どうして、異世界転生は突然なんだ?
――異世界転生。
ラノベやアニメなどで、良く見かける、大人気ジャンルの一つ。
平凡な主人公やヒキコモリが交通事故などで、死んでしまい。
気付いたら、異世界に居たとか、神様に転生されたりとか……。
また、転生する拍子に何か、すごい特殊能力を授かったり、チートな武器を手に入れたり……。
そんな空想上だけのモノが……オレにも起きたのだった……。
――異世界――はじまりの街。
たくさんの冒険者が集まる、その街は新米の者が多く立ち寄り、鍛冶屋や商人の商売も成功しやすく、街は活気に溢れていた。
今日は日照りが強く、日本の夏ほどではないが、暑いのには変わらない。
ていうか、オレ、二年ぶりの外なんだけど……。
「クッソォ……体がすっかり貧弱になってやがる……」
オレの呟きに反応した者が一名、
「元々、衰弱だったのよさ」
そう、簡単にオレをけなしたのは、銀髪の幼女――セシリア。
アニメで出てきそうな、銀髪の美少女の幼女ロリータ版。
何故、銀髪の幼女と居るのかって?
――オレも知らんっ!
「つーか、オマエ。いつまで付いてくるんだっ? ママはどこだ? それともパパか?」
「うるさいのだよっ。アタシは、オマエと年同じだし、オマエと一緒で冒険者だしっ!」
「いやいやいやっ! ありえねーだろ!? どういう神経すれば、幼女を自分と同年代扱いできんだよっ! 完全に、ロリコンと認めない変態じゃねーかっ!」
「え、変態じゃないの?」
「じゃねーよっ!」
先程から、ずっとこの調子だ。
マジで勘弁してくれ、オレが何をした。
この、セシリアとかいう幼女――。
交通事故でトラックに轢かれ、目覚めた時――この世界にオレは立っていた。
いつの間にか、街のど真ん中に突っ立ていた。
パニック状態に陥ったオレの横に、コイツが居たのだ。
しかも、「アタシは神様なのよさ!」などと、意味不明の発言をぬかし、さっきからオレの横を離れない。
「なあ、何で付いてくるんだ?」
「え、神様の命令だから」
コレだ、またコレだ。
そろそろ、いい加減にしとけよチビ。
「あ、もういいから、そういうの。ほんと、飽きたんで」
「うぅぅ~。信じてないなぁ!」
「逆に、どうやったら、そんなアホみたいな話し信じられるんだ?」
「ふぅーん、異世界に転生したのは信じれるのにねぇ」
「それと、これは――おい、待て。どうしてそれを知ってんだ?」
オレはコイツを知らない。
だが、明らかにコイツはオレを知っている、口調だった。
オレは足を止め、セシリアを睨んだ。
「だーかーら。アタシは、この世界の神様に、転生したオマエの面倒を見ろって、命令されたのっ! これでも、アタシ――神様見習いなのっ!」
「うん、自慢できねーな」
オレが軽く返すと、セシリアは頬を膨らませ、
「神様見習いも、充分な神様なのっ!」
「でも、見習いだろ?」
「……………………一般人がっ」
この、ガキッ!
「あ、そうだ。オマエ、冒険者登録したか? 早くやれよ」
「うるせーな、下から目線で上から言うな――それに、オマエオマエ、やめろ。オレにはちゃんと、名前があるんだ」
セシリアは「どんな?」と、首を傾げた。
フッフッ、では、ご期待に応えよう!
我が名は――
「我が名は――キリヤ。世界最強の大英雄だ。(ネトゲの)」
「………………厨二、乙」
おい、やめろよ。
あくまでウケ狙いだ、素じゃない。勘違いするなよ。
そんな、眼でオレを見るな、マジで。
自己紹介を終え、オレはセシリアの言うとおり、冒険者ギルドに向かった。
西洋の街並みの商店街? を抜け、ドシンッと堂々と建っている建物。
それが冒険者ギルドだった。
巨大な木造建築の建物で、まさにファンタジーを感じさせる物だった。
オレは扉を開き、そのまま真っ直ぐ受付に直行した。
巨乳で美人な、受付嬢にドキドキしながら、オレは言った。
「すみません、冒険者登録したいんですけど……」
「えっ、大丈夫ですか? そんな、細い体で!」
初対面で失礼過ぎるだろっ!
何? この世界、そういう習わしなの?
「あぁ、その辺は大丈夫なんで……」
「でも、正直。アナタ弱そうです」
頼むから、もう、ほっといてくれ。
「あの、本当、大丈夫ですから。本題の方を」
「あ、はい。では――」
受付嬢の「では」と同時に、受付の奥の方から――おっさん?
「この方を倒す事が出来れば、試験合格です」
「試験? そんなのあるの?」
オレの素朴な疑問に、
「当然なのよさっ! って、知らなかったの?」
「オマエが言ってくれてないからなぁ!」と、セシリアの頬を強く摘まむ。
マジかよ、オレ武器とかないぞ。
しかし、事はどんどん進み。
「ワシはギルドマスター。さぁ、ワシを倒してみろっ!」
「ああ、上等だ!――は? ギルドマスター!?」
読んで下さり、ありがとうございます。
評価など、お願いします