プロローグ
「あっついなー…」
「先輩今日の気温40度近くになるらしいですよ…こんな中スーツ着て営業とか…絶対死にます…」
「はははっ!今日頑張ったら飲みに行くぞ!」
「まじですか!先輩の奢りっすか?」
「あぁ!俺の奢りだ!だから頑張ろうな!」
「よっし!張り切って頑張りましょう!」
夏の日差しが暑さを通りすぎジリジリと痛く、蝉がミーンミーンと世話しなく鳴く昼下がり、俺は会社の後輩のやる気を上げる為、そう声を掛け営業周りに足を進めた。
俺の名前は稲辺 智輝 (いなべ ともき)26歳、大学卒業後、サラリーマンとして大手企業に勤めている。
入社して三年が立ち仕事もバリバリ出来るようになり、新プロジェクトと後輩の指導も任せられるようになって充実した毎日を送っている。
「んー…はぁ…仕事終了!」
俺はパソコンの電源を切りボソリとそう口にして、背伸びをした。
「せーんぱい!」
「おぉ…瀬戸…終わったのか?」
「はい!バッチシ終わらせました!」
「じゃあ…行くか!」
「待ってました!」
「お先に失礼します!」
「お先します!」
「お疲れ様ー!」
俺たちは残業で残っている同僚の皆に挨拶をして会社を後にした。
「そう言えば…先輩ってなんで彼女とか作らないんですか?」
「ん?唐突にどうした?」
「いえ…この間、事務の若い女の子から告白されてましたよね?」
「あー…見られてたんだね…」
「はい…先輩…俺が先輩と会ってまだ4ヶ月ですけど周に一回は告白されてないですか?しかも先輩全部断ってますし、今日も断ったみたいだったので…それと立ち聞きしてすいません…」
仕事が終わり約束通り居酒屋に飲みに入った店で瀬戸は唐突にそう言う話を切り出してきた。
「あぁ…断ったな…立ち聞きは悪気があった訳じゃないんだろ?謝らなくていい」
瀬戸の言葉に俺はビールを飲みながらそう答えた。
「なんでっすか?今日の子もめちゃくちゃ可愛いって会社の若者にめっちゃ人気のある子だったのに!」
「なんで…か…強いて言えば俺にはずっと忘れられない人がいるんだよ…名前しか知らない女の子…その子と行った高校最後の夏の旅…大切な…夏の思い出…」
「その人とは…会えないんですか?」
「会いたいよ?もう一度会いたい、だって俺の…初恋の人…だから…」
そう言って俺は今まで誰にも話すことなかった、あの夏の出来事をポツリポツリと話し出していた。
最後まで読んで頂きありがとうございます!
王道青春ラブストーリーではあります。
文章能力あんまりないし、ありふれた話ではありますがこれからも見て下されば幸いです!