魔王の子供と勇者の子供
初投稿の改訂版。
「今日は帰ってくるの遅いわね」
息子に誕生日だから6時まで遊んでいいと言ったが、すでに二十分過ぎていた。息子は、ある程度魔法が使えるがまだ制御も出来ていない。逆に使えるだけでも凄いほどだ。おそらく、母である元勇者ユウナの才能の遺伝だろう。しかし、身を守る効果は期待できない。そんなことを考えてる内に、夫であるクインから、返事がかえってきた。
「大丈夫。勇希は頭がいいから」
「いくら頭がよくても、無理なものは無理じゃない?まだ子供だし」
カナカナカナ。ひぐらしのなく声も聞こえてくる。
それから、10分程たった。さすがに三十分も遅れたとなると、心配になる。
「流石に遅すぎじゃない?いままで一度も遅れたことないのよ」
クインも心配になってきたのか、
「探してこようか?」
と言い始めた。今、ユウナはケーキを作っている。もし、さがしに行って何も問題なく帰ってきたなら勇希にとってはケーキが食べられなくなるだけで損ばかりなのだ。そこで、暇そうに魔書を読んでいるクインが行くのに最適なのだ。
「ってことで、いってらっしゃい」
クインは大きくため息をした後、めんどくさそうに探しに行った。
その頃、勇希は逃げ回っていた。友達と別れた帰り道の途中で会った、謎の覆面からだ。
「ついてくるなぁ!わぁー!」
そう言いながらブンブンと手を振って、走っている。
「待、、て、、」
謎の覆面は、物凄い勢いで追いかけてくる。
勇希は泣きながら叫んだ。
「誰か助けて!!」
その時だった。覆面が追いかけるのをやめて行きなりとまった。そう。誰かが行く手を塞いだのだ。しかし、覆面は攻撃しようともせずに、跪いた。そして、その誰かに向かってこう言った。
「魔、、王、、様、、」
勇希はしばらくの間理解できなかった。まだ、四歳になったばかりの子供だし、当たり前だ。そして、意味もなく涙が溢れた。
「うっうっうっ、、、」
すると魔王はこっちを見て、言った。
「お前は、我が魔王城にいただくぞ。フハハハ」
勇希は恐怖で何も抵抗できず、そのまま連れ去られた。
「おかあ、、さん、、」
彼は最後にこう言い残して気を失った。
家では探しに行ったクインも、勇希も帰ってこなかった。ユウナは近くの全ギルドにむかってある依頼を出した。
❲Re:勇者の子供がさらわれた。 見つけた人には三十万。❳
果たして勇希はどうなるのか。ハラハラ、ドキドキ!