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第7話:名を呼ぶ者

作者:mannboo5
存在を〈名づけてしまった〉男と、
〈呼ばれた気がした〉女。

二人の独白は交差することなく、「名」というものが持つ両義性──守るものと壊すもの──を浮かび上がらせる。

男は語る。仄命子という名を与えてしまったことが、
“存在を世界に留めてしまうこと”だったと。
意味を与え、形にしてしまうことで、不可視のものを他者に開いてしまった、その罪。

一方、女は語る。
名づけられたという感覚はなく、むしろ「呼ばれる可能性」だけが、沈黙の中にかすかにあったのだと。

名前は守る。だが、名前は同時に、存在を“他者の物語”にしてしまう。

名づけることと、名づけを拒むこと。
呼ぶことと、呼ばれたくないこと。

二人はすれ違ったまま、「仄命子」という名の余韻だけが残される。

それは名前ではなく、“名前が発される寸前の気配”。
世界をかすめ、沈んでいった断片のような存在だった。
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