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「それでは私の発言だったらどうかしら?」
それまで伏せ目がちに顔を下げていた凛先輩がいつもの爽やかな笑顔で岡田生徒会長を見据えている。
「な、何を言い出すんだ! 白石君、君は生徒会副会長の立場じゃないか!」
岡田生徒会長はあからさまに狼狽して隣ですっかりいつもの雰囲気に戻っている凛先輩のことを見て大声をあげた。
「そうね。私は生徒会副会長だけど、彼らの友達でもあるの。信頼している友人を裏切ることは出来ないわ」
「しかし! 君が今私が話した事を発言しても何も証拠など無いではないか!?」
「そうかしら?」
凛先輩は涼しげな顔で胸のポケットからスマホを取り出した。
「これには今までの会話の全てが録音されているわ。それでも会長はまだ証拠が無いとおっしゃるのかしら?」
「くっ………………、そ、それを渡せ!」
岡田生徒会長は凛先輩に襲いかかり手にしているスマホを無理やり奪い取る。その勢いで凛先輩が突き飛ばされ床に投げ出されるところを俺がかろうじて受け止めた。
「何をするんだ!」
俺はありったけの声を岡田生徒会長にぶつけた。
「これが無ければ、証拠など何処にもない!」
岡田生徒会長は手にしている凛先輩のスマホを床に叩きつけようと手を振り上げたとき、生徒会室のドアが大きな音を立てて開かれた。
「はい。はい。そこまで、そこまで」
緊迫した空気の生徒会室に似つかわしく無いどこか気の抜けたような声が響き渡った。
「誰だお前は!」
岡田生徒会長はスマホを持った手をそのままに声のした生徒会室の入り口の方に目をやった。
そこには俺のよく知っている人物がスーツの上に白衣を着て立っていた。




