7月第1週 政治・経済重大ニュースベスト5【減災 関税交渉 実質消費支出 インフラ老朽化 参院選公示】
『 』の中が記事の引用、⇒ 以降に僕の意見が書いてあります。
どうぞご覧ください。
第5位 『5月の実質消費支出4.7%増、2カ月ぶりプラス 車購入が押し上げ』
日本経済新聞7月4日の記事より、
『総務省が4日発表した5月の家計調査によると、2人以上世帯の消費支出は31万6085円だった。物価変動の影響を除いた実質で前年同月比4.7%増加した。2カ月ぶりにプラスとなった。自動車購入の支出が全体を押し上げた。
QUICKが事前にまとめた消費支出の予測中心値は実質で1.2%増だった。
自動車の購入や維持費用などを含む自動車等関係費が46.8%増となり、全体を押し上げた。前年に自動車メーカーの認証不正問題の影響で出荷が減った反動が出た。
教養娯楽は11.1%増だった。パソコンの基本ソフト(OS)「ウィンドウズ10」のサポート終了に伴うパソコンの購入が増えた。旅行意欲も底堅さを見せており、外国・国内のパック旅行費もそれぞれ増加した。
支出の内訳に占める割合が高い食料は実質で1.0%増、名目で7.6%増えた。外食が9.1%増と押し上げた。価格が高止まりしているコメは8.2%減だった。
生鮮野菜は3.7%増だった。総務省の担当者は「野菜全体で見ると価格上昇は落ち着いているものの、品目別ではじゃがいもやゴボウなど、価格が上昇している商品への支出や購入量は減少している」と指摘した。
勤労者世帯の実収入は52万2318円だった。名目で4.4%増、実質は持ち家の帰属家賃を除くベースでは0.4%増だった。
5月は自動車の購入費用といった一時的な要因も大きいが、こうした特殊要因を除いてもプラスを維持した。毎月の変動が大きい住居や自動車等購入、贈与金などの影響を除いた実質の消費支出は2.5%増だった。』
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2人以上世帯では物価を除いた実質収入は+0.4%とさほど変わらず、
「貯金を取り崩して(又はローンを組んで)支出をしている」
ことが伺えます。
25年5月の日本人の宿泊者は、のべ4066万人で前の年から0.3%減少と言うデータもあり、宿泊者数が減少しているのに旅行総金額が増えるという「格差の拡大」を示唆しているとも言えます。
こうした一側面の楽観的データを取り上げて「経済は回復した」という言説を作り上げたり、利上げや増税をしてきそうな雰囲気があるところが本当に恐ろしいことです。
第4位 『老朽水道管、更新資金足りない 財務省研究所「平均8割値上げ必要」』
日本経済新聞7月3日の記事より、
『全国の上水道事業の99%が、水道管など設備の更新に必要な資金を確保できていない恐れがあることが財務省所管の研究所の調査で分かった。更新費用を水道使用料だけで賄おうとする場合、料金を平均で8割引き上げる必要があることも明らかになった。近隣自治体との業務共同化などコスト削減策が急務となる。
上水道事業は原則として、必要な経費を住民が支払う使用料で賄う。もっとも、将来の収支見通しが甘く、費用を料金十分に確保できていない自治体が99%に上り、現在の設備を維持しつつ必要な資金を確保するには、平均して83.2%の水道料金値上げが必要になるという。
老朽化した水道管が漏水することによる事故は深刻化している。1月に埼玉県八潮市で道路が大規模に陥没し、転落した運転手1人が亡くなった事故は、老朽化した下水管が破損したことが原因で起こった。
埼玉県の大野元裕知事は復旧のための費用が「300億円規模」かかると述べ、「市町村の水道料金にかけるということでよいのか、国民の議論が望まれる」と指摘した。
他にも4月には京都市で老朽化した水道管が破損して漏水し、国道1号が冠水したほか住宅の床下浸水が起きている。5月には大阪市城東区で老朽化した水道管が破裂し、小学校の北側の市道が冠水し、公園も浸水。6月には鎌倉市で水道管の継ぎ手が腐食して破裂し、一時1万戸が断水。鶴岡八幡宮ではトイレが使えなくなり、周辺の店舗や観光施設も休業するなど混乱が広がっている。
八潮市の事故を踏まえ、国土交通省は全国の自治体に要請して水道管の緊急点検を実施。その結果、15%ほどが「速やかな対策」か「応急措置の上で5年以内の対策」が必要と判明。政府は老朽化した下水管を2030年度までに更新する目標を設け、国交省が実施する補助事業などを利用して自治体の取り組みを後押しするとしている。』
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2025年5月の水道料金平均は2871円とされており、これに80%加算すれば単純計算で家計に月2200円以上、年2万6千円以上の負担増になるということです。
電気(再エネ賦課金)や水道料金の増額と言う、国の怠慢・責任を国民に押し付けるという「ステルス増税」と言うのは今後も行われていくでしょう。
インフラ維持のためにいくらお金を使っても誰もが恐れる価格上昇のインフレになる確率は極めて低いです(国のバランスシートでも資産がプラスになる可能性もあり)。「国が国債を発行して財源を捻出」するべきです。
第3位 『南海トラフ巨大地震 減災目標決定“今後10年で想定死者8割減”』
NHK7月1日の記事より、
『最悪の場合、死者が29万8000人に上ると想定される南海トラフ巨大地震について、政府は、今後10年間で想定される死者数をおおむね8割減らすとする目標などを盛り込んだ防災対策の基本計画を決定しました。11年前の目標からほぼ変更せず、対策の進展状況を毎年確認して取り組みを後押しすることなどが盛り込まれています。
1日、総理大臣官邸で開かれた中央防災会議の会合では新たな「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」が決定されました。
南海トラフ巨大地震をめぐってはことし3月に国の被害想定が見直され、いずれも最悪の場合、死者は29万8000人、全壊・焼失する建物は235万棟とされています。
新たな基本計画では今後10年間で、死者をおおむね8割減らし、全壊・焼失する建物をおおむね5割減らすとする減災目標が定められました。
同様の目標は2014年にも掲げましたが達成しておらず、国が改めて検討した結果、「人命に関わることなので、高い目標を掲げるべき」だとしてほぼ変更しない形となりました。
これらを達成するため、激しい揺れや高い津波のおそれがある地域で耐震性の不十分な住宅を10年後までにおおむね解消することをはじめ、避難所環境の整備など、具体的な数値目標が200余りにわたって定められました。
国は、こうした対策の進展状況を毎年確認し、各地の取り組みを後押しすることにしています。 (長いため後略)』
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第4位の水道料金の話とも関連する話題です。
「南海トラフ巨大地震」のための対策は急務で京都大学大学院教授の藤井聡教授によると南海トラフ巨大地震の最大級の被害の際、金額は20年間で累計1048兆円。
ところが、38兆円をかけて道路や建物、港湾の耐震性を強化し、さらには強い防潮堤を整備すれば、20年間の被害額を509兆円減らせると試算しています。
しかし、普段の道路、水道管の補修、能登半島地震や14年も経った東日本大震災の復興すらできていない状況、更に土木現場作業員は減少傾向にあるために「絵に描いた餅」にしか見えません(本文中には2014年からこの目標だという話もありますし)。
仮に実現できる計画だとしても、「財源」と言う中でどこから調達するのか? 「増税1択」だという事は明白のために「南海トラフを言い訳にした増税計画」にしか見えません。
第2位 『ベトナム 対米妥結を優先 関税交渉…譲歩、他国に影響か』
読売新聞7月4日の記事より、
『米国とベトナムが2日発表した関税交渉の合意は、ベトナムが米国製品に課す関税をゼロにする一方、ベトナムから米国に輸出される製品には20%の関税を課す「不平等」なものだった。ベトナムは、米国の関税措置の影響を緩和するために妥結を優先した形だ。米国はこの合意をテコに他国にも大幅な譲歩を迫るとみられ、各国交渉に影響する可能性がある。
トランプ米大統領は2日、SNSに「米国の大型エンジン車がベトナムの製品ラインアップに追加される」と投稿し、自らの関税政策が米国製品の輸出拡大につながると強調。米政治専門紙ポリティコは2日、ベトナム側が米ボーイング社製の航空機50機の購入を検討していると報じた。
米国の対ベトナムのモノの貿易赤字額は2024年、世界で3番目に多い1235億ドル(約18兆円)だった。トランプ氏は貿易赤字を問題視していた。
一方、ベトナムは24年の輸出額(4055億ドル)のうち、米国向けが約3割を占めた。ベトナムの最高指導者のトー・ラム共産党書記長は4月上旬にトランプ氏と電話会談した段階で、米国製品の無関税を検討する意向を伝え、大幅に譲歩する姿勢を示していた。
焦点は、米国がベトナムに計46%を課すとしていた「相互関税」の引き下げ幅だった。合意では、米国に輸出されるベトナム製品の税率が20%と半分以下になるが、依然として高水準だ。ただ、ベトナムにとっては相互関税が全面発動されれば、主力産業の電子製品や縫製品などで対米輸出が激減しかねない。上乗せ分の停止期限が9日に迫る中、引き下げの実現を優先した。
トランプ氏によると、ベトナムで積み替えて米国に出荷される製品に課す関税は40%となる。ベトナムなど東南アジア各国は、中国企業の米国への 迂回 うかい 輸出の拠点になっており、こうした動きを抑制する狙いだ。
米国は17~21年の第1次トランプ政権以降、中国からの一部の輸入品に高関税を課している。中国企業にとっては製品を中国から米国に輸出するよりも、相対的に関税が低い東南アジアから供給した方が売り上げが見込め、東南アジア経由の輸出が広がっている。
中国は米国とベトナムの合意に反発している。商務省の 何詠前報道官は3日の記者会見で「中国の利益を犠牲にするいかなる取引にも断固反対する」と述べ、国益が侵害された場合の対抗措置の発動を示唆した。』
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これまで日本は「アメリカ内部から反対の声」「どこも交渉妥結が出来ない」ことを期待して牛歩戦術をとってきました(イギリスはアメリカが貿易黒字のため少しカテゴリが違う)。
しかしながら、アメリカ労働省7月3日に発表した6月の雇用統計では農業分野以外の就業者は前の月から14万7000人増加し、市場が予想していた10万人余りの増加を上回りました。
更にベトナムが不利な条件で交渉を妥結したことでアメリカは更に強気に出ることができ、日本の関税交渉にとって逆風が吹いていると言えます。
「アメリカに多額の投資をしている(これからもする)」と言う主張を日本側は繰り返していますが、これはトランプ大統領にとってそんなにプラスポイントにならないのでしょう。
フェンタニルが日本が経由地になっている疑惑(日経新聞しか報道していないため100%確証は得られないが)を解消しなければ、新たに提示されている「関税30%以上」になっても不思議ではないと思います。
7月9日の交渉期限にどうなってしまうのか本当に恐ろしいです。
第1位 『参院選きょう公示 衆院で少数与党の自・公が参院で過半数維持するか それとも野党勝利で衆参両院で与党を過半数割れに追い込むか…17日間の選挙戦スタート』
FNNプライムオンライン7月3日の記事より、
『物価高対策や石破政権への評価が争点となる参議院選挙が3日に公示されます。
これに先だって2日、与野党の党首が討論会に臨みました。
3日に公示される参院選では、衆議院で少数与党となっている自民・公明両党が参議院での過半数を維持するか、野党が勝利し与党を衆参両院での過半数割れに追い込むかが最大の焦点です。
2日の討論会では、冒頭に各党首が一番訴えたい一言をアピールしました。
自民党・石破首相: この国の将来に責任を持つ。
立憲民主党・野田代表: 私は、物価高からあなたを守り抜く。
日本維新の会・吉村代表: ズバリ、社会保険料を下げる改革です。
公明党・斉藤代表: 物価高を乗り越える経済と社会保障の構築を掲げました。
国民民主党・玉木代表: 現役世代から豊かになろう。そして全ての世代へと。
共産党・田村委員長: 自公少数で消費税減税。
れいわ新選組・山本代表: 物価高だけに矮小化するなです。
参政党・神谷代表: 日本人ファーストという言葉でまとめさせていただいています。
討論では物価高対策などについて議論が交わされ、消費税の減税を掲げる野党側が与党の掲げる給付金をバラマキだと批判しました。
これに自民党の石破首相は「全くポイントも置かず重点化もしないのをバラマキという。消費税の減税はある意味それに近い」と反論しました。
また、日本保守党と社民党はビデオで減税を訴えました。
選挙戦は3日に公示され、20日の投開票に向け17日間の選挙戦がスタートします。』
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https://ncode.syosetu.com/n2389ks/1/ こちらの①で詳しく書きましたが、
予算の成立過程を見ると「自公維で非改選合わせて過半数割れ(改選で37議席以下)」にしなくては政治は大きく変わる見込みはありません。
日本維新の会は「野党の皮を被った与党」と言えます。
この点を指摘してくれる大手新聞は皆無に近いのが本当に残念です。
しかし、この点を考慮しても選挙に行くことを諦めてはいけません。自公維を1議席でも減らさなければ3年後の参院選でまたハードルが高い状態になってしまいいつまで経っても日本は良くなりません。
また、「政治に絶望」してもらう事によって組織票をフル活用したいというのが既存政党の欲求としてあると思います。
そうした政治家の思惑を粉砕するためにも投票に行きましょう!
いかがでしたでしょうか? 今週は何かが具体的に変わったわけでは無いですが小説の「伏線」のように着実に動いている印象も受けました。
皆さんの7月第1週の注目したニュースを教えていただければ幸いです。