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第9話 初めてのライブハウス

「それじゃあ、そろそろオープン時間だね。

今日は久々のワンマン!このワンマンが終わったら、1ヶ月後にはライブハウスツアーがスタート!

そのツアーが成功するように、今日は思いっきり楽しみましょう!」



時間は刻一刻と過ぎていき、気づけばもう開場時間になっていた。

メンバーたちは楽屋で円陣を組み、気持ちをひとつにしていた。

私はというと、その様子を見守ったあと、ステージの最前列で待機させてもらっていた。


実は、ライブハウスでLumiyを観るのは初めてだった。

彼らはこれまで何度もライブハウスで演奏していたし、地元でもライブをしていたけれど、都合が合わなかったりチケット争奪戦に敗れて、私は一度も足を運べなかった。

だからこそ、人生初のLumiyのライブハウスでのライブが、どんなふうになるのか楽しみで仕方がなかった。



やがて開場時間になると、ゾロゾロとお客さんが入ってきて、あっという間にフロアはファンで埋め尽くされた。

この頃は、Lumiyのワンマンライブは満員御礼が当たり前になっていたんだっけな。

当時を振り返って、怜くんは「デビューの1年前くらいから、お客さんがいつも入ってくれるようになって、チケットの売れ残りがなくなってきた」と話していたっけ。


それだけ、Lumiyの魅力に気づいた人が多かったということだよね。

そう思うと、これから始まる時間がますます待ち遠しくなった。



開場から30分が過ぎた頃。

流れていたSEが切り替わり、照明が色づき始める。

「始まるんだ」

そう思ったのは私だけじゃなく、その場にいたファン全員だった。

ついさっきまでザワザワと喋り声が響いていたのに、今は黄色い声援へと変わっていく。


この瞬間のドキドキも、ライブの醍醐味だと思う。

そう感じている間に、パッとSEが止まり、春翔くんの声が響き渡った。



「お前ら、今日も盛り上がっていくぞーー!!」



キャアアアアアッ!



春翔くんの声と同時に演奏が始まり、ワンマンライブの幕が開けた。

これがライブハウスの音。そして、今のLumiyの音。

リハーサルでも聴かせてもらったけれど、実際のステージで鳴り響く音はまったく違っていた。


アレンジは少し変わっていたけれど、曲そのものが持つ温もりは変わらない。

未完成な部分もあるけれど、それが逆に生々しくて、私はすごく好きだった。

さらに、セットリストのほとんどが知っている曲だった。

アレンジこそ違っていても、楽曲の核は変わらない。

聴けば聴くほど、心がポカポカと暖かくなっていった。



「今日はね、久々のワンマンってことで!

遠慮せずに縦に飛んで、盛り上がっていこうぜーー!」



春翔くんのMCは、今の優しい雰囲気よりも攻めの姿勢が強く、それがまた新鮮だった。

デビュー前のライブは映像で見たことがあったけれど、実際に目の前で見ると胸がキュンと高鳴る。

メンバーたちは本当に楽しそうに演奏していて、まるで「純粋に音楽が好きなんだよ」と伝えてくれているみたいだった。

…今、本当に幸せだなぁ。










「それではね、最後の曲です。

僕らはいつだって夢を見ています。

皆にも、小さな夢から大きな夢、あると思います。

その夢を、諦めないで。

休んでもいい。だけど、諦めないでほしい。

そんな想いの詰まった曲です。

この曲でお別れしましょう『Happiness Dreamer』!」




青空に羽ばたく青い鳥たち 夕日で染まる海眺めて

今日また終わりを告げた


こんな世界でも花は咲く 誇らしげに

ここにいる全ての人が笑顔になるように


あなたの夢諦めないで 僕の夢諦めないから

この至上の喜びを永遠(とわ)に忘れぬように


いつかの幸せを信じて歩く

朝日が昇ると共に今日がまた始まりを告げる


身体が熱くなるから旅に出る 独りでも

たとえこの先無情の雨に降られても


ここにある確かな愛忘れないで

あなたの夢諦めないで I'll be with you

歪んだ世の中に咲いた 夢色の花枯らさないように

この至上の喜びを永遠(とわ)に忘れぬように…



「また会いましょう!ありがとうございましたー!」



キャアアアアッーーー!

パチパチパチパチッ!



「はぁ……幸せすぎた。」



一時間半にも及ぶワンマンライブは、大盛況の中で幕を閉じた。

アンコールもあって、好きな曲もたくさん聴けて、皆の笑顔もたくさん見られて、

本当に幸せな時間だった。

周りにいたファンの人たちも、「最高だった!」とか「やっぱりLumiyが一番好き!」って、幸せな声で溢れていた。


こういう声を聞くのも、私は大好き。

同じ気持ちの人がたくさんいると、なんだかそれだけで幸せな気持ちになる。

そんなことを思いながら余韻に浸っていると、

数分後に再び黄色い声が会場に溢れた。


振り返ると、そこには楽屋から出てきたメンバーたちが、

ファンの人たちに「ありがとう」と言いながら、物販ブースへ向かっていた。



「皆、今日はありがとうねー!よかったらテープ買って帰ってねー!」


「楽しかったー?俺も楽しかったよー!ありがとねー!」



物販ブースに到着したメンバーたちは、ファンの人たちと楽しそうに話しながら交流していた。

ライブの後といえば、こんなふうにみんなとのコミュニケーションをとる時間だよね。

こうやって少しずつ認知してもらえるようになると、次のライブがより楽しみになる。

先輩もよく言ってたっけ。

「交流して、ファンの子たちの声を聞くと、頑張ろうって思える」って。



今、Lumiyもまさにそう思いながら話しているんだろうなぁ。

私は邪魔しないように、端っこで見守っていようかな。

なんて思いながら、メンバーの幸せそうな顔を見つめていた―…


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