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身長が高く細身ではあるがしっかりした体格で髪は肩位まで伸び髪の毛は無造作に思い思いの方向に跳ねている。目は細めでいつも笑っているかのようなカーブを描いている。
「お、親父!」
「久しぶりだな。我が息子よ!」
親父の両手前の方に広げて俺を迎えるような芝居がかった仕草にイラッとしながら尋ねた。
「挨拶はいいから質問に答えろ! 何でお前がこんな所にいるんだ?」
「つれないなぁ、徹は、せっかく感動の親子の再会シーンを演出したのに」
「そんなもの演出しなくていい! それより今のこの状況を理解しているのか?」
俺の言葉に親父は口元を緩ませてから、岡田生徒会長を笑っているような細い目を少し開いて見た。
「岡田くん、生徒会長ともあろう者が人や物を手荒に扱うものじゃないよ」
「どうやら、そこの一年生の父親らしいが、その様な奴に説教される覚えは無い!」
岡田生徒会長は親父の話しを意に介した様子も無くピシリと言い放つ。
それを聞いた親父は困った様な顔をして頭を掻きながら言った。
「それがあるんだよなぁ、3つも」
親父は岡田生徒会長に向かって三本の指を立てて話を続けた。
「先ず、私は今学期からこの学園の客員講師をする事になった。これが一つ目。次に、前任の鈴木先生が生徒会の顧問をたった今お辞めになってその後任を私が引き継いだ事。これが二つ目」
「くっ!」
岡田生徒会長は口惜しそうに唇を噛んでいる。
「岡田くん、そろそろ自分の過ちを認めてくれないかなぁ」
「わ、私は何もやってはいない!」
「そうかぁ……、それでは三つ目、前任の鈴木先生がお辞めになった理由なんだが、今、岡田くんが持っているスマホは実は通話状態になっていて私のスマホとつながっているんだ。当然先程からの話は全て聞かせて貰ったし、この事に関して鈴木先生も関与していたことも分かった。それでも不正を認めてくれないかなぁ?」
親父の三つ目の理由、鈴木先生がミスコンの賭けに関与していたことは初耳だったので俺も驚いたが岡田生徒会長にはこのことが決定的なダメージになったらしく膝から崩れ落ちた。
親父はゆっくりと岡田生徒会長に歩み寄り肩に手を置いて凛先輩のスマホを受け取り
「君はまだ若いんだ。鈴木先生とは違ってまだまだ将来もある。今回の事は軽微な罪として処理させて貰う。ただ、生徒会長の職はこのまま続けてもらう訳にはいかないが」
と伝えた。
「やはり、羽多野くんがみんなの"かなめ"となって私を追い詰めましたか」
岡田生徒会長はその言葉を小さく呟いて再び下を向いた。
「さてと、後は他の先生方にお任せするかな」
親父はそう言うと生徒会室の外に待たせていた二人の先生を室内に呼び入れ岡田生徒会長を職員室に連れて行かせた。




