第一 仮想空間技術とアルカディア
最初の設定はSF風味です。残念ながらファンタジーではありません……。
VRMMOアルカディア
世界初の仮想空間技術を使用したオンラインゲーム。中世ヨーロッパを基本とした雰囲気のファンタジーMMORPGである。広大無辺なフィールドと、数えきれないほどの数を誇るスキルや職業を特長としていて、プレイヤー人口は全世界で数億人いる。システム的にはレベル制とスキル制を併用したキャラ成長を採用していて、個々人の趣向に合わせたプレイが楽しめるゲームだ。
このように世界中で人気のアルカディアだが、実はもともと仮想空間の大規模利用を試験するための国家プロジェクトで開発されたという経緯をもっている。そのため莫大な開発費用の一部は政府資金から捻出されており、さらに運営は政府系通信企業。そのため管理がお役所仕事だったり……。
このアルカディアのメインコンピュータには世界初の高次元量子アルゴリズムを利用した最新型量子コンピュータ、セス・システムが採用されている。そのため膨大なデータを持つアルカディアでもスムーズな管理運営が可能となっている。
仮想空間技術(VR技術)
脳に神経接続し、疑似神経パルスを送ることによって五感を再現する技術。ただしアルカディアに採用されている技術はそれだけではない。アルカディアの場合、人間の脳と量子的に重なり合った状態にある意識体「アストラル」もセスと接続することで、第六感と呼ばれるようなものまでをも再現している。
この量子的存在である意識体「アストラル」は一般的に「魂」と呼ばれるものではないかとされている。そのためこの技術の開発に関しては根強い反発があり、テロなども発生した。だが、最終的には情報技術立国を掲げる政府の方針により押し切られた。
量子意識体「アストラル」
一般的に魂と呼ばれる存在。おもに脳と量子的に重なり合った状態にあり、それ単体では三次元空間に安定的に存在することができない。人間の脳のカオス演算系を支えているとされ、これがあることにより人間の感情や個性が生まれてくる。第六感と呼ばれるようなある種の超越的感覚もここからきている。
アルカディアでは、これを特殊な通信回線によりセスと繋げることで現実と感覚的にもまったく同じ世界を再現している。気配や雰囲気、そういったものまで現実そのままなのだ。