第十一章 世界のさらなる混乱(国家間の緊張)
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第十一章 世界のさらなる混乱(国家間の緊張)
反政府組織の“蘇生成功”が世界を震撼させた
反政府組織が
死んだ幹部を蘇生させた事件は、
世界中の政府にとって“悪夢”だった。
各国の軍事アナリストは、
緊急会見でこう述べた。
- 「賢者の石は戦力の補充手段になり得る」
- 「死者を蘇らせるテロ組織は、国家より危険」
- 「賢者の石の奪取は、軍事行動の対象となる」
世界は、
賢者の石を“倫理の問題”ではなく、
**“安全保障の脅威”**として扱い始めた。
反政府組織が賢者の石を使った直後、
複数の国が同時に声明を発表した。
- 「賢者の石の輸出を即時停止せよ」
- 「アーク・バイオテックは世界の脅威を作り出した」
- 「賢者の石を保有する国は、軍事的優位を得る」
特に、
賢者の石を大量に購入していた国々は、
互いを疑い始めた。
「あの国は、死んだ兵士を蘇らせているのでは?」
「要人暗殺を“やり直せる”国が有利すぎる」
「賢者の石を持つ国は、戦争で死者を恐れない」
世界は、
“命の価値”を巡る新しい冷戦へ突入していた。
ある国境地帯で、
小規模な衝突が発生した。
兵士が数名死亡したが、
その国はすぐに賢者の石を使用し、
兵士を蘇生させた。
隣国は激怒した。
「死者を蘇らせて戦線に戻すのは、
国際法違反だ!」
しかし、
蘇生した兵士は“死の記憶”に苦しみ、
戦闘不能だった。
それでも隣国は、
“倫理違反”を理由に軍を増強し、
国境に戦車を並べた。
世界は、
“誤解”だけで戦争が起きるほど
緊張していた。
国連安全保障理事会は、
再び緊急会合を開いた。
しかし──
議論は完全に破綻していた。
- 「賢者の石を全面禁止すべきだ!」
- 「禁止すればテロ組織が独占する!」
- 「国家が管理すべきだ!」
- 「国家こそ信用できない!」
各国代表は怒鳴り合い、
議長は何度も会議を中断した。
ついに、
ある代表が叫んだ。
「賢者の石を持つ国は、
すべての国に対して脅威だ!」
その瞬間、
会議は事実上の崩壊を迎えた。
国連は、
賢者の石を巡る問題を
“調整できない”ことを露呈した。
アーク・バイオテックへの圧力
アーク・バイオテック本社には、
各国政府からの要求が殺到していた。
- 「賢者の石の製造を停止せよ」
- 「全在庫を我が国に移送せよ」
- 「技術情報を開示せよ」
- 「研究データを国際管理下に置け」
木下浩二は、
書類の山を前に呆然としていた。
「……社長、
これは……
もはや企業の問題ではありません。
世界が……
賢者の石を巡って分裂しています」
太郎は、
窓の外の曇った空を見つめていた。
「……浩二。
これは……
私たちが作った“技術”が……
世界を壊し始めた証拠だ」
木下は、
太郎の言葉に反論できなかった。
ニュースは連日報じた。
- 「国境での衝突、賢者の石が原因か」
- 「死者の蘇生は戦争行為か」
- 「国家間の緊張が過去最大に」
- 「賢者の石を巡る新冷戦」
街では、
賛成派と反対派のデモが衝突し、
暴動寸前の国もあった。
太郎は、
その映像を見つめながら、
胸の奥に深い痛みを感じていた。
(……私は……
世界に何を渡してしまったんだ……?)
その問いは、
もはや逃げ場のない現実になっていた。
世界は暴走していた。
誰も止められなかった。
そして──
太郎は悟り始めていた。
「賢者の石をこのまま世界に任せておけば、
取り返しのつかない戦争が起きる」
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