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七 仕掛け
今年度のミスコンの立候補締め切りが一週間後に迫った日の午後。
徳井と岡田生徒会長は秋の庭のベンチの前にいた。
「私をこんな所に呼び出して何の用ですか? えーと、一年の誰だったかな……?」
岡田生徒会長はさも煩わしそうに聞いてきた。
「徳井です」
「ああ、徳井君か。まあ、君の名前なんてどうでも良いんですが、それよりも話というのは何です? 私もいろいろと忙しい身なので手短かに頼みますよ」
「分かりました」
徳井はそんな岡田生徒会長の言葉を気に掛ける様子も無く淡々と答えた。
逆に教室で通話状態でスマホを持っている徳井と岡田生徒会長の会話をスマホで聞いていた俺たちの方が怒っていた。
「相変わらず嫌な言い回しをするな」
「まったくだな。しっかし、徳井は微動だにしないな」
再び徳井の声がスマホから聞こえてくる。
「一週間後のミスコンに推薦したい女子生徒がいるのですが」
そう言って徳井は岡田生徒会長に一枚の写真を手渡す。岡田生徒会長は写真を手に取りしばらく見てから口を開いた。
「この写真は修正は入っていないんですね」
「もちろんです」
「わかった。後で連絡します」
岡田生徒会長は制服の胸のポケットに写真を入れて足早に校舎へ戻って行った。徳井はその後ろ姿が消えるのを待ってふっとため息を一つついた。
「お疲れさま!」
ポケットに入れてあったスマホから声が聞こえてきた。徳井はポケットから取り出して応じる。
「昌さん、うまく演れてましたか?」
「上出来だよ」
「うん! 徳井! 良かったよ」
昌と俺はスマホ越しに徳井を労った。
「うわぁ~、羽多野くんに褒められるなんて! 提案した甲斐があったなあ」
徳井は無邪気に向こうで喜んでいるのだが、こちらにいる俺は苦笑いで昌は大爆笑している。
ちなみにこれは昌が考えた岡田生徒会長の不正を暴く作戦の一環で、まずは昨年の凛先輩の役を担う女子生徒を自分たちが岡田生徒会長の下に送り込む、そして賭けが成立して岡田生徒会長の裏工作が終了した時点でミスコン出場を取りやめることを武器にして不正を問いただすというものだ。
しかし、俺たちはその作戦を実行するにあたりいちばん最初でつまづいた。




