表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
命の対価-世界を止めた男  作者: なおパパ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/12

第九章 世界の暴走

お立ち寄り頂きありがとうございます。

第九章 世界の暴走


規制論争が引き金となった“模倣”


賢者の石の私的利用が報じられた後、

世界中で奇妙な事件が増え始めた。


ある国では、

自警団を名乗る市民グループが、


「犯罪者をその場で裁くべきだ」と主張し、


賢者の石の“模造品”を持ち歩き始めた。

もちろん偽物だ。

だが、


「命を対価にする」という思想だけが独り歩きしていた。


別の国では、

宗教団体がこう宣言した。


「賢者の石は神の裁きの道具だ。

罪人の命を捧げることで、

清められた者は蘇る」


世界は、

賢者の石を“倫理の中心”ではなく、

“信仰の中心”として扱い始めていた。


そして起きた、最悪の事件


ある国の議会で、

要人が演説を行っていた。

その最中、

一人の男が壇上に駆け上がり、

要人に刃物を向けた。

SPたちは即座に取り押さえたが、

男は叫んだ。


「俺の命を使え!

この国を救うために、

俺の命を使え!!」


会場は混乱に包まれた。

男は、

自分の命を“対価”として差し出すことで、

政治的なメッセージを残そうとしていた。


賢者の石は使われなかったが、

この事件は世界に衝撃を与えた。


「命を差し出すことで、

政治的・宗教的メッセージを残す」


そんな“新しいテロの形”が生まれた瞬間だった。


さらに悪いことに賢者の石が盗まれた


ある国の政府施設から、

賢者の石が一つ盗まれた。


犯人は反政府組織。

声明を発表した。


「我々は賢者の石を手に入れた。

国家が命を選別するなら、

我々も同じことをする」


世界は震えた。

賢者の石は、

国家の象徴ではなく、

“力の象徴” になってしまった。



アーク・バイオテック社内の緊張


木下浩二が、

政府から届いた緊急報告書を読み上げていた。


「……反政府組織が賢者の石を奪取。

使用目的は不明。

各国が警戒態勢に入り……」


太郎は、

報告書を見つめたまま動かなかった。

木下は続ける。


「社長、これは……

賢者の石が“価値”を持ちすぎた結果です。

世界が欲しがりすぎた。

我々の責任ではありません」


太郎は、

静かに首を振った。


「……違う。

これは……

私が作った“仕組み”の暴走だ」


木下は反論しようとしたが、

太郎の表情を見て言葉を飲み込んだ。

太郎は続けた。


「賢者の石は……

人を救うためのものだった。

だが今は……

人を脅し、

人を操り、

人を支配するための道具になっている」


木下は、

太郎の言葉に沈黙した。


ニュースは連日報じた。


- 「賢者の石を巡る争奪戦」

- 「反政府組織が“命の対価”を宣言」

- 「自殺志願者が“自分の命を使え”と訴える事件」

- 「宗教団体が“命の献上”を儀式化」

- 「国家間の緊張が高まる」


世界は、

賢者の石を“救い”ではなく、

“武器”として扱い始めていた。


太郎は、

その映像を見つめながら、

胸の奥に深い痛みを感じていた。


(……私は……

世界に何を渡してしまったんだ……?)


その問いは、

もはや胸の中だけでは収まらなかった。

世界は暴走していた。

誰も止められなかった。


そして──

太郎は悟り始めていた。


「このままでは、

世界は“命の価値”で分断される」


お読み頂き、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ