第8話 第一秘書のテレサ
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ルーシーが受付で説明をすると、受付係の女性職員がすぐに電話で秘書室に連絡を取った。
すると、五分も経たないうちに国王の第一秘書テレサがエレベーターから降りてきて、ルーシーの姿を確認すると柔かに挨拶をした。
「シュナイダー補佐官、お疲れ様です」
「お疲れ様です、テレサさん」
「あらかじめお話は伺っております」
テレサは、丁寧な仕草でルーシーをエレベーターの前に誘導するとそのボタンを押した。
ちなみに、セキュリティの問題でこのエレベーターを使用できるのは秘書をはじめ限られた人間しかおらず、そのためその都度今回のように例え国王から呼び出された時でも、秘書等に案内してもらわないと彼に会うことはできないのだった。
ルーシーはテレサのちょっとした仕草に見惚れ、改めて彼女を横目で眺める。
テレサは、茶色のミディアムロングの髪をハーフアップにして、かすみ草がかたどられた髪飾りでとめている。
服装も黒のスーツが線の細い彼女に、とても似合っていると思った。
だからか、いつもルーシーは彼女と会うと緊張をするのだが、何故かどこか彼女に対して懐かしさを感じていたのだった。
◇◇
二人は、王城の最上階である三階でエレベーターを降りるとしばらく無言で歩いていたが、ルーシーは兼ねてから聞いてみたいと思っていたことを聞こうと、勇気を出して口を開いた。
「あの、テレサさんは陛下と一緒にいる時、緊張しませんか?」
途端に、テレサの廊下を歩く動きがぴたりと止まった。
「……それは、どういった意味でしょうか」
「えっと、その……」
テレサは、ルーシーを眺めると静かに目をつぶった。
「シュナイダー補佐官は、いつも陛下と会われる際、緊張されているのですか?」
「はい」
ルーシーは眉をひそめたテレサを見ると、内心まずいことを聞いてしまっただろうかと思った。
「圧が強いというか、無表情というか……」
テレサは不思議に思ったが、彼女が言わんとしていることを自分なりに察すると、頷いて口元を緩ませた。
「確かにそういうところもありますが、決してあなたに対して怒っているわけではないと思いますので、安心してくださいね」
「は、はい」
テレサはふんわりと髪をなびかせやんわり微笑むと、国王の執務室の扉の前で立ち止まった。
そして、彼女は丁寧に大きくハッキリしたノックをその扉に四回打った。
「陛下。シュナイダー補佐官をご案内致しました」
「……ご苦労だった」
テレサは小さく頷き、ルーシーに無言で目を合わせると、扉を開く。
ルーシーは声をやや引きつらせて、「失礼致します」と精一杯に言って、静かに入室したのだった。
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次回は「国王」の登場回となります。
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