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稲妻とキノコ

作者: アンリミ

恋をしたことはありますか?

今、恋をしていますか?

それは幸せなものですか?

大嫌いだ

そう言ってやりたい

大好きだ

そんなのもう止めにしたい

傷つくばっかりでもうなにもかもが嫌だ

あなたにバレないよう無理して笑う

嫉妬に荒れ狂う胸の中で白いキノコが生える

嘘をつかれたんだね、ワタシ

本当のことを言わないのは嘘じゃないの?

隠し事してバレないように

なんで手離してくれなかったの

ワタシがあなたを好きだと言ったから?

宇宙の果てまで届く光が跳ね返るまで

腐った果実みたいにドロドロと泣く

大嫌いだ

そう言ってやりたい

そうしたら全部終わりになる

知ってる

ビルの谷間に吹く風みたいに威勢だけはいい狂気

言えばいいじゃん、バカだなって

ほら、鳥居が笑ってる

大好きだ

何回も何回も言葉にした

チョコレートみたいにドロドロになっちゃう前に

何回も何回も何回も言葉にした

いつの間にか白く変質したチョコレートみたいに

大好き、その言葉が

ワタシを傷つけて血を流しても

とめどなく震える指先で稲妻を探して

雨の隙間で見た薔薇の花壇に白いキノコ

嫌いになりたい

いいえ、嫌いになりたくない

あなたを忘れてしまいたい

稲妻と共にキノコは生えるというけれど

この白いキノコが

あなたの記憶を奪うだけのキノコだったなら

ワタシ喜んで食べるわ

あなたが大好き

好きで好きでたまらないから

忘れてしまいたい

大嫌いだなんて覚えていたくない

落としてきた言葉全部掬えたなら

業火の中に放り投げて忘れたい

ねえ どうして

嫌われるの嫌なんて図々しいよ

ねえ 撃ってよ

好きでもないけど失うのは嫌だなんて言ってないで

この胸の痛みも苦しみも鼓動も

ワタシはもう罅割れた鏡のよう

嫌われたくない意味がわかんないの

好きではないくせに

大好き

そのままでいて欲しいなんてわかんないの

疲れたよ

はら 鏡は割れる

キノコのカサが開いて広まる前に摘み取るように

なんの感情もなくただ

さよならってあなたから言って

手に白いキノコ持ちながら



恋の苦しみは滑稽な終わり方が一番いい

なにも覚えていられないくらい

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