連絡が入った。
お母様は私たちを悲しませないように、手料理のごちそうを作ってくれた。
たくさん、作ってくれた。
私たちは食べなかった。
お父様が帰ってくるまで、食べたくない、って。
あの時なんで食べなかったんだろう。
思い出すと後悔しか残らない。
その日、お母様が殺された。
理由は今考えればいくらでも考えられる。
でもあの時は、ただただわからなくて、恐怖しかなかった。
突然の暗闇、悲鳴、雷。
部屋の隅の机の下。
私たちは二日間そこにいた。
見つけてくれたのは、お母様でも、お父様でもない、知らない大人。
それから数日たっても、私たちの前にお父様は素顔を見せることはなかった。
お母様の後を追っただとか、いろいろ噂されていたけど、私たちからすればはた迷惑な話。
お父様は、私たちを見捨てたんだ。
そう、理解した。
妹は泣かなかった。
あんなに泣き虫な子が、一滴も涙を見せなかった。
なのに、なんで。
こんなにも涙があふれるんだろう。
悲しくも、なんともない、はずなのに。
なにがかなしくて。
なにが悔しくて。
私はなんで泣いてるんだ。
泣いてる自分に、また涙がこぼれた。




