異世界転校生
タイトル頂いて書きました!
――――なんで、私なの!?
異世界から勇者を召喚したら、勇者の友人が一緒についてきた。
呼び出した王族は、彼の処遇に困ったらしい。異世界では学生だったと言うから、とりあえず貴族学園に入れることにしたそう。
「マリーちゃんだっけ? ごめんね、よろしくね」
「……父の命令なので」
父は魔術団の副団長。
諸々の責任を押し付けられ、更に私が押し付けられた。
異世界から来たユウキ様にはとんだ災難だったろうけど、私にもとんだ災難。
学園内を案内し、教室に到着。異世界からの転校生だと教師から説明され、令嬢令息たちは色めき立った。
真意は『勇者様とお近づきになれる』から。
ユウキ様は皆から一斉に話し掛けられて、苦笑いしつつもしっかりと受け応えをしていた。
見ていて気付いたのは、勇者様のことを聞かれても上手く躱して煙に巻いていること。
確かに父が聞かれても話さないようにした方がいいとは助言していたけれど、きっぱりとは断らず、上手く話を逸らして逸らして、別のことに興味を持たせている。
同じ十六歳とは思えない。
「はぁ。やっと解放された。またせたね、ごめん」
「いえ……食堂はこちらです」
食堂に向かいつつ、無言で歩くのもマナー的にどうかと思い少し話をした。
「――――え、ユウキ様の国ではエスコートはしないのですか」
「うん。王城で軽くは教えてもらったけど、なかなか難しいね」
サラリとした黒髪を揺らしながら、首を傾げてニコリと微笑みかけられた。難しいと言いながらも卒なくこなしている気がする。
ユウキ様が学園に来て二ヶ月。
気付けばユウキ様はクラスの中心的存在になっていた。皆に好かれている。
「うん、そう考えると、ここの答えが出てこない?」
「本当だ! ユウキは本当に頭が良いな」
「ははっ」
「ユウキ様、次は私に教えてくださいませ」
「あ、うん」
ユウキ様はどの授業もすぐに理解し、学園でもトップクラスの成績だった。
異世界人ってこんなにも凄いんだ、と皆が慄いた。
そんな中、ユウキ様は褒められると苦笑いするだけだった。
食堂のテラス席でランチを食べつつ気になっていた事を聞いた。
誰にランチを誘われてもユウキ様は断る。
理由は、お昼くらいは気兼ねなくのんびりしたいから。
つまり私には気を使わないってこと?
少し、むっとしてしまった。
「マリーちゃんの側は居心地いいんだよね」
テーブルに肘を突き、掌の上に顎を乗せて、ふにゃりと微笑まれた。それだけで、ドキッとしてしまう。
皆に好かれている――つまり、私も好きになっている。
穏やかな性格に、柔らかな物腰。
ときおり見せる素、ぽそりと漏らす本音。
私にだけ、と勘違いしてしまう。
――――好きにならないわけ、ない。
◇◆◇◆◇◆
久しぶりの休日、バイトで仲良くなった章里と喫茶店に来ていた。好きなアニメの話で大盛りあがりしていた。
急に夕立になり、そろそろ帰ろうかと店を出たところで雷に撃たれた。
そして、次の瞬間には異世界に転移していた。
章里は、この世界の勇者だという。で、俺はたまたま巻き込まれた一般人。
処遇に困った王族は俺を学園に入れた。
とりあえず、この国のことや貴族のルールを学べということらしい。
「…………俺、お前と同じ年に見えるのか?」
「結城さん童顔だから」
大学三年、二一歳。
まさかの十六歳扱い。
名前を聞かれて名字を答えたら、下の名前だと勘違いされた。
学園に通うことを勧められ、まぁ、閉じ込められたりしない分マシかな? という打算もあり、快く返事した。
貴族のルールを学ぶには本当にちょうどよかったと思う。
授業は元の世界と大差なかったので特に困らなかった。
年下たちに囲まれた学園生活での癒やしといえば、魔術師団・副団長の娘マリー。
マットな感じの金髪と青い瞳の物静かなご令嬢。
伯爵家でも上の方の地位らしい。
クラスの子たちに馴染もうと勉強を見てあげているうちに、なんだかんだと受け入れてもらえたようだ。
ただ、騒がしい。
皆がキラキラした目で見てくる。『勇者様の親友』、『勇者様に近づける』、そんな裏の思惑がある子も多い。
マリーと話しているときだけは、わりと素の自分でいられることに気付いた。
「ユウキ様、ランチをご一緒しませんか?」
「ごめんね、先約があるんだ」
「またマリーとですの?」
「ん? うん。俺がマリーにお願いしてるんだよ。一緒に過ごしたいって」
にっこり笑って秘密だよ、と言うと彼女たちはポッと頬を染めて「応援していますわ」と言ってくれる。
ちょっと騙され気味だけど、将来大丈夫だろうか?
マリーに今日は天気がいいからテラス席にしようと言うと、少し嬉しそうな雰囲気。外を眺めるの、好きなんだよね?
テラス席が空いていない日は、チラッと外を見てフゥと溜め息を吐くから。本人は気付いていなさそうだけど。
食後のお茶を飲みながら、お昼だけは気兼ねなく過ごしたい、と話すと、マリーがなぜかムッとした表情になった。
きっと、俺が本当に伝えたいことは、伝わっていなさそうだ。
「マリーちゃんの側は居心地いいんだよね」
そもそも、それを伝えると、ちょっと犯罪のような気持ちになるから、彼女が成人するまでは何も伝えず、悪い虫がつかないようには根回しするけど。
――――好きだよ。
そう、早く伝えたい。
―― fin ――
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こちらもタイトル頂いて書きました!
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