1.エクソシスト、日本に帰る
今日は、法王様に呼び出された。あのオヤジに呼び出されるとめんどくさいことこの上ない。イヤな予感がする。
「法王様、お呼びでしょうか?」
「ああ、エミリー。お前は、日本出身で日本語がしゃべれるな」
「はい」
「神のご神託があった。日本の少女が、異世界に召喚されると」
「神様は、それを阻止できないのですか?」
「法律を穴を悪用するような形で、異世界に誘拐されるようだ。神様でも、阻止しきれないとおっしゃっていた」
「困りましたね」
「そこで、エミリーが一緒に異世界に誘拐されろ。少女の安全を確保するのが目的だ」
「私も、少女なのですが」
「そんなことは、どうでもいい。このハリセンを一緒に持って行け」
「ハリセンかい!」
「日本の由緒正しいツッコミ道具だ。一見、武器には見えまい」
「そうですね」
「ところで、エミリー。エクソシストの任務中、物理攻撃のみだと聞いたのだが」
「なに言ってるんですか、魔術で悪魔を倒すより自分の手で敵を粉砕する方がいいじゃないですか。魔術は奥の手。常に奥の手を持てという偉大な先人のお言葉に従っただけです」
「ウソつけ」
「チッ」
「魔術の天才だから、魔術を使えばよいものを」
「圧倒的に有利な状況で、敵を倒しても面白くありません。敵に有利だと思わせて、精神的かつ肉体的に叩き潰す方がいいです。誰に喧嘩を売ったのか教えてあげないと、かわいそうじゃないですか」
「そうか...」
「それで、その少女は性格が天使とかなんですか?召喚されるなら、少々お花畑思考じゃないと、向こうの世界に都合が悪いでしょう」
そういうと、法王様はおもむろに視線を逸らしました。一番されたくない質問をされてしまったというように。法王様は溜息を吐き、明後日の方向を見て
「会ってみてのお楽しみだ」
任務内容で都合が悪いことを聞かれないようにと、日本に追い出された。
この鬱憤は、異世界の馬鹿どもで晴らしましょう。