第12話「旅立ち」
第12話「旅立ち」
なんだか、城内が慌ただしいな。警報が発せられたか。俺は来た順路をさかのぼって城の出口へ向かった。
途中、廊下を走り回る兵士に呼びとめられたが「勇者への召喚状」などを見せて、まんまと城の外へ出た。ざまぁ。
さて、俺の冒険も始まった。
装備をそろえて、アイテムでも買うか。残り100G。
意気揚々と、王都を散策していこう。装備を売って居る看板を掲げている、「ボッタクル商店商店」に入ってみる。武器は・・・鉄くずの剣。70Gか。まぁいいや買ってみる。
チャリーン。残り30G。
金が減った。次は防具だが、もともと身体は「おでかけようのたびびとのふく」を装備しているので、問題ない。次は盾とか・・・高いなぁ、「鉄の盾」250G・・・。買えない。
いろいろ盾を物色していると、店主が話しかけてきた。
「おすすめの盾がありますよ、旦那」
「ほう?」
「こちらのベニヤの盾など、どうでしょう。10Gです」
「安いな、そして軽い。これはいいものだ」
チャリーン。残り20G。
さて、あとは薬草でも買って・・・。
「あ? ここにいたのですね」
なんか、聞き覚えがある声が・・・。
店先を見ると、ペンちゃんが目を輝かせて、こちらを凝視していた。
やばい、完全に存在を忘れていた。
「いや、よくここが分かったね。待たせて、ごめん」
「いえ、王都をいろいろ見ていたので、問題ありません」
「勉強熱心だね。出会いの酒場にでもいたら誘ったのに」
「いえ・・・お酒は」
さすが禁欲主義者。この国の法では18歳から飲めるはずだが。
「ちょうどいい、いま装備を買っているんだ。なにかお好みの装備は?」
「そうですね、トリプルフレイルとか・・・」
ペンちゃんはなぜか顔を赤らめていった。
「トリ・・・フレイル?」
「『さんせつこん』ですね。いいんですよ、装備は里に置いてきましたけど」
「なんで?」
「修行です。師の教えで、武器に頼っていては真の実力には到達できない」
ペンちゃんはかわいい笑みを返したが、そこには「すごみ」というものがあった。
「じゃあ、悪いけど『こんぼう』15Gでいいかな・・・」
「かまいません!」
ペンちゃんは満点の笑みを浮かべた。
つづく