第16話「勇者について」
第16話「勇者について」
パッカパッカ・・・。馬のひづめの音が、聞こえてくる。ペンちゃんは馬の背にしがみついて、ゆうゆうと寝ている。いい気なもんだな。俺もうつらうつら。あいまいな意識のなかにいる。疲れすぎたか。夢見ごこちに頭をさげる・・・。
「あなたは、誰ですか」
「勇者です」
「ほんとうに勇者ですか」
「勇者の専門学校にいっていました」
「まず、勇者のお力はどうでしょうか」
「才能がないのか、ノーマルのゴーレムの前にひれ伏します」
「魔法は」
「魔法。得意じゃないですね。たまにファイアーボールを撃てます。精神集中しないと無理です。キノコのドラッグでやられた有名な髭のオッサさんに似たようなもんです。火球が下にいって、なかなか当たりません。奴は、身体能力が尋常ではないから成り立っています。しかし、なんでファイアーボールまで撃てるのか。実は魔法使いなのかな」
「すばやさは」
「すばやさ・・・。 ああ、それは得意です。『にげる』に自分の才能を見いだしました」
「ぼうぎょは」
「防御は。それほど鍛えてません。剣で切られれば一発で終わりでしょう。いい装備を身に。それだけで・・・」
「かしこさは」
「かしこさ? バカじゃないと思いますが。単純な魔法力なら魔法大学校を出た人にまかせるし、ほんとうの『かしこさ』とは、状況を切り抜ける頭のよさでしょ」
「・・・では、そなたがもつちからは」
「ちから? いや、武器の能力依存でしょう。竹竿一本でラスボスにいく脳筋もいますが」
「ではきようさは」
「きようさ? いまだに何の指標を示しているか分かりません。手先の器用さなのか、あたまの器用さなのか・・・分からない」
「では、そうごうけっかをつかわせる」
ドロドロドロドロ・・・。(太鼓をたたく音)
「おまえのうんはさいあくだ」
「ふえっ」
夢とは自分自身のキャパシティを超えたときに目覚める。
はっとして、目を開けた。
「ぐぅぅうう」不意に俺の腹が鳴った。
「腹減ったなぁ」
そういえば、昨日からメシをくっていない。
馬上から見下ろすと。ペンちゃんが地面に座り、何かをむさぼっている。
「なにそれ」
「勇者さんも食べますか」
「エン麦の種です。携帯食料です・・・ゴリゴリ」
干からびた麦のようものを食っている。
「いかがですか」
「いや、やめておく・・・」
ペンちゃん強いな。
これは早く次の町やら村にたどり着かないと。




