『唯我独尊なろう道! 』を貫き、第9回ネット小説大賞の1次選考を通過しました。こんな世の中はおかしい\(^o^)/! ですから、「なろう」の地殻変動を考察します。
皆様おはようございます! シサマという者です。
先日8月13日は、「小説家になろう」サイトで作品を執筆する作者の皆様にとっての最後の希望である、「第9回ネット小説大賞」の1次選考の結果発表がありました。
私が敢えて「最後の希望」という表現を使った理由……。
それは、ネット小説大賞がなろう内の作品に絞った選考をしており、人気投票による評価は既にランキングでなされている為、他のコンテストと比較すれば、サイト内の埋もれていた作品にスポットライトが当たる確率が上がるという傾向があるからですね。
まあ最終的に、入賞するレベルの作品はランキングでも結果を残しているものが大半で、埋もれていた作品、或いは通好みの作品などはせいぜい2〜3作程度の入賞にとどまるのが通例です。
しかしながら、所謂「なろう」のトレンドに沿わない作品であっても、スポットライトが当たる機会が多いのが1次選考結果発表。
それはすなわち、ランキングからの成功を狙ってはいない「趣味創作、己のこだわり重視タイプ」の作者にとっても、自身の作品を不特定多数の読者に読んで貰えるモチベーションになっている事は、恐らく間違いないでしょう。
文字数や完結に関する規定が無いという点からも、最初から書籍化やコミカライズを目標に掲げていないユーザーにも門戸が開かれている事が窺えますね。
さて、私本人は『唯我独尊なろう道!』エッセイでも述べていた通り、私のやり方を認めてくれている親しいユーザー様以外の、所謂審査員の方々に私の作品を強引に読ませ、その唯我独尊創作(笑)をどうにかして知らしめる為に、ネット小説大賞に5作品をエントリーしました。
その結果、ネット小説大賞初挑戦、かつランキングやポイントで成功した作品を持たないにも関わらず、1作品のみ1次選考を通過する事に成功したのです。
この結果に関して、勿論私自身は素直に嬉しかったのですが、その1次選考通過作品は『ねこキューブ、たぬキューブ』という、応募5作品の中で最もポイントとPVが少ない作品でした。
この作品は連載完結から既に1年半近くが経過していましたが、選考通過時点で総合ポイントは僅か60、PVも24話あるのに累計で2000しか積み上げられず、私の小説の中では最低レベルの成績です。
ネット小説大賞の例年の傾向を信じる事が出来ない作者であれば、評価の低さからエントリーすらためらわれるのではないでしょうか?
事実、自身の作品のポイントの低さを嘆いて勝負する前からエントリーを諦めた作者も、相当数いたと思いますね。
それでは何故、私がこの低評価作品をネット小説大賞にエントリーしたのでしょう?
全てに於いて私の作品は、自分が書きたいものを何より優先して書いている為、「なろう」でのトレンドや読者層などは考慮していません。
しかし、この『ねこキューブ、たぬキューブ。』という作品は、SFやアクション、サスペンスなどが混じり合いながらも全体的にコミカルなムードがあり、女性キャラクターや動物の活躍も目立つので、「なろう」でも少しはウケるのではないか……と期待していたのです。
結果として、最低レベルの成績に一度は落胆しましたが、PVの少なさから強引に「ふんっ! こ、この作品はつまらないんじゃなくて、埋もれているだけなんだからねっ!」と思考回路を切り替えて、今一度この作品にチャンスを与える事にしました。
そして、今回の1次選考通過です。
私が目先の評価ポイントやPVを理由に、卑屈になって本作をエントリーしなければ、私のネット小説大賞挑戦は全敗でした。
また、その卑屈さは、私自身が「なろう」のシステムに敗北する事を意味しており、その卑屈さは更に、俺の作品が落ちて、俺よりポイントやPVの少ないあの作品が何故1次選考を通過しているんだ? という妬みや苛立ちをも生み、人間としても敗北感にまみれてしまったかも知れませんね。
私は『唯我独尊なろう道!』エッセイの中で、「作品は完結させてからが勝負です」と述べていましたが、説得力のある具体例を自分の作品から提出する事が出来て安心しました。
そして何より、様々な感情が去来する中でも気持ちを切り替えて普段の創作活動に戻る皆様に敬意を表します。
★考察その1……面白い、面白くないは客観的な判断が出来る読者が決めるべきだが、埋もれている、埋もれていないは客観的な数字を誰よりも把握している作者が決めればいい。
埋もれている自分の作品を浮上させる為に足掻く事は決して恥ずかしくはないし、心配するほど周囲に迷惑もかけていない。
……さて、ここまで書いておいて何ですが、私の作品が選ばれた事を含めて、今回のネット小説大賞の選考基準に不明瞭な点がある事は確かですね。
1次選考通過作品の中には、総合ポイントが一桁で感想も全くなく、物語前半で更新が止まったまま半年近くエタらせているにも関わらず選ばれている作品もありました。
これはつまり、この作品を読んだ審査員のツボにハマる文体やストーリー、キャラクターがあったから選考を通過した、その事実に他なりません。
この作品が更なる選考を通過しても、無事に再開される保証もない訳ですから、ある意味1次選考限定で通過させて、作者のそのポテンシャルを励ますという意図があるのだと考えます。
何故、この様な評価の作品があるのか?
それは今回のエントリー作品が余りにも多く、審査員に多大な負担を押し付ける事になる為、例えばノルマで500作品読む見返りとして、ポイントやPVに関係なく個人的に好きな作品を5作品選んでいい……という様な特典があったと考えられます。
今回のネット小説大賞はエントリー作品数も多いですが、1次選考通過作品数も多いですからね。
そして、何故その様な作品の選考で作者のポテンシャルを励ます事が必要なのか?
これはやはり、「なろう」の運営側も今後のサイト繁栄の為に取り組むべき課題を意識し始めたと考えられますね。
★考察2……サイト繁栄の為に、書籍化を筆頭としたランキング競争は不可欠だが、運営側もサイトの多様性は最低限維持して欲しいと考えている。
そして、1作品が1次選考を通過した私は審査員との相性で運が良く、1次選考を通過出来なかった方は審査員との相性で運が悪かった。
それでは更に、「なろう」の運営側がサイトの多様性を意識する様になっている背景を考察してみましょう。
現在の「なろう」は、あらゆるジャンルを喰い尽くしてしまわんばかりの勢いで、より単純化された「ざまぁ」作品が猛威を振るっています。
これは何も、「なろう」やラノベ界隈に限った話ではなく、漫画やテレビドラマにまで「ざまぁ」の波は押し寄せており、元来韓国ドラマなどは、「なろう」小説よりも展開が良く練られている「ざまぁ」ドラマが多いですよね。
また、コミカライズでも目に見えて「なろう」小説原作の「ざまぁ」作品が増えており、一見して日本のサブカル的エンターテインメントは、「ざまぁ」で暫く安泰に見えます。
しかしながら、ラノベ作家の夢の最高峰に位置すると思われるアニメ化に於いて、「ざまぁ」作品は余りにも少ないのではないでしょうか?
現在ではほぼ毎シーズン、「なろう」小説原作のアニメが放送されている様に思えますが、そのアニメには「ざまぁ」展開のエピソードこそあっても、「ざまぁ」作品は殆ど見当たらないのではないでしょうか?
「なろう」作品のアニメ化は、未だに「異世界転生、移転」をベースにしたファンタジーか「VR系」、微笑ましい甘さが魅力の「恋愛もの」などが幅を利かせていると感じます。
鋭い洞察力を持つ「なろう」論客の方々は常々語っておられましたが、元来「なろう」の「ざまぁ」作品の大半は、物語の短期「ざまぁ」回収後に手詰まりとなる傾向がありますね。
これは「なろう」のシステムを最大限利用して、ランキングの制覇と書籍化の野望を最短距離で叶える為に生まれた、作者と読者のタッグが強力過ぎるが故に陥る弊害なのですが、これはむしろ1クール放送のアニメとは相性が良さそうに思えます。
では何故、「ざまぁ」作品のアニメ化は少ないのでしょうか?
これはハッキリ言って、企画がなかなか通らないからであると思います。
『リゼロ』や『転スラ』に代表される様な、「なろう」ユーザー以外からも支持される大ヒット作品が、「ざまぁ」作品から生まれていないという現実も勿論あるでしょう。
しかしそれ以上に、「ざまぁ」作品に存在する明確なヘイト対象の描き方や、そこに充てられる人気声優の配役で起こり得るファンのネット炎上などの懸念に、アニメ制作現場からの拒否反応があるのだと思います。
「ざまぁ」作品は、主人公が受ける理不尽なストレスをヘイト対象の凋落や死によって解消するという、絶対にアレンジ出来ない軸があります。
故に脚本家、演出家、監督などのアニメ色を出す余地が存在せず、また、元来女性ファンにとって最も魅力的に映るはずの「主人公だけに優しいワル」といった、繊細なキャラクターを登場させる事も難しい現実。
更に、主人公とヒロイン以外のキャラクターを悪党や無能キャラクターに設定しがちな作品では、人気声優を抱える事務所が人材の派遣に消極的になるでしょう。
声優本人がゲス役に乗り気であっても、一部のファンの怒りや暴走がスポンサーを撤退させるだけの力を持つ時代になってしまいました。
これらのリスクを乗り越えてアニメ化される「ざまぁ」作品は、余程の大ヒット作品か、或いは制作現場が開き直って楽しめる、思いきりギャグに振った作品に限定されてしまうと思いますね。
……ふむふむ、で、「ざまぁ」作品がなかなかアニメ化されない事が何か問題なの?
そう考える方もおられるでしょう。
「なろう」運営側としては、やはりラノベ投稿サイトのビジネスモデルの頂点はアニメ化にあります。
美少女キャラクターなどのグッズが売れれば、キャラクターの原案に尽力した絵師さんの収入と地位も上がり、メディアミックスとして理想的な繁栄に繋がります。
つまり、運営側はトラブルなくアニメ化が可能なトレンドを再び確立する動きを模索している、そう考えられますね。
コンテストなどでランキングに関係なく作品をピックアップする際に、幼い子どもと動物(或いは可愛い魔物)によるコメディーなどは、今後更なる注目が集まるのではないかと睨んでいます。
そして、映像の制作もテレビ局や映画会社に限定されなくなった現在、書籍化やコミカライズを飛び越えて、例えばネトフリ資本の大作の脚本家が小説投稿サイトから生まれる……。
そんな近未来にチャレンジする会社とユーザーが現れる事を、時間の問題だと思いたい所ですね。
★考察3……小説投稿サイトのランキング競争とは別に、運営側は新たなトレンドを模索しながら水面下でコンテストなどに反映させてくる。