認められない二人
「怒られちゃったね……」
「うん……」
「追い出されちゃったね……」
「うん……」
「もう二度と顔を見せるなって……」
「うん……」
「認めて貰えなかったね。お父さんに。僕らのこと……」
「うん……」
「でも」
「うん」
「ふふっ、まだ何も言ってないよ」
「うふふっ、でもわかるの。あなたの言いたいこと」
「僕もだよ。君が考えていることが不思議と分かるんだ」
「うふふ。じゃあ、当ててみて」
「いいよ。……でもきっと二人同じこと考えてると思うよ」
「うふふっ。じゃあ、順番に言いましょう」
「ふふっ、いいよ」
「あなたからね」
「『こうなって良かった』」
「『だって、君と二人だから』」
「『何も怖くない』」
「『だって』」
「『愛してるから』」「『愛してるから』」
肌を撫で合い笑う二人の声。それは遠く離れた父の耳にも届き、顔を顰めさせた。
こうなってはもう止めようがない、と。
やがて時が経ち、彼らの父は彼らの子を、孫を見下ろした。そしてあの時予期した通りになったと、また顔を顰めぼやいた。
「だからあの果実を食うなと言ったのだ。アダム、それにその骨から作ったイブ。お前たちは言わば兄妹だぞ。見てみろお前たちの子孫どもを。近親相姦のせいだ。ああも殺し合ったりして、異常だよまったく」