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第1話 -白天-

 一つの墓がある。


 それは、ある英雄のために作られた、その功績に比べればあまりにちっぽけな墓だ。

 彼は、地球という世界から異世界に呼ばれた、当時15歳の少年だった。

 

白天びゃくてん”の異名で呼ばれた英雄。

 神獣に魔王、聖女や神であろうと如何いかなる敵とも戦い抜いた、神威の剣士。


 容姿端麗、聡明かつ勇敢で、そして心優しく正義感の強い、理想的な英雄であったと語られている。


 それも間違いではないのだろう。

 そう評されるに相応しい功績を、彼は遺していったのだから

 だが同時に、正確ではない。

 彼を語る多くの人々は知らないのだ。彼がただの少年であったことを。


 泣き虫で、

 寂しがり屋で、

 あがり症で、

 天然で、

 馬鹿みたいなお人好しで――


 彼は当たり前のように喜び、怒り、哀しみ、楽しむ、年相応に未熟な一人の少年に過ぎなかった。

 そして、その「当たり前」を誰よりも大切にしていた。

 それ故に、彼は“アルス・マグナ”の一角に数えられる英雄なのだ。


 ……その英雄の墓には、「神護悠かみもり ゆう 享年16歳」と刻まれている。


 優しく泣き虫な、英雄の話を始めよう――


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