校正者のざれごと――34日間(さんじゅうよっかかん)の謎
私は、フリーランスの校正者をしている。
「この、『日玉チェック』 って何ですか?」
事務所にいるとき、ある校正者から質問を受けた。ほかの校正者の作業内容に書いてあったものだ。
「ああ、それ、カレンダーの校正のことですよ」
彼はふだん経済関係の本の仕事がメインで、カレンダーの校正は経験がないという。
カレンダーの数字のことを「玉」という。月の数字は「月玉」、日の数字は「日玉」だ。「日玉チェック」はカレンダー校正の大事な工程で、必ず一つひとつチェックを入れながら確認する。在宅のときは、声に出して読みながら確認することもある。
日付の読み方といえば、以前から疑問に思っていたことがある。
「4日」は「よっか」。「4日間」は「よっかかん」。
「14日」は「じゅうよっか」。「14日間」は「じゅうよっかかん」。
「20日」は「はつか」。「20日間」は「はつかかん」。
ここまでは違和感はない。では次は?
「24日」は「にじゅうよっか」。「24日間」は「にじゅうよっかかん」?
私は、ここでひっかかった。「24日間」は「にじゅうよんにちかん」ではないのか。「4」を「よっか」と読むのは日付だけで、期間を表す「〇日間」は「○にちかん」と読むのではないか。
いや、でもそう考えると「よっかかん」は「よんにちかん」、「じゅうよっかかん」は「じゅうよんにちかん」になるはずで、理論としては筋が通らない。
「34日」は「さんじゅうよっか」と読むか? 「34日間」は「さんじゅうよっかかん」?
カレンダーにある数字に関しては、「ついたち」「ふつか」……と読み、「じゅうよっか」「はつか」「にじゅうよっか」までは日常的に使っている。だが、「34日」はカレンダーにないので「さんじゅうよっか」と読むのはやはり違和感を覚える。同時に「さんじゅうよっかかん」も何となくしっくりこない。
ネット上でアナウンサーの人の書いた記事なども読んでみたが、明確にどちらが正しいという答えは出てこなかった。そこで、実際に発音されている動画がないか探してみることにした。
2025年4月13日から10月13日まで行われていた大阪・関西万博の開催期間は「184日間」だった。これは何と読むのか。ニュース映像などがあれば、どう発音しているかわかるかもしれない。
さっそくいくつかの動画をみてみたが、なかなか「184日間」を発音してくれているものがない。それでも何とか2つだけ確認することができた。カンテレと朝日放送だ。
どちらも読み方は「ひゃくはちじゅうよっかかん」。
へえ、そうかあ。ちょっと意外だった。それなら、「44日間」は「よんじゅうよっかかん」、「54日間」は「ごじゅうよっかかん」なのだろうか。どちらも私にはすっきりしない。やはり、「184日間」は「ひゃくはちじゅうよんにちかん」なのではないか。みなさまのご意見、お待ちしております。
と、日ごろの疑問を長々と書いたが、校正では日付にルビを振ることはないので仕事としては使うことはない。まあ「耳で聞く書籍」の校正などをすることがあれば、もしかしたら役立つことがあるかもしれないが。
早朝、サッカーFIFAワールドカップ2026の決勝戦が行われた。スペインが1対0でアルゼンチンを下して優勝し、39日間に及ぶ大会は幕を閉じた。
では「39日間」は何と読むか。
NHK放送文化研究所によると、「9」のよみは「きゅー」が基本で、11以降の数字についても10以下の読みを準用することになっている。ただし、数字のあとに助数詞がつくときには読みが変化することがあり、「日」「日間」「年」などの助数詞が後ろにつくとき、「9」の読みは「く」となる。つまり、「39日間」の読み方は「さんじゅうくにちかん」が基本ということになる。
ふと手元のカレンダーを見ると、日付は7月20日、海の日。もう1年も半分を過ぎたのね。今年も残るはあと164日。さあ、これは何と読むか?




