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【完結】国王陛下と恋を始めます  作者: 清川和泉
第6章 魔法カフェでの再会

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第39話 レオンとのデート

ご覧いただき、ありがとうございます。

今回から「レオンとルーシーのデート編」が始まります。

ルーシーは緊張しながらも、「レオン」と向き合い接していきます。

「この服、変じゃないかな……」

 九月の上旬の土曜日、十九時半頃。

 ルーシーは手早く夕飯を済ませると、二十時からレオンと出掛ける約束をしているので、その為の支度をしていた。


 なお、これまで二人は魔物討伐で何度か顔を合わせてはいたが、私的な用事で会うのはレオンがルーシーに正体を明かしたあの夜以降、初めてだった。


 また、魔物自体ドラゴンが出現したあの日以降、何故か以前のような低レベル、ないし中レベル程の魔物の出現に止まっているので、ルーシーを含めた魔物討伐隊の面々は安堵しているようだ。


「今日はもう遅いから、レオンさんの行きつけのお店に行ってそのまま帰るって言っていたけど、そもそもレオンさんの姿で行けるお店って何処だろう?」

 ルーシーは、一人でいる時は意識してレオンのことをなるべく「テナー君」ではなく、「レオンさん」と呼ぶようにして彼女なりに耐性をつけていた。


 普段は自然めなリップも、今夜は意識して濃いものにしている。

「ドレスコードとか、特に無いお店だって言っていたけど……」

 姿見に映った自身はノースリーブの黒のワンピースに七部袖のベージュのワンピースを羽織っている。


「うーん、果たしてこれで良いのだろうか……」

 そう呟いているといつの間にか時は経ち、約束の時刻の五分前になっていたので、ルーシーは慌てて鞄を手に持ち出かけていった。



 □□□□□



 約束の場所は、宿舎の近くにある公園だった。

 ルーシーが到着した時には、既にテナーが公園の出入り口で待っていた。

「テナー君! ごめんね、待たせてしまって」

 ルーシーの掛けた声に気が付き、テナーは振り向き笑顔で答えた。

 彼はシンプルな黒の七部袖のジャケットに白のシャツ、黒のパンツを身につけている。


「ううん、僕も今来たところだから全然気にしないで」


 ────瞬間、ルーシーの胸の鼓動が高鳴った。

 

 以前と同じ様な言葉を、同じ様なタイミングでかけてもらっただけなのに、今夜はどうも彼を一目見ただけで胸の鼓動が治ってくれそうにない。

(何故だろう、胸が苦しいよ……)


 だからか、ルーシーはテナーに対して、

「……ありがとう」

 と言うので精一杯だった。


 テナーは電灯の灯りでも確認出来るくらい、ルーシーの頬が紅潮する様を目の当たりにすると、会ったばかりだと言うのに抱きしめたくなったが、すんでのところで抑えた。


「……それじゃ、行こうか……」

 ルーシーの手を握り、ルーシーは近くの駐車場へと向かった。



 □□□□□



 テナーは車を発進させると国道へと出て、五分ぐらい走った先にある高層ビルの地下駐車場へと入り、駐車した。

 

「扮装魔法を解くから、一応後部座席へ移動するね」

「う、うん」

 思わず生唾を飲み込んで、ぎゅっと拳を握る。

 やはりまだ、レオンの姿には慣れきれておらず身構えてしまうと感じながら、同時にある疑問が浮かんだ。


(あれ、車の中で魔法を解くことが出来るのなら、あの夜もそうすれば良かったんじゃ?)

 そう思っていると、テナーは一度外へと出てから後部座席へと入り、ドアウィンドウに取り付けられたカーテンを閉めた。


『自身を本来の姿に変えよ』


 蒼光(そうこう)に包まれた瞬間、────後ろの座席に座っていたのは、レオンだった。


「……陛下……」

 ルーシーは思わず使い慣れた名前を呼んだ。

「レオンさん」

 

 ほぼ無表情ですかさず指摘をするレオンに対して、何故か何とも言えない愛らしさが沸々と湧き上がってきて、ルーシーは内心で小さく吹き出していた。



 □□□□□



 ともかく二人は、エレベーターに乗り込み、上階へと向かった。

 無表情のレオンに対して、何と声をかけて良いか考え込み、その結果先程の疑問を投げかけてみることにした。


「あのへ……レオンさん」

「なんだ?」


(う、やっぱりまだちょっと恐いよ……)

 声の調子を変えずに返してくるレオンに、内心狼狽(うろた)えながらも何とか続けた。


「レオンさんは、先程のように車内で魔法を解除出来るのなら、どうしてあの夜は別邸に行ったんですか?」

 瞬間、レオンの表情が分かりづらいが固まった。


「…………あの夜は、車内だと距離が近いから君に警戒される可能性があると考えたからだ。……更に君に正体を明かす時は、誠実でいたいとかねてから考えていたのもあって、車内で行うには今ひとつ誠実さが欠けると結論に達し、加えて、やはり公共の場はここと違って情報漏洩(ろうえい)のリスクもあるからな」

 

 と言うのは七割がたがこじつけで、要は彼は自分のテリトリーに彼女を連れ込む口実が欲しかったのだ。

 その口実は少々強引だが、一応形は保っていた。


「そうだったんですね」

 ルーシーは妙に納得して、肩の力を抜いた。

 その様子を確認すると、レオンはそっと彼女の肩を抱き寄せてその髪に触れる。

 ルーシーは途端に全身に痺れのような衝撃を感じた。


「へ、……レオンさん。監視カメラに撮られちゃいますよ」

「構わない」

 レオンがそっとルーシーの頬に指で触れた瞬間、エレベーターの到着を知らせる合図の音が鳴り響いた。

 二人は、意識して少し離れた。


 エレベーターから降りると、目前には高層階から一望出来る夜景が広がっていた。

「わあ! 綺麗!」


 (こぼ)れる笑顔を見せるルーシーを見ていると、レオンはもう少し早くここに来られていたらと思わず思う。


「あの、それでレオンさん。今夜行く予定のお店って何処ですか?」

「ああ、あの店だ」

 そう言って、レオンはルーシーの手を握ってビルに入っている目的の店先まで歩いて近寄った。


「ここって……」

「魔法を主に取り扱う店だ。保護魔法や防壁魔法が満足に張られているから、身の上を気にする必要もないし、このビル全体にそれはかかっている。これまで人とすれ違わなかったのは、そう言った理由があるからだ」

「……たしかに、魔法がかかっていますね」

 

 今なら気配でわかるが、言われるまでそれに気がつかなかった自分自身に、ルーシーは焦った。

「ここの魔法は高度だから、中々言われても気づけない。それに気づけただけで大したものだ」

 

 ルーシーの心中に気がついたのか、さりげなくフォローしてくれるレオンがとても有り難くも、少しばかり罪悪感を抱いたのだった。

ご覧いただき、ありがとうございました。

次回から新しい登場人物たちが登場予定です。


それでは、次回もご覧いただけると、嬉しいです。


感想、ご評価、ブックマークをありがとうございます。更新の励みとなっております⭐︎

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