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俺の平穏な日常を壊すのは誰だ  作者: 土原和正
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「参りました。俺たちの負けです」

 俺は落ち着いた静かな声で自分たちの負けを認めた。

 その言葉を聞いた昌たちがどよめきたつ。

「おい! 徹! お前マジで言ってんのか!!」

 そう言って昌が俺ににじり寄ってくる。後ろを見ると今日子と真美ちゃんと徳井が不安げな顔で俺を見ている。

 俺は右手で昌を制してみんなに柔らかな笑顔で言った。

「まあ、俺たちに手札が無い以上どうにかなるものでもないだろうし、思い切って負けを認めるってのもありなんじゃないか?」

昌は唇を噛み締めながら悔しそうに小声で答える。

「徹が言うなら……仕方ない……」

「みんなもそれでいいよね?」

 俺の問いに今日子と真美ちゃんと徳井は納得出来てない面持ちで小さく頷いた。

「そういうことなので岡田生徒会長には誠に失礼なことを申し上げてすみませんでした。後日、改めてお詫びをしに来ますので、今日のところはこれで失礼させて頂きます」

「潔く負けを認めるとは、りっぱな姿勢ですね。その姿勢に免じて今回のことは公けにせず不問にしましょう」

 岡田生徒会長は笑顔で手を叩きながら俺たちのことを小馬鹿にしたように告げた。

 俺は一礼して岡田生徒会長に背を向けた。

 潔く負けを認めるか…………

 岡田生徒会長に気づかれない様に一瞬ニヤリと口元を緩ませるが、再び覇気の無い雰囲気をかもし出して振り返り岡田生徒会長に話しかける。

「負けは認めますが、唯一、わからないことがあるんです」

「なんです?」

 いかにも上機嫌で岡田生徒会長は話しを返してきた。

「何故、今日子がミスコンを辞退したのに岡田生徒会長は負債を負わないんですか?」

 俺の言葉を岡田生徒会長は鼻で笑い飛ばす。

「ああ、そのことか……君たちは馬鹿か? 私が付帯条件無しに賭けなんて行うと思うか?」

「付帯条件?」

 俺は聞き慣れない言葉に戸惑いを覚えたがすかさず後方から俺に岡田生徒会長に気づかれないよう耳元で徳井が囁いてくれた。

「ある物事を主として、それに伴う形で存在している条件のことですね。僕がモデルの仕事の契約をする時によく出てきます。例えば、僕があるブランドの服のモデルをやるとしたら付帯条件としてブランドのイメージを低下させる様な行動を謹むこと。他社の製品を着用しないこと。などが付いてきますね」

 俺は説明してくれた徳井に感謝しつつ岡田生徒会長に聞いた。

「その条件とは?」

 岡田生徒会長は俺を見下したように冷笑しながら言った。

「出場者の誰かが棄権したもしくは何らかの妨害を受けた場合、賭けは成立しないものとみなす」

「そうだったんですか。それで今日子が出場を辞退しても、賭け自体は成立しなくなるが岡田生徒会長の懐まで痛むことは無いと………………」

 俺はそれまでの覇気の無い負け犬の様な演技をやめ毅然とした強い表情で岡田生徒会長に続けて言った。

「……でも、少々調子に乗って喋りすぎましたね! ご自身で自分の不正を白状してますよ」

 俺の言葉に岡田生徒会長は一瞬表情を固くしたがすぐに侮蔑した表情に戻り薄ら笑いを浮かべながら言った。

「構いませんよ。君たちが何を言おうが何の証拠も無いですし、私が君たちの発言など握り潰しますので」

 岡田生徒会長の開き直った言葉に昌たちが唖然としている中、俺はある人の言葉を待っていた。

 そしてしばらく間をおいてその待っていた人が口を開いた。

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