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というわけで、昌の作戦が進行している真っ只中である。
「あっ! 徳井が帰ってきた」
爽やかな笑顔で徳井が教室に入ってきた。教室にいた女子生徒らがいっせいに徳井の方に歩み出したが、徳井は彼女らを手で制して俺と昌がいる席へ近づいてきた。
「作戦は成功です! 今、岡田生徒会長から電話があって今日の放課後、生徒会室で僕と島田さんに直接会いたいって言ってきました」
徳井は話しながら隣の席の椅子を引き出して俺の机に向けて座った。その間も徳井に手で制止された女子生徒たちの視線が俺と昌に突き刺さっていた。
「とりあえずは第一段階完了かな」
昌は女子生徒らの視線も気にせず話しを続けた。
「ところで、岡田先輩を納得させる程の今日子ちゃんの写真ってどんなんだ?」
「見たいですか? びっくりしますよ!」
徳井は自信有り気に鞄から写真を取り出し俺たちに見せた。
「えっ! これ今日子なのか!?」
俺は驚いて思わず声が出てしまった。
昌も驚いてるようで写真をジッと見たまま固まっている。
それもそうだ、写真に写っているのは確かに今日子なのだがいつもとは違う別人みたいな今日子がいたからだ。いつものポニーテールにしている髪はストレートに下ろして光に当たってキラキラ輝き、顔は綺麗に化粧が施され、目は元々二重で大きいのだがよりいっそう強調され周りの光が瞳に映り込んでいる。唇は薄いピンク色のリップで彩られ可愛らしい色気が感じられ、そこいらにいるアイドルグループのメンバーにも負けないくらいの美少女に変わっていた。
「すごいな! これ本当に修正して無いのか?」
昌は驚きのあまり岡田先輩と同じ質問を徳井にしてしまったようだ。
「だから僕言ったでしょう。島田さんは美人だって」
確かにこれだと凛先輩にも引けを取らない美少女である。凛先輩がクールな美人なのに対して、今日子は光の中から飛び出してきたかのようなキラキラした美少女なのも好対照で面白い。
「どうだ? 惚れ直したか?」
昌がニヤけながら俺に聞いてくる。またかと思いながら昌の言葉を受け流す。
「だから、家族みたいなもんだって言ってるだろ」
「相変わらずだなあ……そんな事言ってると誰かに今日子ちゃんを取られて後悔する事になるんだぜ」
やれやれといった感じで昌は呟いていた。
「何か言ったか?」
「いや、何も…………」
そんな俺たちの横で同じように呟いている徳井がいる。
「羽多野君と島田さんは付き合っていないんだ………………」
妙にテンション高めで嬉しそうにしている姿が怖い。
そうこうしてるうちに午後の授業のベルが鳴り、昌と徳井は自分の席に戻って行った。
その戻り際、昌が俺に思いもしなかった衝撃的な一言を残していった。
「白石先輩には気をつけろ!」




