第22話「砦攻略戦」
第22話「砦攻略戦」
「あああ。頭痛い・・・なんかあった」
カンちゃんが2階からおりてきた。
俺とペンちゃんは、椅子に座り白湯をすすっている。
「あれ、反応にぶくない? 朝食ぐらいなら、おごるぜ」
「ベーコンエッグにパンね。3人前」カンちゃんは店主にオーダーした。
もぐもぐ・・・。ひさしぶりにまともな食事にありついた。ちょっと涙がでた。
「でさぁ、つぎに勇者が現れそうな場所って、」
ダンダンダンダンダン
そのとき、宿屋の外から軍隊の行進の足音が聞こえた。なんだ。
「ああ、あれね、近くに悪霊やゾンビが取り憑いている、砦があるんだって。通商のさまたげになるから、軍がでたらしいぞ」
「王様もけっこう、働いているな」
好色だけではなく、有能だったか。
「あ? 知ったような口を利くな。うむ、これほどのイベントだと勇者がよってくるかも」
勇者は蚊か、なんかだろうか。
カンちゃんはまた目をぐるぐる回して、考えている。
「よし、行こう」
「ええっ」(俺、ペンちゃん)
「登録だの、報酬だのワタシには関係ないからさ。行列について行けば、なんとかなるでしょ。もしかしたら勇者をやれるぜ。オヤジ、代金おいていく」
意気揚々と街路を走るカンちゃんのあとをおって、行進のケツまで追いついた。軍勢の規模をみると、50人~60人の部隊か。砦を制圧するには十分な戦力だ。
街道を進み、行列は砦の前の丘まできた。
司令官とおぼしき、ちょび髭の男が軍配を振り下ろす。軍勢は一直線に砦へ向かっていく。こりゃあ、出番ないなぁ。らくできる。
丘から戦況をみていると・・・。
「・・・あれ」
味方がどんどん敵に倒されていく。これは。砦の前で、味方が混乱に陥っているようだ。俺の肩越しにカンちゃんがずいと首をのばす。
「戦況不利だな、燃えるぜ(狂っている)、このための秘密兵器だ」
カンちゃんは俺とペンちゃんに視線を送った。(ダメだろ)(無理です)
「いうことをきかないと、今日の賃金はなしだぞ」
未来の100Gより、あしたの10G。
俺たちはしかたなく、砦攻めの一員に加わった。カンちゃんはいちはやく丘を駆けおりて、戦闘に加わっていた。命知らず、とはこのことだ。
戦場につく。我がパーティはばらばらにほどけ、おのおの奮戦している。
残った兵士どもが、ゾンビどもをやっつけている。
「ぶっしゃ! ざん! ざばぁ」
どろ沼の湿地に足を踏み入れて、この作戦の失敗を悟った。この地形だと乱戦になる。湿地に足をとられて動けない。次々と味方がやられているわけだ。
湿地帯を見わたすと、敵が次々と現れる、これは無限か。無理なのか。死を恐れていない死兵(もともと死んいるが)がどんどんせまってくる。俺は、剣を横薙ぎにはらいのける。
敵が多すぎる、銅の剣を湿地にさして、身をかがめて敵の攻撃を防御する。何回かの防御のすえ、剣がおれる。「くそ」折られた剣でゾンビの頸動脈をねらって刺す。何の効果もない。
ダメか。
ゾンビどもの汚れた顔が俺にせまる。死んだかな。
「ほいやー!」誰かが、叫んでゾンビたちをふき飛ばした。
「危なかったですね」
目をこらすと、ペンちゃんが血みどろのアッパッパを着て、ほほえんでいる。
まだ、俺を守護してくれたのか。
「ありがとう」少し恥じて「すまない」といった。
「いいですよ、戦場ですし」ペンちゃんはふたたび、ゾンビの群れに挑みかかっている。相変わらず、物理で殴っているのね。
カンちゃんは遠くの方で「ファイアーボール」を撃ってもちこたえている。
情勢は分からない。現状を保っているので手一杯だ。(俺には武器すらない)
さすがにここまでかと思った、そのとき、砦の頂上から一条の光が天に差した。
「ミナジョウーカ」
あたりの死霊、ゾンビどもは、灰のように崩れ去った。
俺は、なんにもなかったような青空を見た。
ぼうぜんとしていると。
「あれ、生きてたの?」
カンちゃんが近づいてきて、わらった。
つづく




