第14話「ネス村(前編)」
第14話「ネス村(前編)」
俺は近くにあった村に足を踏み入れた。
「勇者が来たぞー!」
とりあえず、近くにいた村人Aに話しかけてみた。
村人A「ここはネス村です(けっ)」
ん? 何か悪意がこもっているような。
次に村人Bのおばさんに話しかけてみる。
村人B「あんた、誰なの?」
俺「いや、勇者ですけど」
村人B「また来た。いい加減にしておくれっ」
あれれ、勇者様は、だいぶん嫌われておるようですが。
「様子がおかしいですね・・・」
うしろにひかえているペンちゃんは、村人の対応に戸惑っている様子だ。
「陽がかげっているし、ここは宿でも取って、休みたいところだな」
俺はさほど疲れていないが。戦闘はペンちゃんが先制攻撃をかけて、モンスターの群れを右へ左へ吹っ飛ばしていた。
それにしてもこの居心地の悪いさよ。この村をスルーして次の村だが町へ進んでもいいか。
「ペンちゃん、この村は飛ばして、つぎの・・・」
「はい・・・」
ペンちゃんはこん棒の柄をつかんで、うつらうつらしている。
僧侶兼前衛として使いすぎたか。ここで得がたい人材のペンちゃんを失うのは得策ではない。もしも、モンスターにやられしまったら復活させてやるような金はない。(たぶん、レベルが予想以上に高いのでたんまり謝礼を取られる)
しかたなく、ペンちゃんをかかえて、村にある宿屋へ。「INN」。
「インン?」
なんか、この文字を見る度にそう読んでしまう。低学歴の悲しさか。どうでもいいが。それが宿屋であることは分かる。
「ごめんよ」俺は『INN』の扉を勢いよく開けた。
ここが宿屋なのだろうか。貧相な作りの部屋だった。
一間の部屋に小さなカウンターが置いてあり、その奥にボロボロなベッドが二つ。勇者様をもてなす場所とは思えない。だが、背に腹はかえられない、カウンターに突っ立ている店主? と思わしき貧相な男に話しかけてみる。
「あ、なんだ? おまえ」
非常によろしくない態度だ。
「俺は勇者だ!」自分の存在を告げた。
「けっ、また勇者かよ。迷惑なんだよねぇ。宿の備品を盗んでいくし、ツボや花瓶をめちゃくちゃにこわしていくし」
歴代、勇者の悪行を思い知らされる。
「それは、それとして、今日の宿を取れるかな」
俺もいささか疲れているようだ。反論する気力もない。
「一泊、1000Gになります」
「はぁ? どういう金銭感覚だ! 一泊2Gとかの、勇者割りないの? ほれほれ、これが王様からの召喚状だ」
俺は書面をひらつかせた。
実際、王都で装備を買ったから、旅の資金として残してきた(自腹)10Gしかないしな。
「何が勇者だ。家財を荒らされて、店をめちゃくちゃにする客など、それくらい貰わないと割に合わないね」
ひねてやがるなぁ。
「ああ、さっき倒したモンスターどもの・・・。これなんかどうだ。グリズリーの毛皮があるよ」
どういうわけか、この世界ではモンスターを倒しただけでは金が稼げない。なかなかのストロングスタイルだ。
「臭い! なめしていない毛皮なんぞに価値があるか」
「こまったな、どこか寝られるとこない?」
「寝たいなら、馬小屋にでも寝ていけ!」
ひでえ。これが世界を救う勇者様への扱いかね。
「まぁいいや・・・借りていくぜ」
俺は店の裏手に回り、明かりもない馬小屋で休息をとることにした。
半分寝ているペンちゃんを寝藁の上にぶん投げて、俺は馬小屋の壁ぎわに座り身を傾けた。
隣の馬房から馬の鼻息が聞こえてくる・・・。
「ぶるんっ」
つづく




