月を待つ夜
月が明るく輝く日には
夜は寂しく朝を待ってる
白くふわりと包んだ衣は
近づきたくても
触れられなくて
朝が纏う紫紺の衣に
一緒に混ざりあうことで
ほんの少し触れられるだけ
触れた端から
朝に侵されて
夜は月の白い背を見ながら
空に溶けてく
月が姿を隠してる日は
夜はずっと月を探してる
この身の内に取り込んだはずの
透き通るような白い背追って
夕が残した茜の衣に
波打つような白い輪郭が
ほんの少し見つかるだけで
触れた端から
夕に沈んで
夜は月の白い肌を夢みながら
空に染みていく
月の涙が零れた日には
夜は夜は静かに帳を下ろす
誰にも夜にも見えぬよう
誰にも夜にも気づかれぬよう