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俺の平穏な日常を壊すのは誰だ  作者: 土原和正
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「生徒会から打診があったのよ」

「打診?」

「そう。年に一度のお祭りみたいなものだから一年生からも一人出場してくれないかってね。それで一年生の中で話し合って私が出場する事になったの」

「うーん、何かうさんくさい話だな」

 俺の声に反応して昌がポンと一つ手を叩いた。

「その通り! うさんくさいんだよ。全ては岡田生徒会長のシナリオ通りに進んでいたんだ」

「ちょっと待ってよ。シナリオ通りって、本命と対抗に票が集まっているこの状態からどうやって逆転するんだ?」

 俺はテーブルに置いてある前回のミスコンをシミュレーションした紙を見た。ここだから本命と対抗に一票ずつしか入ってないが実際には投票された大部分の票が本命と対抗に入ったはずである。

「そうだな一見本命か対抗で決まりに見えるだろう? でもここから面白いんだ」

 昌は楽しそうにみんなの顔を見まわして話を続けた。

「現状は確かに本命と対抗の二人の争いになっているんだが、さっき俺が誰に投票するか聞いたよね」

「うん」

「徹と徳井は本命と対抗に、今日子ちゃんと真美ちゃんは棄権すると」

 昌は確認を取るかのように俺に聞いてきた。

「間違い無いよ」

「それじゃあ、その棄権票が白石先輩に流れたらどうなると思う?」

「ちょ、ちょっと! それって……」

 慌てた様子で今日子が返す。

「そう。本当は投票されるはずの無い票であるミスコンに興味の無い女子生徒たちの票、つまりうちの学校の男女比率は1:1なので学校生徒の約半数の票が白石先輩に流れるように岡田生徒会長がコントロールしたんだよ」

「確かに岡田生徒会長だったら生徒会長という肩書きとあの女子に絶大な人気を誇るルックスだと票の取りまとめもそう難しくはないかもしれませんね」

 神妙な顔で話を聞いていた徳井が言った。

「でもぉ、ちょっと待ってください」

 真美ちゃんが話しに横やりを入れた。

「今の話だと白石先輩は全校生徒の約半数の票を獲得するはずですよねぇ。でも、実際に行われた投票では全校生徒の80%に近い票を獲得したんですよねぇ?」

「そう! 真美ちゃん! いいところに気づいたね。それが岡田生徒会長の誤算だったんだ」

「誤算?」

「岡田生徒会長のシナリオでは白石先輩が全票の40%、本命の七瀬さんが35%、対抗の虹野さんが20%、そして藤野さんが5%の得票で白石先輩が逃げ切るはずだったんだ」

「でもそれがどうして……?」

「簡単な話さ。想定外に男子の票が白石先輩に流れたんだよ。それは白石先輩を見てもらえば分かると思うけど」

 みんなの視線が凛先輩に注がれる。

「え、えっ、な、何? わ、私……?」

 確かに他の三人の出場者に比べても凛先輩の綺麗さはワンランク上だと思える。

 凛先輩が慌てている中、見ていた俺たちは納得したように顔を見合わせて話を続ける。

「確かに本命の七瀬さんと比べても勝るとも劣らない容姿だよね……………………この性格のキツささえ無ければ……」

 俺は後の方は凛先輩に聞こえない様に呟いたつもりだったんだが、しっかり聞いていたみたいで眉の上辺りをひくつかせながら作り笑顔で聞いてきた。

「徹くん? 今何か言った?」

「い、いや何も言っていないよ。気のせいじゃない?」

 俺は凛先輩から目をそらして答えた。流石にみんながいる所で凛先輩の逆鱗に触れて床に正座なんていやだからね。

「そうかしら? 何か私の悪口が聞こえた様な…………」

「何を言ってんだよ。俺がそんな事言うわけ無いじゃないか…………あはははは……」

 思いっきり作り笑顔で全力でしらを切った。

 コホン!

「話を戻していいか?」

 呆れたような顔で俺と凛先輩を見ていた昌が声を出した。

「ごめん、ごめん、昌」

「昌くんごめんなさい」

 俺と凛先輩は昌に向き直って謝った。

「それじゃ、続けるぞ? さっき誤算って言ったのは僅差で白石先輩が勝つ予定だったのが、ミスコン史上初の大差になった為に本命や対抗に賭けた連中が岡田生徒会長が何らかの不正を働いたのでは無いかと疑いを持ち始めたんだ」

「それでその賭けに負けた連中が不正の噂を流したって訳か……」

「ああ。ただ、勘違いしてはいけないのは、岡田生徒会長が票を白石先輩に流れるようにした事が不正なんじゃなくて、そもそも賭けを行っていた事自体が不正だという事を理解しとかないと」

 昌の言うとおりだ。これで岡田生徒会長がミスコンを利用して賭博行為と云う不正を行っている事は確実だと言える。

 では、どうやって岡田先輩の不正を暴くのか?

 そして俺に不正を暴くようにメッセージを送ったのは誰なのか?

「そこでだ……おいらに岡田先輩の不正を暴く良い考えがあるんだが、みんな、手伝ってくれないずらか?」

 昌は自信有り気に目を輝かせてニヤリと笑った。

 また! そのキャラかよ!

 でもこいつがこんな風に自信満々の時は大概、良い事があった為しが無いんだけどな……でも、まあ今回は昌が殆ど調べてくれたんだし任せるか。

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