第十章 反政府組織による“賢者の石”使用事件
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第十章 反政府組織による“賢者の石”使用事件
数週間前に盗まれた賢者の石は、
反政府組織の手に渡っていた。
彼らは声明を出していた。
「国家が命を選別するなら、
我々も同じことをする」
しかし、その“同じこと”が何を意味するのか、
世界はまだ理解していなかった。
事件は、静かに始まった
ある都市の中心部で、
政府高官の車列が移動していた。
突然、
道路脇の建物から銃撃が始まった。
SPたちは即座に反応し、激しい銃撃戦の末、
高官を守りながら犯人を制圧した。
犯人は一人。
暗殺は未遂に終わった。
SPは胸を撫で下ろした。
「賢者の石は必要なかったな……」
そう思った瞬間だった。
制圧された犯人のポケットから、
淡い光が漏れた。
SPが叫ぶ。
「……石だ!
賢者の石を持っている!!」
犯人は、
血を流しながら笑った。
「俺の命で……
あいつを蘇らせる……」
SPたちは意味が分からなかった。
(蘇らせる?
誰を?)
次の瞬間、
犯人は自らの胸に石を押し当てた。
淡い光が広がる。
SPたちは慌てて取り押さえようとしたが、
すでに遅かった。
“対価”が発動した
光が収束した瞬間、
犯人は静かに息を引き取った。
同時に──
数十メートル離れた場所で、
倒れていた別の男が息を吹き返した。
その男は、
数日前に警察との銃撃戦で死亡した
《リバース・フロント》の幹部だった。
蘇生した男は、
状況を理解すると、
ゆっくりと立ち上がった。
そして、
周囲を見渡しながら呟いた。
「……成功したのか……
俺は……戻ってきた……」
SPたちは凍りついた。
犯人は、
自分の命を“対価”として、
死んだ仲間を蘇らせたのだ。
これは、
国家でも医療でもなく、
反政府組織による“意図的な蘇生”
だった。
世界が震えた
ニュースは瞬く間に世界を駆け巡った。
- 「反政府組織が賢者の石を使用」
- 「死んだテロリストが蘇生」
- 「賢者の石が“戦力”として利用される時代」
- 「国家は賢者の石を管理できていない」
SNSは大混乱に陥った。
「これはもう戦争だ」
「賢者の石は兵器だ」
「死者を蘇らせるテロ組織なんて悪夢だ」
「国家はどうする?」
世界は、
賢者の石が“戦争の道具”になり得ることを
初めて理解した。
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