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爆縮と体温の機知(8)

風波

通り過ぎた赤色の乗用車を

その風に逆らうように見送ると

横断歩道に音楽が流れた

渡り合う人々に

それぞれの風が流れて

その風に逆らうように無視すると

向こう側にたどり着いた

誰も居ない世界は

きっと

風だけが吹いているのだろう


矛盾だらけだと嘆く友人の話を

その風に逆らうように聞き流せば

いつもの顔で喋り出した

進むビールジョッキが

それぞれの空っぽになれば

その風に逆らうように声を上げて

店員に注文をした

誰かが居る世界は

きっと

風だけが聞こえないのだろう


店前の灰皿番をしながら

夜の道端に突っ立っている

右から左に笑い声が過ぎ

遠くのサラリーマンは

次の店へと催促していた

低速タクシーが入って来れば

左右に散りゆく人足

テイルランプの赤色は

夜の街のチーク

消える話は煙の所為ではなく

誰かの風が原因だ


独りよがりな怒りを掲げるのなら

その風に逆らうように受け流し

納得を自分で探せと言う

オールナイトを

歌いながら決める友人

その風に逆らうように煙草を吸いに

立ち上がった

誰かと居る世界は

きっと

風で絡み合っているのだろう


マイクを持つ友人を見ながら

叩いているタンバリンには

今だけに必要な音が含まれていた

この中で発散する

それが出来ている人間に

真面目だと言えなかったら

法律は要らなくなる

落ち着いた頃

二回目の煙草へ行くと

何処かの誰かと目が合った

枠から外れれば

知らない風が吹くものだ






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