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俺の平穏な日常を壊すのは誰だ  作者: 土原和正
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八 対決


 放課後 生徒会室


「それで、話しというのは何ですか?」

 生徒会役員が全て帰った後の生徒会室に岡田生徒会長と俺、昌、今日子、真美ちゃん、徳井、凛先輩が対峙している。

 俺は岡田生徒会長の寒々とした声のトーンに押されないように声を張って言った。

「岡田生徒会長! 単刀直入にお聞きしますが、今回のミスコンで何らかの不正を行なってませんか!!」

 俺に続いて昌が話す。

「その不正ってのが、どうやらミスコンでの優勝者をめぐっての賭けみたいで、こちらとしてはその賭けに乗った人とも連絡が取れてるんだけど、何か身に覚えはありませんか? 岡田生徒会長?」

 岡田生徒会長は一瞬険しい表情を浮かべたがすぐにいつもの作り笑みの顔に戻り答えた。

「君たちが何の事を言っているのかは分かりませんが私はその様な事は一切知りません。その賭けに乗ったとかいう方もおそらく妄想癖か虚言癖のある人物でしょう」

 やはり岡田生徒会長はシラをきってきたか……でも、これは俺たちの作戦の想定内の範囲である。昌は俺の目を見て頷き、再び岡田生徒会長に向けて語気を強めて言った。

「それでは岡田生徒会長は不正の事実を認めては貰えないのですか?」

「認めるもなにも不正など元々ないのですから」

 相変わらず口元に薄笑いを浮かべながら昌を睨めつける。

「……そうですか。認めては貰えませんか……では、残念ですがこちらとしてもそれなりの手段を取らせていただく形になりますがよろしいでしょうか?」

「それなりの手段とは?」

 昌は今日子の方に振り返り、そして岡田生徒会長の方に顔を戻しながら言った。

「……島田……今日子の……ミスコン出場を……辞退する!」

 その瞬間、生徒会室の空気が変わった。

 今まで笑みを浮かべていた岡田生徒会長の顔から笑みが消え隠しきれない怒りの感情が見える。

 その怒りの感情が生徒会室全体を覆い、今にも切れそうな糸のようにピンと張り詰めた空気を作り出している。

「辞退だと! それはどういう事だ! 答えろ! 島田今日子!」

 怒りに燃える瞳で岡田生徒会長は今日子を見下ろす。

「すみません。岡田生徒会長。もともと私はミスコンなんて出るつもりは無かったのです」

「そう。今日子ちゃんはあくまで俺が考えた作戦の手伝いをして貰っただけさ」

 申し訳なさそうに答える今日子に代わって昌が岡田生徒会長に答えを突きつける。

「岡田生徒会長! あなたが昨年のミスコンで賭けを行なっていた事は俺が調べて確信を持っている。そしてそのミスコンでの結果に伴い多額の利益を出していた」

 昌はしっかりと岡田生徒会長を見据え半歩前に体を進めて話を続けた。

「そうなると当然昨年と同様に多額の利益を求めて、今年も同じことを行うであろう事は容易に想像がつく。しかし、そこで問題が発生したはずだ」

 岡田生徒会長は怒気をまとってはいるのだが、身じろぎもせずに昌の話を聞いている。

「それは昨年の優勝者の白石先輩の存在だ。昨年の優勝者である白石先輩は強制的に今年のミスコンにも出場しなければならない。果たして昨年あれ程の票を獲得した白石先輩を破るだけの票を集める事が可能だろうかと」

これは俺たちがこの作戦を行うにあたって最初につまづいたところである。それと同じ状況が岡田生徒会長にもあったであろうことは容易に想像出来る。

「そこに目をつけた俺たちは今日子ちゃんにお願いをして、白石先輩に負けないくらいのメイクを施しあなたに近づいたわけさ。あなたは俺たちの思惑にまんまとはまり前回の白石先輩の役を今日子ちゃんに仕立てた」

 昌はニヤリと笑いながら岡田生徒会長にいっそう近づいていく。

「それで今日の賭けが成立したのを待って今日子ちゃんを棄権させた訳さ」

 そして昌は岡田生徒会長を指差し自信満々で言い放つ。

「これであなたは賭けに負け膨大な負債を負うことになる!」

 

 一瞬の静寂が生徒会室を包む。それが一秒だったのか二秒だったのかはわからないが、俺には時間が止まったかのような長い一瞬だった。

 そして次の瞬間! 生徒会室の張り詰めた空気の糸が切れた!

「あははははははは………………!」

 今まで怒りの表情を見せていた岡田生徒会長が大声で笑い始めたからだ。

「実に面白いな。君たちは」

 岡田生徒会長はそれまでの怒りの表情が嘘のように消え楽しそうに笑いながら続けた。

「私が膨大な負債を負うだって? 有りもしない賭けでどうやったら私が負債を負うことになるのだね?」

 えっ! どういう事なんだ?

 本当に岡田生徒会長はミスコンでの賭けを行なっていないって事なのか?

 いや! それは無い! ちゃんと賭けは成立している。じゃあどうして?

 俺は隣にいる昌の顔を見る。俺と同じく焦りの表情が伺える。それでもなんとかしようと声を出そうとした時だった。

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