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上級国民・オン・ザ・ステージ
『庶民のみなさんこんにちは。上級国民です』
響くしゃがれたダンディ・ボイス!
踊る七色のスポットライト!
否が応でも沸き立つ観客席!
その熱気は画面越しでも間違いなく伝わってくる。
さあ、いよいよはじまるぞ……
週に一度のショウ・タイム――
誰がはじめたか、会場にはコールが巻き起こる。
「「「しーけーい! しーけーい!」」」
音脈に合わせて振りかざすは、ペンライトならぬ鈍器や銃器。
やがてスポットライトが集まれば、照らし出されるは――本日の主役!
『上級国民、飯豊三ッ夫です』
割れんばかりの拍手、鼓膜が破れんばかりのブーイング!
誰もが見慣れた姿が、そこにあった。
無罪の犯罪者。
被害者顔した絶対加害者。
神とカネに愛された卑怯者。
『さあ、庶民のみなさん、わたしにふさわしい罰を下すのです』
“上級国民”、飯豊三ッ夫――
これから彼の処刑がはじまる。