サボタージュって美味しそうだよね
「サボタージュって美味しそうだよね」
「ある意味では美味しいのかもしれないけど、決して美味しい食べ物ではないと思うわよ?」
「あれ? 菜ノ葉なら『いや、いきなりどうしたのよ』って訊いてくると思ったんだけど、なんかさらりと答えてくれたね」
「あのね焔。出会ってから今まで何度も滅茶苦茶なことに巻き込まれて、それに慣れてしまったいたいけな少女が、その元凶である友人の不可思議な言動にそう一々突っ込みを入れると思う?」
「自分でいたいけなとか言っちゃうんだね」
「あなたと比べれば十分いたいけよ」
「ヒドイ」
「まあ、そんなことはいいとして、高校という貴重な青春の一部の中でもかなり重要な瞬間である放課後の教室であなたは何を思ってサボタージュが美味しそうだと言ったのかしら?」
「……なんかごめんなさい」
「なぜ謝るのかしら? 私は怒ってなんかないわよ? そう本当にこれっぽっちも、青春という儚くも人生において非常に大事な華々しい時間をただのトラブルメイカーの女友達との無駄なおしゃべりに費やすことを腹ただしく思ってなんかないわ」
「非生産的で何の意味もなくつまらない話題を振ってごめんなさい!! そしてトラブルメイカーでごめんなさい!! だからそんなあからさまにツンデレヒロインのガチオコみたいな怒り方をしないで!!!」
「……次の定期テストで私の順位を上げることで手を打ちましょう」
「誠心誠意務めさせていただきます」
「ところでサボタージュって「あなたは失敗から学ぶことはないのかしら?」」
「いや、聞いてよ。サボタージュって聞いただけじゃポタージュみたいで美味しそうでしょ?」
「語感的には確かにそうね」
「でしょ? だからさ、サボタージュを一回でもいいから味わってみたいなって思ってるの」
「そう」
「…………終わり?」
「え? うん、終わり」
「…………ちょっと殴っていいかしら?」
「振りかぶった瞬間全力で逃げます」
「なら不意打ちでいかせてもらうわ。後で覚悟してなさい」
「何それ怖い」
「大丈夫よ。最悪でも死にはしないわ」
「それ全然大丈夫じゃないと思うんですハイ」
「自業自得よ! ほんと後で覚悟してなさいよ!!」
「菜ノ葉が声を荒げるなんて珍しいね」
「誰のせいよ!!」
「まあ菜ノ葉の白髪が増えそうなのは置いといて」
「置いとくな! せめて謝罪くらいはしてから話を変えなさい!!」
「帰りますか」
「スルー!? ここまでモノローグなしの会話だけのお話なのにスルー!!? それやっちゃったらこの短編は会話どころかお話が成立しないのよ!!?」
「いやだって早く帰ってゲームしたいし」
「じゃあなんでサボタージュの話振ったのよ!!?」
「……そういう気分だったから?」
「よし、そこから動かないで歯を食いしばりなさい」
「花の女子高生が歯を食いしばるのって絵的によろしくないと思う」
「ネット小説だし、作者に絵を描く才能は無いしで読者には全く見えないから大丈夫よ!」
「そういう問題!? ていうかさっきから菜ノ葉発言がメタくない!?」
「うるさい! どっちかと言えばあなたの方が問題多いわよ!!」
「だからって女子高生という設定に即さない行動は良くないと思うんだ!?」
「問答無用!」
「グハァッ!!? 女子高生に非ざる悲鳴!!」
「ふぅ……随分と面白い顔になっちゃったわね」
「顔!? 顔殴っちゃいました!? 挿絵に飽き足らずモノローグさえないから全くどうなってるのか分からないけど顔腫れてます!!?」
「大丈夫よ。そのブサイクな顔が全国のお茶の間に届けられることはないわ」
「女子高生的にテレビで放送されなくてもアウトだと思うんです!」
「それじゃあすっきりしたことだし、帰りましょ?」
「腫れた顔で外を出歩くなんて無理! 私の社会的地位が失墜しちゃう!!」
「……無様ね」
「唐突なリ◯子さん!」
「まあ、顔面をグーで殴られてそこまで元気なら大丈夫でしょ」
「グー!? グーで殴っちゃいました!!? そんな描写どこにもなかったけど!? モノローグないってやっぱり辛くない!!?」
「作者もここまで書いておいて『後悔してる』って言ってるわ」
「ついに作者の声出しちゃったよ! 何やってるんだよ作者!! 登場人物2人しかいないのにもうカオスだよ!」
「『どうも、アホみたいな短編を書いてしまいました。倉里小悠で――』」
「いつもの挨拶! もう開き直ってる!」
「このままだと本編の方に影響が出そうね」
「そうだよ! 本編じゃ私叫ぶようなキャラじゃないもん!!」
「モノローグでは結構饒舌なんだけどね」
「なぜ私のモノローグを菜ノ葉が知ってるのさ!」
「この短編ではあり得ることよ」
「だろうね! さっきから好き勝手やってるもんね!! ていうか最初のギャグとツッコミの立場が逆転してない!?」
「『※この小説は本編とは一切関わりありません』これで万事解決よ」
「本編って言ってる時点で関わりを認めちゃってるよ!!」
「ところで、」
「何?」
「この短編いつになったら終わるのかしら?」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……帰ろうか」
「……そうね……帰りましょう」
to be continu――「「続かせてたまるか!」」
何を思ってこれを書いたのかは作者自身にもわかりません(汗)
昨日の私に聞いてください……
まあ、あの2人の高校時代ですハイ。
キャラ崩壊してるので特に本編と関わりは無いはず。……無いはず。
とりあえず魔法の言葉を書いておいて逃げよう(固い決意)
※この小説は本編と一切関係ありません