第18話「シュヘンの町(中編)」
第18話「シュヘンの町(中編)」
門を抜けて、町に入った。人々が往来を行き交い、いろいろな屋台がならんでいる。祭りか?
「いや、違う・・・」
ボン、ボンという、祝砲も聞こえない。派手な装飾があるわけでもない。どうも田舎者は人が多いところに来ると、祭りだと錯覚してしまう。
ペンちゃんと町中を進む。
「危ないところでしたね。門番には前の村でやった悪行が届いていないようです」
悪行? なにか重大な事実誤認があるようだが・・・。
まぁ、たしかに少々? 暴れすぎたかな。この町へ伝わった評判も気になる。そこらへんにいる、町人の会話に耳を傾けてみよう。
「今度の勇者は腐れ男に僧侶のパーティだとよ」
「へえぇ」
「火付け盗賊のうえにウマ泥棒らしい。悪質だな、ご用心ですよ」
冒険者と商人らしい2人が会話を交わしている。
何か情報が届いているぞ。誤解だが。
町の様子をうかがっていると、ペンちゃんはソフトクリームの屋台を見つけて、目を輝かせて駆け寄っていった。
ちょいまち・・・。あれだけ状況を警戒していたのに・・・。よほど、甘味に飢えているのかね。(予想はできるが)。しかし、ペンちゃんは金を持っているのだろうか。
「すいませーん! バニラソフト1つください」
ペンちゃんを見て、店主のババアはいった。
「アレ気持ち悪い。血糊がついているじゃない。そういうファッションが最近の流行かねぇ」
「そういうことは・・・」
「いかにも貧乏くさいね、商品が汚れちまうよ。近づかないようにしておくれ」
ペンちゃんは、しおれながら俺のもとへ戻ってきた。
「ダメでした」
「残念だな」汚い格好をさせて、さすがの俺でも自責の念も浮かぶ。
「それはそうと、ペンちゃん、あといくらぐらい金を持ってるの?」
「あと、200Gくらいです」
けっこう、持ってるな。
「とにかく、その格好だと、行く先々で不審者と間違えられるから、装備をととのえよう」
「そうですよねぇ・・・」
俺らは町の服屋へ足を向けた。
「2万5000G!?」
ボッタクール衣料店。店内にはなかなかの高級な衣服が並んでいるようだ。僧服の値段を聞いて驚いた。
「いやいや。いくらなんでもぼったくりだろ」
「こちらは大司教様が御身にまとっていた「伝説のシャクテーの法衣」のレプリカでして、この金糸の細工が素晴らしいでしょう。妥当な価格かと。みれば、そちらの僧侶様、なかなかのレベルの持ち主かと・・・」
見抜かれた。
「・・・いや」
払えるわけない。
「悪いが、所持金が足りないな。最下級の僧服でいいから・・・」
「(ちっ・・・貧乏人かよ)、それではこちらで」
白いシーツのような布きれに頭を通すだけの穴があけた、僧服? を運んできた。これはアッパッパだよな・・・軽装の女性服を提示され、俺は額に青筋を浮かべた。
「で、いくらなの?」
「170Gです」
高い。完全になめられいる。
「いるわけないだろ!」
「いえ、それで十分ですよ・・・僧服とはかけ離れていますが・・・」
ペンちゃんは、うつろな表情にアッパッパへ目を向けた。
「はえ? いいの?」
「はい・・・」
なんとなく、ペンちゃんの切なげな思考が伝わってきた。まぁ本人が言うなら・・・。
「じゃ、これで」
-170Gを失った。
「じゃ、とりあえず、昨日から不眠状態だし、宿でもとってひと休憩して町を調べようか。
「はい・・・」
更衣室でペンちゃんが着替えるのを待って、近くの宿へ向かった。
「とりえず、休憩なら7G、お泊まりなら16Gです。もっと、よい部屋をご用意できますが」
宿屋のカウンターに肘をついて料金を聞くと、店主は答えた。
「あ、ああ、休憩で」少し、ドギマギした。
-7G。
「若い奥様がいて、うらやましい限りですね」
身ぎれいになったペンちゃんをなめまわすよう見ている宿屋のクソ親父は言った。
魔王を倒したあとに、どうしてやろうかな。
つづく




